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「たまたまそこに生まれた」という不平等をなくすために-終わりない学びへの情熱-

大学は、日々さまざまな出会いや活動を通して、自身の専門分野の学びを究める場所です。言葉にするのは簡単ですが、実践できている人はどれくらいいるでしょうか? 「本当にいつも学びに真剣に向き合っている。」そう周りの学生からも評される学生がいます。「平和を公正に共有できる世の中にするために、自分に何ができるのか?」それが玉置さんの学びのテーマ。大学で学ぶことの意味や、今後の目標を聞きました。

玉置 勇人さん 国際学部 国際学科 2年 中学時代に授業で見た「パレスチナ問題」の映像に衝撃を受け、紛争問題や平和への学びに興味を持つ。大学進学後は、世界の紛争、暴力、貧困などの解決に向けた学びを深め、2年次から難民・紛争を含めた非平和に実践的に対処している平山恵教授のゼミへ。アラビア語の勉強も本格的にスタートさせ、ゼミの実習ではエジプトの貧困地域やレバノンへ足を運ぶ。2年次まで学内ボランティアサークル「カンボジア教育支援団体 ぽけっと」所属。趣味は音楽を聴くこと、本を読むこと。

中学生時代に感じた不条理

平和学に興味を持ったきっかけは中学生の時、授業中に見た「パレスチナ問題」の映像でした。生まれてくる環境や国を選ぶことはできません。「たまたまそこに生まれた…」ただそれだけの理由で、貧困や暴力、紛争に巻き込まれ、傷つき、自由で人間らしい生き方ができない現実。その不条理さに心を痛めました。

その後、自分が平和で恵まれた環境にいられるのは偶然であり、自分が非平和に加担していることも実感。同情としてではなく、現実を変えるために何ができるのか。公正な社会、真の平和とは何なのか。今後の学びにつながる大きなターニングポイントになりました。

大学で本当に学びたいことは何か?

高校生になり、よりさまざまな分野へ興味がわきましたが、最終的に自分の進路を決める時も平和学への思いは変わりませんでした。

高校時代、担任の先生が地歴公民の先生で、ディスカッション中心の授業をしてくれたのも大きなポイントでした。「民主主義とは何か?」「定義づけされているものについて、その理由は?」。暗記に偏りがちな科目でも、いろいろな人の意見が聞ける。過去の歴史は変わらないと思っていたけれど、その常識に疑問が生じる…。そんな感覚が本当に刺激的でした。

中でも特に、報道で耳にする遠くの国の紛争や貧困、そこから生まれる難民の人たち。これらの根本的な解決に自分の力を注げないものか、という課題解決に強く惹かれていきました。

限りある時間をどれだけ自分の学びにつなげるか。大学の学部学科で学べる科目や担当教員、講義内容まで徹底的に調べました。自ら選んだ道を納得して進みたかったんです。そこで出会ったのが、専攻に平和学のある明治学院大学国際学科。ここだ!と思いました。

自らプレッシャーをかける!-遠慮なく語り合える仲間との出会い-

入学すると、その学問の領域の広さと学生、教員の熱量に圧倒されました。

-1986年に日本で初めて国際学部を開設し、長きにわたりグローバルな視点から物事を見る姿勢や学びを大切にしてきた明治学院大学。目まぐるしく変化する国際情勢へも一早く反応し、常に最先端の学びを追求し、世界各国で現地調査等を行う授業が多いのも特徴です。

私には怠惰なところがあるので、授業は毎回最前列の席に座り、吸収できることはすべて逃さないように学んできました。休日にはエジプト大使館主催のアラビア語講座に通い、国際平和研究所などが主催するセミナーにもなるべく参加して視野を広げるようしてきました。

そして、毎日このような充実した生活を続けられるのも、自分自身や学びと向き合える機会と環境がこの大学にはあるから。学びへ貪欲な姿を見せることを恥ずかしいと思わず、学問のことにかかわらず、ちょっとしたことでも自分の意見や考えを自由に話し共有し、時に議論できる仲間が大勢いるというのも、本当に居心地のよさを感じます。

エジプト・レバノン実習で感じた、足りない自分

2年生の冬休み、所属しているゼミの実習でエジプト・レバノンに行ってきました。エジプトではエコビレッジと併設されているヘリオポリス大学を訪問し、現地の栄養環境や日本式教育の調査を行いました。レバノンでは赤十字の日本人宿泊所やレバノン赤十字のボランティア救急隊出動基地を訪れ、活動内容や現地の紛争の状況などを、現地で活躍するスタッフに直接伺う機会を持ちました。

現地を訪れる前には、約3ヵ月かけて調査に使用する質問票の項目を練り、アラビア語に翻訳して完成させました。現地との調整や下調べ、自己学習とゼミ生皆が忙しい日々で。それでも、実際に現場に赴きその現実を自分の目で見て、肌で感じたとき、「全然足りないな…」と痛感しました。

予想していた状況と違う、思い通りに調査が進まない…気づくことばかりで、多くの課題を背負って帰国したという感じです。 また、レバノンでは訪問の前後で民主化運動のデモが行われていて、自分たちの行程にも影響が出るほどでした。街中の道路が封鎖され、軍隊が配備され、割られたガラスがそのままにされている風景を目の当たりにしました。日本では考えられない光景です。でも、これは遠くの世界で起こっていることではない…とリアルに感じました。そして、これもたまたま日本だからなかった…と考えると、世界の非対称性を感じます。平和への権利は公平に存在するにもかかわらず。もちろん、日本にも言えることはありますが。

今、報告書を作っていますが、ただただ知識と考える力が全然足りなかった、という思いでいっぱいです。次に現地に赴くときは、そのチャンスを絶対にムダにしない…その思いでひたすらこれからも学びの日々です。

本当に必要な人になるために

現地に足を運ぶと、見えてくることがたくさんあります。将来したいことはまだ明確ではありませんが、強く思うのは「ニーズがあるのに携わる人が少ない、あるいはその活動に持続可能性がない現場で活躍したい」ということです。紛争・貧困と一言で言っても、その中にはさまざまな構造があります。そのことを忘れてはいけないと思いますし、困っている度合いが高いほど、援助の手が届いていないのが現状です。そういったなかなか人が気づかないような、本当にニーズのある現場で活躍する、それが私の目標です。

まだまだ未熟ですし、学びたいこと、学ぶべきことはたくさんあります。国内外、とにかくたくさんの現場に足を運び、経験を積んでいきたいです。そして、自分だけでなく、みんなが平等に夢を追える平和な社会を実現するために、少しでも貢献できたらと思っています。