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あの日の私

「ありたい自分」を描く大切さ 竹下 諒(キャリアセンター) 

「困っている人を支えたい」 幼い頃からそんな漠然とした想いがあった。実家が自宅兼法律事務所だった私は、父のもとに相談者が訪れるシーンをよく見ていた。相談が終わり、少し晴れやかな表情で事務所を出ていく相談者を見て、自分もこんな仕事がしたい、そんな想いを抱き、法律を学ぶために法学部に進学した。

入学式の日、隣に座っていた学生に勇気を出して話しかけたら、すぐに仲良くなった。そこから自然と輪が広がり、よく一緒に過ごすグループができた。比較的勉強熱心なグループだったので、試験の前は図書館や空き教室で勉強をすることが多かった。ある時、判例の解釈に苦労している友人がおり、丁寧に教えたらすごく感謝された。「人の役に立っている」 自分の中に達成感とやりがいを感じた瞬間だった。

楽しい時間はあっという間に過ぎてしまい、就職活動の時期を迎えた。入学当初は法曹界を目指していたのだが、司法試験の難易度の高さを改めて実感した私は、途中でその道を諦めてしまった。「将来何を目指そう…」 漠然とした中で、試験勉強の時に感じた「教えることへのやりがい」から教育業界を目指して就職活動を始めた。

結果は惨敗だった。やりたいことが漠然としていたからだ。そんな失意の中、もう一度自分を見つめ直し、がんばって学んだ法律の知識を生かせる仕事に就こうと、総務人事を募集している企業を探して就職活動をすると、運よくすぐに内定を得ることができ、その企業に就職した。仕事はとても楽しかった。今まで学んできた法律の知識を業務の中で実践でき、株主総会や取締役会の事務局として社長や取締役と関わる機会も多く、よく食事にも連れて行ってもらえた。ただ、自分の中で何か物足りない、そんな気がしていた。

そんな想いを抱えていたある日、新卒採用の面接担当をする機会があった。何人かの大学生の面接をしていると、それぞれの充実した学生生活のエピソードを聞くことができ、大学生のみんなが、とても輝いているように見えた。面接が終わり、「こんな充実した学生生活を過ごす支援ができたら幸せだな」と思った。その時、幼い頃の「人を支えたい」という想いや、大学生活を通して感じた「教えることのやりがい」がつながり、一つの想いに至った。私のありたい自分は、「人の成長を感じながら、支えられる人間」なんだと。

そんな自分を叶えるべく、私は母校である明治学院大学の職員採用試験にチャレンジし、縁あって職員として働く機会を得た。そして今、私はキャリアセンターの職員として、進路支援をしながら学生の成長を身近で感じ、とてもやりがいに溢れる日々を過ごしている。私は、進路や就職先を決めるうえで大切なことは「ありたい自分を明確にすること」であると思っている。今こうして過ごしている何気ない時間も、「ただ時間が流れているだけ」なのか「目標に向かってがんばっている」のかで大きく意味合いが変わってくる。自分が想い描く「ありたい自分」に近づくための目標を決め、その一瞬一瞬を大切に過ごしてほしいと思う。それが充実した人生につながり、未来を切り開くきっかけとなるのだから。

キャリアセンター キャリア支援課 竹下 諒


卒業式に友人たちと。
(前列左端が竹下さん)


現在の竹下さん。
白金通信2022年夏号(No.511)掲載

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