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やりたいことを原動力に新しい世界へ

2023.09.28

みなさんは物事が思うようにいかないとき、どうしますか? 国際学科に所属する遠藤花南さんはコロナウイルスの流行により、進学先のアメリカから帰国を決め、国際交流のチャンスが激減してしまうという状況に直面しました。それでも国際交流の機会を作り、2022年には国際貢献インターンシッププログラムの一つ「国連ユースボランティア」のためにモンゴルに滞在します。さまざまな国際交流を通じて遠藤さんが学んだこととは。

遠藤 花南 国際学部 国際学科 4年 2021年4月から明治学院大学へ編入。新しい場所で、新しいものや景色・人と出会うこと、食べることが好き。今後行きたい場所はヨーロッパ各国。休日の楽しみはカフェ巡りをすること。好きな言葉は“Wherever life plants you, bloom with grace./置かれた場所で咲きなさい”。

英語「を」学ぶのではなく、英語「で」学びたい

幼いころから自然と日本とは違う文化に触れていたように思います。通っていたキリスト教系の幼稚園で出会ったドイツ人の方と家族ぐるみで交流していましたし、中学生の時から近所に住むアメリカ人の方に英語を教わるようになりました。英語への興味は尽きず高校受験の時には英語をさらに学びたいと思っていたので、英語のカリキュラムが充実している高校へ進学しました。

そして高校3年生になり、日本の大学に進学するか、海外で勉強をするか悩みました。私は英語を学びたいのではなく、英語「で」学びたいという思いが強くあったからです。「英語で学びたいと思うなら日本よりも英語圏へ行ったほうがいいよ」とニュージーランドへ留学してきた友人からも強く勧められ、最終的に渡米することに決めました。

コロナ流行で大きく変わった学生生活

進学先としてアメリカのLane Community Collegeを選び2019年に入学しましたが2年目の2020年2月頃から新型コロナウイルスの影響により、テストがオンライン実施や中止となり、町では日用品が売切れる状態になりました。状況は良くならず結局アメリカから荷物をすべて持ち帰り、日本でオンライン授業を継続しCommunity Collegeでの課程は修了しました。卒業式には出席できず卒業証書を郵送してもらいました。

本来はCommunity Collegeを2年で修了したあと、アメリカの4年制の大学へそのまま編入するつもりでしたが、日本に戻ったことをきっかけに考え直しました。英語での日常的なコミュニケーションは問題なくできたのですが、4年制の大学へ編入するとCommunity Collegeよりも専門的な内容を英語で学ぶことになります。この時自分が専門的な内容を英語で理解し学びを深めることができるのか、不安や自身の限界を感じていました。

高校を卒業してそのままアメリカに行ったことで、元々の知識量も不足していると感じていて、自分の知識としてないものを母語ではない言語で話すなんて不可能だなと。日本でしっかり学んで、そこから日本語でも英語でも学んだことを説明できるようになりたいと、明治学院大学の国際学部国際学科へ編入することを決めました。

明学への編入と国連ユースボランティアへの挑戦

編入後、コロナ禍ではありましたが中高生向けのオンラインによる国際交流授業をアシスタントするインターンシップや、日本語クラスのアシスタントなどを経験し、英語を使って交流する機会を作るようにしていました。そしてインターンシップの授業を覗いた際に、国際貢献インターンシッププログラムのことを知ったのです。当時所属していたゼミの竹尾先生(現:名誉教授)にその話をしたところ、このプログラムの本学での参加発起人の1人が先生だということがわかり、ぜひやってみなさいと言ってくれました。

国際貢献インターンシッププログラムの対象となっていたプログラムはほとんどコロナを理由に中止となってしまい、モンゴルでの国連ユースボランティア活動のみが申し込める状況でしたが、躊躇なく行くことに決めました。志半ばで日本へ帰国したこともあり、明学にいる間、海外で何か活動ができるチャンスがないか探し求めていたからです。留学とは異なる経験ができること、英語圏ではないところで自分を試したいという思いがあったことがモンゴル行きを後押しました。

