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- 本選出場のカギは「感謝と貢献」- 陸上競技部長距離ブロック主将 坂上真生の使命感

10月の箱根駅伝予選会を控えた9月、横浜キャンパスヘボンフィールド。部の練習開始を前に、誰よりも早くアップを始める坂上の姿があった。「記録、コンディション共に入学当時と今では雲泥の差。4年間で過去最高の仕上がりです」と自信をのぞかせる。明治学院からの初めての駅伝ランナーとなった前主将から「たすき」を託された主将の想いとは。

坂上 真生さん 経済学部 経営学科 4年 経済学部経営学科4年。2018年より長距離ブロック主将を務める。常に安定感をもって走ることを信条に、1年次から箱根駅伝予選会に出走。1年ごとに出走タイムを更新し、最終学年となる今シーズン、歴代最高記録、そして箱根駅伝本選出場を狙う。好きな言葉は「継続は力なり」「有言実行」。

「ナメていた」2年間

俺がチームを強くしてやる!俺が主役になる!
2016年4月の入部当時、そんな気持ちは微塵もありませんでした。高校3年の時、駅伝大会(千葉県)で4位に入賞。この実力なら明治学院大学陸上競技部長距離ブロックの箱根駅伝予選会の出走メンバーに、いわゆる主力で活躍できるだろうと考えて入部しました。4年になったら箱根駅伝の本選に出場したい。ぼんやりとした目標を持ちながら、練習はその日のメニューをこなすだけ。家が遠いという自己都合で朝練習もサボりがち。けれども練習の記録では常に上位6~7人に入り、2016年12月には5000m・14分台、10000m・30分台を記録し、いずれも自己ベストを更新。上には上がいるのに、「俺はできる!」と大いに勘違いしました。自己ベスト更新後、すぐに腸頚靭帯(ランナー膝)を患ったこと、10月の箱根駅伝予選会ではチーム内順位12位となりチームに貢献できなかったこと。振り返ると、自分を見つめ直す機会があったのに活かせなかった。いや、活かそうとしませんでした。今の自分を維持すれば箱根駅伝本選出場は叶う。自分の原動力は、まさに「根拠のない過信」でした。あの、2年次の記録会までは。

俺、ダメじゃん

2017年10月の箱根駅伝予選会。チームで26位(2016年は20位)と結果が出なくても自分の過信は変わりませんでした。転機となったのは同年12月の記録会。1年前は14分台で走れた5000mで15分00秒を記録したことです。日々の成長を信じて疑わなかった自分に突き付けられた結果。15分00秒が14分59秒だったら受け止め方は変わっていたかもしれませんが、1秒の差でプラス1分となってしまうこの「1秒」が本当に大きいのです。ゴール後、呆然と空を見上げ、深いため息と共に出た言葉が「このままじゃ一生ダメだ」。

それからすぐに練習メニューの改善に着手しました。週6回ある長距離ブロックの練習メニューのうち、週2回行っているジョグ60分を自分だけ90分以上に。「よくやるね」「がんばるね」周囲からの声をよそに、フィールドに自分1人だけになっても、身体が重くて仕方がないときも、とにかく続けました。現在も続けていますが、着手したこの時が一番辛かったです。そのおかげか長距離ブロックの中でも最上位のAチームの先輩たちの走りについていけるようになりました。2018年3月の記録会では10000m・30分59秒99を記録。30分台は1年次に記録したのでタイム自体に喜びはありませんが、「脚力がついた」と実感した瞬間でした。「自分のやっていることは間違いない。自分も先輩に追いつきたい。追い抜きたい」これまで見えなかった(見ようとしなかった)先輩たちの背中が、自分の目標になった瞬間でした。

誰かのために、走ること

2017年までの20kmから21.0975kmに変更となった2018年10月の箱根駅伝予選会。自分のランナー人生で生涯忘れることができないレースとなりました。予選会では、各大学上位10名の記録の合計値で順位を競います。やはり、チームである以前に個人の実力が試されます。そんなレースで、スタートから約15kmまで4年生(当時)の先輩たちとほぼ一緒に走り続けることができました。もちろん、事前に約束していたことではありません。スタート時は一言も交わさなかったほど、ピリピリした雰囲気でした。力およばず16km以降は先輩たちに距離を離されてしまいましたが、ゴール後に先輩たちから満面の笑みで「楽しかったね」の一言。慰めや労いはありません。シンプルなこの一言に、辛かった練習の日々が走馬灯のように思い起こされました。

先輩たちに有終の美を飾ってほしい。自分のためだけに走っていた2年生の時の自分からは考えられない感情が芽生えた3年次。誰かのためにがんばりたいと願う気持ちが、自分をもっとも強くしてくれることを体感した1日でした。

チームトップの実力であり続けること

主将になってからは「走ること」によりストイックに向き合っています。後輩たちが、主将である自分に追いつきたい、追い越したいと思ってもらえるような雰囲気づくりを心掛けています。走ることに関するテクニカルなサポートはコーチにお願いしていますので、主将としてはそれぞれの部員のコンディションを聞き、共感することを目標としています。そのような中でも大切にしていることは「自分自身がチームトップの実力であり続けること」。特に2019年6月以降は通常の練習メニュー以上の内容をこなし、5000mの自己ベストも更新することができました。

チーム全体としては、2019年4月に社会人ランナーとして実績を有するサイラス・ジュイコーチ、久保健二コーチが新たに加わりました。大きく変わったのは、「練習の意味」をこれまで以上に深く考えるようになったこと。

次の400mトラックはスピードアップを目的とした練習、その目的を個々人で最大化するためには何に気をつけ、実践する必要があるのか。この練習をする今日という1日は、1ヵ月のなかでどのような位置づけなのか。日々の練習を「点」ではなく「線」として捉えるようになれたことで、予選会で最高のパフォーマンスを発揮するための具体的なステップがより明確となりました。予選会本番までに、個人、チームそれぞれの課題と深く向き合い、1日1日を大切に過ごしていきたいと考えています。

「誰かのため」を意識して練習に取り組んだ3年次から大きく成長できた自分。先輩、後輩、OBの皆さま、そして両親。自分たちが走れることは、周囲の支えがあってこそ。長距離ブロックのスローガン「感謝と貢献を持って走道を極める」の意味を、今まさに体感しているところです。今年の箱根駅伝予選会の目標は、チームとしては昨年の20位を上回ること。そして、個人としては駅伝本選に出場すること。応援してくださる皆さまのためにも、目標達成を目指してがんばります。