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一生続けたい大好きな書道。大切なのは「基本に忠実に!」

2021.10.01
石川 理央
Rio Ishikawa 石川 理央 社会学部 社会福祉学科 4年

プロフィール:
日本習字に9歳から取り組む。漢字部の五段と「教授」(師範免許の最高位)を取得。基本に忠実に、わかりやすくきれいな文字を書くことを心がけている。社会福祉学科では愛着障害・児童虐待に関心を寄せて学んでおり、一時保護所でのアルバイトを行う。趣味は料理やウクレレ演奏。バターチキンカレーとナン、チャパティなどにも挑戦。

大切なのは基本。100枚以上書いていることも!

書道を始めたのは小学3年生の時。きっかけは近所の書道教室のチラシです。筆を持った子どもの写真がとても格好よく、自分もやってみたいと思いました。

華道や茶道と同様に、書道にもさまざまなスタイルがありますが、私が長年取り組んできたのは「正しい美しい愛の習字」をテーマとする「日本習字」の書道。書き順も含め、誰が見てもわかり易くきれいな文字が書けるための修練を日々続けています。現在、漢字部の五段を有し、成人にも指導できる「教授」の免許(師範免許の最高位)を取得。誰かに教える際、筆の持ち方や姿勢など基本を大事にしています。ちなみに三段取得時に雅号、「桃芳(とうほう)」をもらいました。

筆を持つとき、最も大切なのは基本に忠実にということ。それが一番難しく大切だと思い、いつも「初心忘るべからず」の気持ちで臨んでいます。納得がいかないとき、気が付くと100枚以上書いていることも。何もかも忘れて集中できるところも魅力です。墨汁の香りも好きでいつも心が落ち着きます。

漢字が読みやすくなった歴史を体感。書体の道は奥深い!

書道は歴史をたどっていく作業でもあるところが楽しいです。まず楷書という書体を習い、次に行書という順に進みますが、この流れは書体ができた歴史とは反対です。現在、毛筆には「五書体」とされる篆(てん)書、隷(れい)書、行書、草書、楷(かい)書とありますが、篆書を省略した形として隷書ができ、隷書を早く書くために行書・草書が生まれました。そして、楷書は行書・草書ができる過程で始まった最後の書体です。そのためすべての書体に通じる基本であり、同時に現在の漢字の基本形でもあるので習う際の出発点になっているのです。書道を通して、漢字が読みやすく、書きやすくという流れで変化してきた歴史を実感しています。

貴重な出会いをもたらしてくれた書道

高校では書道部の設立に携わり、副部長と書道パフォーマンスのデザイン作成や指揮を執るパフォーマンス部長を担いました。仲間とのチームプレイや他校との交流も良い思い出です。

大学2年の時には思いがけない出来事がありました。ラジオ番組に応募し、中学時代からファンだったクリープハイプというバンドのライブ会場で書道パフォーマンスを行ったのです。番組内でボーカルの尾崎世界観さんに電話でPRし、念願が叶いました。当日は友人と2人で披露し、たくさんのお客さんを前に想像以上の達成感を味わえました。

また将来、児童福祉職に就くための勉強として、一時保護所でアルバイトをしていますが、そこでは文字の練習の手本を書く機会を得ました。子どもの視点に立ち、書き順から正しく教えたところ、皆とても興味を持ってくれ、自分の書道がコミュニケーションの大きな助けになった瞬間を感じました。 書道を続けてきたことで、思いもよらないような素晴らしい経験ができていることを実感します。

社会福祉学科での学びと将来の目標

児童福祉を専門とする三輪清子先生の4年次ゼミで、社会的養護を必要とする子どもの愛着形成について関心を持っています。高校生の頃から児童福祉職に就くことを目指しており、学ぶ中で、その気持ちがさらに強まりました。

ゼミや講義では、先生方がご自身の経験も教えてくださる機会がとても多く、深く考えさせられます。例えば、授業でこんなお話がありました。ある児童養護施設では地域の方が子どもたちに古着の無償提供をしていました。施設で暮らす女の子が、服をとても気に入り学校へ着て行ったところ、クラスメートに大声で、それは私が着ていた服だと言われ、泣きながら施設へ帰ってきたそうです。私はこの話を聞いて子どもたちには常に細かな配慮が必要であることを痛感し、いつも自分が働く姿をイメージしながら講義を受けるようになりました。最も関心のある児童虐待については、貧困や教育、障害等を含む構造的な問題として捉え、常に点ではなく線で考える姿勢を学んでいます。卒業後はいよいよ公務員福祉職として社会へ飛び立ちますが、こうした明学での学びを糧に成長していくつもりです。

打ち込んできた書道では六段合格を目指しています。最終的には最高位の八段に合格することが目標です。小さい頃から学業とも両立してきた書道。一生続けていきます。

基本を大切にして集中! 真剣に書に向かいます。
馬や山羊の毛の筆。パフォーマンスでは身長より大きい筆を使うことも。
バンドのライブでパフォーマンスを披露!
集中力、リズム、墨継ぎのタイミングも整えた渾身の作品。
趣味はウクレレや料理。お菓子も得意です 。

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