スマートフォン版を表示

2018年度 卒業式 祝辞

明治学院 学院長 小暮 修也

 大学生の皆さん、大学院生の皆さん、ご卒業、修了おめでとうございます。また、保証人の皆さま、ご家族の皆さま、ご子弟のご卒業、終了おめでとうございます。

 さて、今から118年前の1901年1月23日の『報知新聞』に、20世紀はこのような時代が来るという「20世紀の予言」が掲載されました。そこには、20世紀は形而下によれば「蒸汽力時代」「電気力時代」、形而上においては「人道時代」(ヒューマニズムの時代)「婦人時代」(女性の時代)が現れるだろうとし、さらに次のような時代が来るだろうと予測しています。

  1. 暑寒知らず─新器械発明せられ、暑寒を調和するために適宜の空気を送り出すことを得べし。阿弗利加の進歩もこのためなるべし。(エアコンですね)
  2. 買物便法─写真電話によりて遠距離にある品物を鑑定し、かつ売買の契約を整え、その品物は地中鉄管の装置によりて、瞬時に落手することを得ん。(通販ですね)
  3. 気象上の観測技術進歩して、天災来たらんとするすることは一ヶ月以前に予測するを得べく、天災中の最も恐るべき暴風起こらんとすれば、大砲を空中に放ちて、変じて雨となすを得べし。(災害の予測はこの通りですが、大砲を放って解消するというのは物騒ですね)
  4. 人と獣の会話自在─獣語の研究進歩して、小学科に獣語科あり、人と犬、猫、猿とは自由に対話することを得るに至り、従って下女、下男(お手伝いさん)の地位は多く犬によって占められ、犬が人の使いに歩く世となるべし。(これは、さすがに実現できませんでした)

20世紀はこのようになるという予測でしたが、実現しているものもあれば、いまだに実現していないものもあります。

 ところで、皆さんは、30年後の2049年には52歳~55歳頃になり、社会を支えている世代となるでしょう。その2049年頃にはどうなるか、超少子高齢社会に加えて、AI(Artificial Intelligence、人工知能)の発達する社会、BT(Biotechnology、生物生産応用技術、例えば病気の細胞を入れ替えるというような)革命、それによって平均寿命が100歳を超えるという時代が来るとか、あるいは地球環境の変化等が起こり、2019年とは大きく異なる社会となるだろうと言われています。
 特にAI(人工知能)は人間の働いている多くの業種に参入し、個人の生活の変化をもたらすことが予測されています。人工知能が人間の知能を上回る日が来る特別な日のことをシンギュラリティ(Singularity)といい、それが2045年頃に起こるであろうと予測されていますが、もっと早くやってくると予測している人もいます。多くの職業が人工知能にとって替わられるであろうと心配している人もいます。

 しかし、人間と人工知能の違いは何かというと、それは創造力、感受性ではないかと思います。辻井伸行さんという目の見えないピアニストの方のコンサートに行ったことがあります。辻井さんは全く目が見えないのに暗譜して長い曲を演奏しているのです。この暗譜をして弾くために相当な努力をしていることが伺えました。
  辻井さんの弾く演奏は柔らかくそして純粋な音が聞こえてきます。これは、器械が楽譜通りに演奏しているのとは異なっています。また、ピカソやシャガールのような絵は、真似はできても本物はできないでしょう。 

 皆さん、お一人おひとりが長い歴史の上でも、そしてこの世界という空間の中でも同じ人間はいない、特別な存在です。機械や人工知能とは違って、豊かな創造性や感受性を持って、これからの時代を生きていただきたいと願っています。

 旅立っていく皆さんお一人お一人に、神さまの恵みが豊かにありますように。 本日は、ご卒業・修了おめでとうございます。