学び
フランス学特講1B【杉本圭子教授(文学部)】
フランス学特講1Bでは、フランスの有名な文学作品を映画やミュージカルなどさまざまな翻案作品と比較し、その表現方法に原作とどのような違いがあるのか、またそれによる効果などを分析します。『ノートルダム・ド・パリ』や『オペラ座の怪人』などをはじめとした物語を扱い、原作を読み進めながらその部分に対応する翻案作品の映像を鑑賞します。
例えば、ピエール・ショデルロ・ド・ラクロの『危険な関係』という作品では、悪役である夫人の顔が天然痘によって変わってしまう場面があるのですが、映画版では代わりに「化粧を落とす」という演出で表現しています。天然痘によって失われてしまった彼女の美貌を、映像作品ならではの演出で表現することによって新鮮さや衝撃を与えるとともに、原案作品からの解釈はそのままに新たな見せ方をしていることが分かります。
また同じ作品の映画の翻案でもいくつかバージョンがあり、それぞれ登場人物の風貌や演出が異なるためさまざまな見方をすることができます。一つの映画を見てその作品を知った気になってしまうことが多いですが、この授業を通して複数の翻案から多様な角度で鑑賞することで、作品について考えを深めるきっかけになります。
学生広報委員
石田七海(フランス文学科4年)
杉本教授の解説付きで作品を鑑賞します
白金通信2025年春号(No.522)掲載