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「文科省/JASSOトビタテ!留学JAPAN」でカナダに留学。小学校で日本文化の先生として活躍!

2017.09.07

2016年4月から9ヶ月間、カナダの首都、オタワに留学した飯田さん。現地の公立幼稚園・小学校で、子どもたちに日本文化を伝える活動に力を注ぎました。飯田さんが留学に行ったきっかけ、活動の内容についてお聞きしました。

飯田友希(心理学部 教育発達学科 4年)
高校時代より興味のあった障がい者支援を通じ、さまざまな個性が尊重し合える社会をつくる一助となりたいとの思いから、教育発達学科に入学。現在は、語学の勉強をはじめ、今回の留学で利用した「文科省/JASSOトビタテ!留学JAPAN」の広報スタッフ(明治学院大学広報リーダー)として精力的に活動する日々。渋谷恵ゼミ(心理学部教育発達学科)所属。

「悔しい思い」が留学のきっかけに

2016年4月から9ヶ月間、カナダの首都、オタワに留学しました。大学入学前から留学には漠然とした憧れのようなイメージを抱いていましたが、行ってみたい国や目的など、具体的な考えは持っていませんでした。

しかし、2014年4月から2015年1月まで参加していた複数の小学校でのボランティアが留学のきっかけに。児童の学習支援ボランティアとして参加したものの、周囲から孤立してクラスに溶け込めない外国につながる子どもに対して有効な支援をしてあげられず、とても歯がゆく、悔しい思いをしました。そんな折、比較国際教育学を専門とする渋谷恵先生のゼミに出会います。国際的な視点で各国の教育を比較するゼミの研究の中で、多文化共生において先進的な取り組みをしているカナダの存在を知りました。移民が多く、子どもたちのルーツとなる言語や文化が尊重される社会であること、そして英語とフランス語2つの言語の教育を、徹底して行うカナダで学べば、自分の夢であった「さまざまな個性が尊重し合える社会をつくる」きっかけが掴めるかもしれない。そう思いました。

「自分にしかできないこと」を突き詰める

留学の準備のため、2015年1月、国際センター主催の「トビタテ!留学JAPAN」の説明会に参加しました。「トビタテ!留学JAPAN」の留学は、留学する目的はもちろん、目的を達成するためのプラン、さらには滞在先の学校や居住地に至るまですべて自分で決める必要があります。あらかじめ決められたプログラムに取り組むよりも、自分で創り上げて体験するほうが大きな学びにつながると思い、迷わずこの制度を活用することを決めました。留学の準備で一番困ったのは、「カナダのどこで、何をするか」を決めること。カナダの教育現場を学ぶためには、大学ではなく小学校に出向き、そこで働く先生や子どもたちと学校生活を共にするのが一番と考えました。そうなると、受け入れ先の小学校に私を受け入れてもらうメリットをしっかりと考えなければいけません。そこで考えたのが、現地の子供たちに日本文化を伝えること。留学先として希望していたオンタリオ州の中にあるオタワは日本人がほとんど住んでいないと聞いていたため、日本文化を伝えることは現地に喜ばれるかもしれないと考えました。大好きな料理に関する知識だけを伝えるのでは不十分と感じ、コマやメンコ、盆踊りなど、日本ならではの遊びやイベントを事前に勉強しました。

「日本人の学生がうちの小学校にいったい何の目的で?」斡旋会社から紹介された小学校の皆さんは、きっとそう思ったことと思います。幸いにも受け入れの許可をいただき、留学の準備が整いました。

受け入れの許可をもらえた時はとても嬉しかったのですが、現地の子供たちに日本文化を伝えることは、カナダの教育現場を学ぶという留学の目的を達成するための手段。目的と手段を間違えず、私にとってもカナダの人々にとってもプラスになる留学にしよう。そのように強く思いました。


ゼロからのスタートで、日本大使館主催イベントの指導スタッフに

2016年4月からスタートした留学生活は、まずは自分に授業を任せてもらうためのPRから始まりました。「こんな若い子が教えられるの?」「大丈夫?」といった周囲からの声もありましたが、職員室や校長室の前に掲示させてもらった「日本文化クラス」の掲示がきっかけとなり、何とか授業開始にこぎつけました。授業では、どのくらいの子どもたちが日本の事を知っているかを確認するため、まずは日本にまつわるクイズを実施。風習や食べ物などいくつかのクイズをしましたが、日本の知名度が想像以上に低いことに驚きました。そんな中、生徒同士の会話や持ち物に目をやると、日本がルーツのキャラクターやマンガ、ゲームを好む生徒たちがたくさんいることが明らかに。忍者やポケモンなどのルーツが日本と知り、歓声をあげる生徒たち。驚きと喜びに満ちた彼らの表情を見て、心の距離が少しずつ縮まっていくような気がしました。

その後、お箸の持ち方やみそ汁の作り方、盆踊りの踊り方など、授業内容のバリエーションを広げ、学校内で次第に評判に。授業以外のクラブ活動も行い、週に2回、折り紙クラブを主催しました。結果、多くのクラスからお声掛けをいただくことになり、幼稚園から小学校6年生までの13クラスで「日本文化」の授業を任されることになりました。

2016年8月には他の小学校からも依頼をいただき、出張授業に参加。同年12月には大人対象の日本教室も開催し、当初は5人の参加者が最終的には30人にまで増えました。さらには日本大使館主催のスクール・ビジット・プログラムに指導スタッフとして招聘されることに。

日本の文化に興味を持ち、どんどん日本のファンになってくれる子どもたちを見て嬉しかったのはもちろんですが、何より嬉しかったのは、自分が創り上げた環境で子ども同士の仲がより深まっていく姿を確かめられたこと。同じ場や時間を共有し、考え、取り組むことが、お互いを理解し、認め合う上ではとても大切。この点に気づけたことが、留学の大きな成果だったと感じています。

留学は、夢をかなえるためのファーストステップ

大学卒業後は、子供たちが言語や人種の壁を越え、お互いの個性を尊重しあうことのできる社会をつくる一助となるために広い視野を常に持ち続けながら、教育業界に携わる予定です。留学の経験を単なる思い出にせず、自分の実体験を通じて社会を少しでもより良いものにできるよう、残りの学生生活も自分のできることを精一杯行っていきます。

留学はしたいけど、漠然とした不安を持っていて躊躇してしまう方はいらっしゃると思います。留学中は言語や人種の壁を感じることもたくさんありましたが、その「壁」を感じることができたのは、留学に行ったからこそ。「壁」をカルチャーショックと捉え、悩み、考え、乗り越えたときこそ、大きな成長のチャンス。楽しいことはもちろんですが、辛いことや苦しいことも留学の魅力であると捉えて、多くの方に留学にチャレンジしてほしいと思っています。



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