聖書のことば
【聖書のことば】『旧約聖書』イザヤ書2章4節
主は国々の争いを裁き、多くの民を戒められる。
彼らは剣を打ち直して鋤とし、槍を打ち直して鎌とする。
国は国に向かって剣を上げず、もはや戦うことを学ばない。
《もはや戦うことを学ばない》
渡辺総一 作
紀元前8世紀後半、ユダ王国が強大なアッシリア帝国の侵略にさらされる中、預言者イザヤは、神の裁きと戒めによってすべての武器が農具にうちかえられ、非戦の世が到来するという終末的平和を描きました。現実の世界にはあまりにも悲惨な光景が広がっていて、この理想とのギャップに空虚な思いすら抱いてしまいそうです。しかし平和の実現に1ミリでも近づく努力を放棄すれば、私たちの世界は暴力の支配に完全に屈することになるでしょう。
この聖句は、ニューヨーク国連広場のイザヤ・ウォールに刻まれているだけでなく、本学にも元学長の故福田歓一先生による墨書が所蔵されています。私たちが「もはや戦うことを学ばない」ために、墨書に込められた思いを心に刻みたいと思います。
白金通信2022年夏号(No.511)掲載