2022年の9月から2023年の2月までモンゴルの国連常駐調整官事務所で広報のアシスタントをしました。業務はSNSやプレスリリース、ニュースなどを投稿するためのフォローや、若者向けのボランティア推進活動イベントのサポート、国連常駐調整官の補佐や会議のサポートなど多岐にわたります。土日以外はオフィスへ通い、業務を行います。国連という名で広報をすることの責任はとても重く感じましたが、事務所の同僚の方が、学生ボランティアだからと区別することなくこちらの意見に耳を傾けてくれたことで、学生かつ若者を代表する一人としてできることを探し取り組むことができたと考えています。柔軟性と多様性が尊重される職場環境でした。

さらに、モンゴルでは若者が社会課題やよりよいコミュニティの実現に対する関心を持ち、積極的に行動しているように感じました。国連事務所では毎週学生を含む20代のグループUNYAP(United Nations Youth Advisory Panel)が社会課題について議論している姿に感心しましたし、モンゴル国立大学での模擬国連に出席した際は学生たちが英語で堂々と自分の意見を主張している姿が印象的でした。インターンシップの活動をしていくうちに、草原とゲルというイメージしかなかったモンゴルも、都市化による社会課題があることを知りました。卒業論文ではモンゴルの都市化による家族の在り方の変化から社会の変化や問題について書こうと研究を進めているところです。

国際交流に限らず大切なこと

アメリカやモンゴルといった海外での経験は自分が外国人なのだと身をもって感じる機会となりました。自分が外国人としてこういうことをされるんだ、とか、こういう風にみられるんだ、ということをさまざまな場面で気が付いたり学んだりすることがあったからです。アメリカではコロナ禍でアジア人に対する差別的な行為として、バスに乗車した際に故意的に私を見ながら咳をされ傷つきました。モンゴルでは事務所スタッフの8割がモンゴル人である以上、モンゴル人同士の会話がモンゴル語になってしまい、肩身の狭い思いをしました。モンゴル滞在時のルームメイトは韓国人でしたが、現地で韓国人のコミュニティがあり、疎外感を感じることもありました。

こうした疎外感や肩身の狭い思いといった感情も、海外経験なしには気が付かなかったかも知れません。 辛いこともありますが、マイノリティであると感じる経験は、マイナスな側面だけではないと考えられるようになりました。自分自身と向き合いより確立したアイデンティティを構築することができますし、相手に向き合う上でどうしていけばいいのか考えるきっかけになったと思います。

そのため身の回りにいる人は自分と違う価値観や考え方をもっていると考えるようにしています。「自分とは違うものを理解する」という意味でとらえると、国際交流の場面に限らず、どんな場所でも身近に存在します。日本にいてもいろんなルーツや経験、バックグラウンドを持つ人はいますし、世代間でも違いはありますよね。そんな時にも、「自分と違うんだ」と排除したり離れたりするのではなく、相手を尊重し、異なるからこそ相手から何を学べるか考えたり、歩み寄ったりする姿勢が重要だと思っています。そうすることでお互いの違いを理解することになります。

国際学部では、さまざまな視点から日本や国際社会が抱える問題を学ぶことができました。海外のことを学ぶ中で、自分の生まれ育った日本そのものを客観的にみることを学んだと感じています。「国際的なことを学びたい」とただ漠然と思っていたことが、明学へ入学し、日本と向き合いながら、自分の実になるような学びができています。今後、これまでの経験を生かして日本と世界を繋ぐような役割を担いたいと考え進路を検討しています。私のように海外で学びたい方を支援したり、日本のよいところを海外に発信したりして、日本に何かしらの形で貢献したいです。

コロナのパンデミックの中で想定していなかったことが起き、迷うこともありました。でも自分のいる場所から飛び出して、新しいところで行動に移してみることで気が付くことや学ぶことがありますし、実際に挑戦したことは自信にもなります。引っ込み思案で人見知りの部分もあるのですが、これからもやってみたいことへの強い思いを原動力にいろいろ挑戦していきたいです。

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