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書評【ステップファミリーのきほんをまなぶ:離婚・再婚と子どもたち】

「ふつうの家族」でない家族

「ステップファミリー」をご存知ですか? 本書では「親の再婚あるいは新たなパートナーとの生活を経験した子どものいる家族」と定義しています。そう聞くと、友達の家族がそうだ、自分自身がステップファミリーで育った、というように、皆さんにとって案外身近に存在する家族だということに気付かれるかもしれません。

「その身近な家族について今さら何を学ぶの?」と疑問に思われるかもしれませんが、実は、ステップファミリーはいわゆる「ふつうの家族」とは大きく異なります。つまり、血のつながらない継親子(けいおやこ)関係が存在するステップファミリーは、継親(けいしん)、実親(じっしん)、継子、実子それぞれのメンバー間の葛藤や緊張を構造的に引き起こしやすく、ステップファミリー特有の問題も抱えやすくなっているのです。

さて、本書は社会学部教授の野沢先生とステップファミリーの支援団体であるSAJの共編です。基本知識だけでなく、客観的データや日本の研究からみえてきたことなどを網羅し、クイズやマンガを用いたケーススタディなど、ステップファミリーの何が難しいのかがよく理解できる構成になっています。当事者はもちろん、実務家、家族支援専門家、研究者、そして家族に関心のある学生の皆さんまで幅広く読んでいただけます。

社会の中で見えない存在となっているステップファミリーをまずは「見える化」する。本書からはその強い使命感が伝わってきます。ぜひ一度手に取ってみてください。

青葉由紀子(社会学研究科博士前期課程2年)

『ステップファミリーのきほんをまなぶ:離婚・再婚と子どもたち』
SAJ(ステップファミリー・アソシエーション・オブ・ジャパン)、
野沢慎司(副学長・社会学部教授) 編
緒倉珠巳、野沢慎司、 菊地真理 著
金剛出版 190頁/ 2,376円

白金通信2019年春号(No.499) 掲載