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2017年度 卒業式 式辞

明治学院大学 学長 松原 康雄

ご卒業・ご修了おめでとうございます。保証人の方々にも、心からお祝いを申し上げます。

 学部での4年間あるいは大学院での時のなかで、豊かな学習成果と、教職員や同級生および先輩・後輩との有意義な絆を作られたことと思っております。そして、今後も環境は異なっても、新たな学びと他者とのかかわりを得て行かれることと思います。

 私は、何歳になっても、人は変化し、成長するものだと考えています。立場や状況が変わることで、見える景色が異なり、自分の見解も変化するものです。しかし、状況に流されてしまうのであれば、主体性は失われてしまいます。本学での経験を通じて、皆さんが自分自身という基盤を形成し、そこを原点として変化に対応できる柔軟性を育んでいったのではないかと考えています。

 そして、状況に流されず、感情にまかせて判断、発言するのではなく、客観的な事実に基づくことが重要です。正確なデータ収集とその分析の大切さを改めて強調をしておきたいと思います。そのうえで、データのなかにある人の生活にも眼を向ける必要もあります。

 私の専門にする研究分野は社会福祉、そのなかでも児童福祉です。昨年厚生労働省が発表した「国民生活調査」では、子どもの貧困率(等価可処分所得の中央値の50%以下)は13.9%であり、2012年調査時点より、2.4ポイント改善しました。しかし、この数値は子ども7人の内1人、すなわち35人のクラスなら5人が経済的に厳しい状況にあるということになります。この子どもたちの生活や学習環境改善への取り組みがなされなければ、状況が改善したと手放しで肯定的評価はできません。保育所に入園したくてもできない、すなわち待機児童も数値が改善されても、待機児童0人にならない限り、待機となった家庭はどう対応されたのだろうといつも気になり、児童福祉審議会などで機会があれば、そのような趣旨の発言や質問をしてきました。子どもの貧困については、2013年に子どもの貧困対策法(子どもの貧困対策の推進に関する法律)が制定されました。保育所待機児童についても、待機児童0作戦や各自治体の計画的取り組みがなされてきています。このような大枠をくくったアプローチを形成する力と、その施策がおよばない人々がマイノリティとして埋没しないよう、当事者と連携しながら取り組む眼と力の双方があって、本学が教育目標として掲げてきたDo For Others(他者への貢献)が達成されるのです。皆さんが新天地において、他者への貢献をなされることを願っています。そして明治学院は、そのための母校であり、起点で有り続けたいと考えています。

 時代は変化を求めています。変革の主役は若い世代、すなわち皆さんです。本学校歌からの引用になりますが、新しい時代に希望をもって、一人ひとりがその道を切り開いて欲しいというメッセージを込め、以下の言葉を次代を担う皆さんにプレゼントしたいと思います。

 「心せよ学びの友よ新しき時代(ときよ)は待てり」

 本日はおめでとうございます。