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ピアノは私の人生を豊かにするツール

2024.06.20

「ピアノのおかげでいろいろな人に支えられていると気づくことができました」そう語ってくれたのは法学部消費情報環境法学科4年の上坪亮太さん。「ショパン国際ピアノコンクール in ASIA」で受賞するなどの活躍をしています。そんな上坪さんにとっての明学の理由。とは。

上坪 亮太 法学部 消費情報環境法学科 4年 第24回ショパン国際ピアノコンクール in ASIA
・全国大会 ショパニストB部門金賞
・アジア大会 ショパニストB部門銀賞
人とのコミュニケーションが大好き。軽音サークルL.M.S.に所属し、ピアノ以外の楽器にも触れてリフレッシュしている。趣味は筋トレ。

ピアノとのこれまで

ピアノを始めたのは4歳でした。兄の影響で物心ついた時にはピアノに触れていて、そこからずっとピアノと一緒です。練習しているときは毎日のように辞めたいと思っていましたが、何だかんだ好きで続けています。

小学生の頃は大好きな漫画ドラゴンボールの主人公の悟空に憧れていて、自分もなにかしらで悟空のような主人公になりたいとずっと思っていました。そこから自分の得意なピアノで高みを目指したいと思うようになり、コンクールなどに挑戦するようになりました。そんな純粋にピアノに向き合えていた時に、私の演奏を聞いてピアノを始めたと言ってくれた子がいて本当に嬉しく、少し主人公になれた気がしたことを今でも覚えています。そんな経験もあり中学生くらいまでのピアノ生活は本当に充実していました。

そこから時間が経ち高校3年生の受験期になり、浪人期間を合わせると2年間ピアノから離れる時間がありました。両親が勉強には厳しかったこともありピアノには触れず、ひたすら勉強をする毎日でした。今思い返すとピアノに触れることができなかったあの期間は何事もあまりうまくいかず本当につらい暗黒期だったなと思います。

そんな暗黒期を抜けて明治学院大学に入学しました。明学を選んだ理由は兄が通っていてとても楽しそうだったのと、大学での話を聞いていたので雰囲気をイメージしやすかったところが大きかったです。また、キリスト教の高校に通っていたので、チャペルで流れている音楽がとても身近だったことも理由の一つです。この音楽が豊かな高校生活につながったと感じていたので大学へ進学するにあたっても、キリスト教の大学でまた学びを深めたいという気持ちがありました。

モヤモヤしながら始まった大学生活

大学に入学したものの、本音を話すと明学は第一志望ではありませんでした。そのため、入学時は自分の人生に対して、これからどうしていくか考えられず頭が真っ白な状態でした。大学受験で自分の力を出し切れなかったコンプレックスを抱えたまま社会人になっていくことが自分の中ですごく怖くて、このまま腐っていくのが嫌だなとも思っていました。そんなモヤモヤした悩みを抱えていた時に母が「やるんだったら本気でやりなさい」と尻を叩いてくれたんです。コンプレックスを吹き飛ばすために自分の得意な分野で1回戦ってみようと思い立ち、ピアノのコンクールに参加することを決意しました。ですが2年もピアノから離れていたのでとてもコンクールを目指せるレベルではなく、現実は甘くありませんでした。

ピアノの有名な言葉で「1日やらなかったら、3日分下手になる」という言葉があります。その言葉を2年分のスケールで味わって絶望しました。手の筋肉がすごく衰えていて、指も全く動かない状態でした。大学に通いながらピアノ教室に行くだけでは練習時間が足りない。一体どうやって目標を実現していけばいいのかわからなくて、あの時は本当に心が折れそうになったことを覚えています。

ピアノが気づかせてくれた大切なこと

とにかく練習をしなければコンクールに間に合わないという状況で、大学での練習場所を探していました。そんなときにチャペルにピアノがあるという話を聞き、もしかしたら練習できるかもと思い、横浜キャンパスのチャペルに行ってみました。今思うと本当に良くなかったと思うのですが、そのとき勝手にピアノを弾いてしまったんです。そんな私の演奏をたまたま宗教部の職員の方が聴いてくださっていて、怒られるだろうなと思いながらもダメ元で事情をお話ししたところ、コンクールを目指しているなら誰も使っていない時間で練習してもいいですよ、と言っていただいたんです。そこから学校で授業がある日はチャペルにお邪魔して練習をさせてもらうようになりました。また何日のこの時間帯なら誰も使ってないからと、宗教部の方から提案してくださったこともあって、本当に感謝しかありません。宗教部の職員さんや友人などにサポートしてもらえたことが、一度離れたピアノをまた全力で頑張るという目標への決意を強くさせました。

そこからはクリスマス礼拝の時に伴奏を担当したり、大学の行事にもいろいろと関わらせてもらったりすることができました。高校生の時に聴いたチャペルでの音楽を大学で私が演奏していると考えると繋がりって本当にすごいなと感じました。 またピアノ以外の面では、練習に行き詰った時に所属している軽音サークルに行ってピアノとは関係のない音楽でリフレッシュをしたり、全力で友人と遊んで気持ちの切り替えをしました。サークルで違う楽器などに触れることでピアノの演奏の幅を広げることができたとも感じています。

その後も周りの助けを得て、2年生の時に「第24回ショパン国際ピアノコンクール in ASIA」というコンクールに参加し、賞をもらうことができました。受賞できた時はもちろん嬉しかったのですが、それ以上に今回のコンクール挑戦で自分の周りには応援してくれる人、助けてくれる人がいるということが分かって、本当に心強く感じたことを覚えています。自分の一番の才能は人に恵まれることなんだなと気づくことができました。入学直後は葛藤もありましたが、明学だったからこそ、こんな温かい人たちに出会うことができたと今でこそ思います。

またコンクールを目指した期間で「圧倒的な努力は裏切らない」という根性論を学んだとも思っています。高い目標も地道に努力を積み上げていけば目指せる、というマインドを持てるようになりました。

ピアノから見えた、なりたい自分

コンクールで賞を獲るという1つの目標に向かって全力で取り組む姿を大学の周りの人たちは見守ってくれていて、困った時には助けてくれて、そんな時に人の温かさ“Do for Others(他者への貢献)”をすごく感じました。それも自分との向き合い、自分との戦いが多いピアノをやってきたからこそ、支えてくれる人の存在や、人から褒めてもらえることの喜びをすごく敏感に感じられるようになれたと思います。だからこそ人を支えること、喜ばせることって本当に素晴らしいし、生きていくうえで必要なことだと考らえるようになりました。まだ漠然としていますが、将来は人の支えになり、直接コミュニケーションを取れる職業につきたいと思っています。そのためにピアノで学んだ追求心を発揮して自分の仕事を極め、「上坪だから」と思ってもらえるオンリーワンな人間になりたいと考えています。

また社会人になっても私のアイデンティティであるピアノは続けていきたいと考えています。これまでを振り返るとピアノをやってないときにうまくいってないことが多かったので、ピアノは自分の人生を豊かにするツールだと思って、今後もずっと続けていきます。

受験生へひとこと

私は明学のいろんな人の温かさにすごく支えられました。初めは受験の失敗とかもあって目標を見失っていたのですが、大学の4年間という長い時間で、自分も含めて人って変われる可能性を秘めているとすごく感じました。

なので、何事もあきらめず、大学に入ったらいろんなことに挑戦してほしいと思います。その時に頼れる人、サポートしてくれる人は必ず身近にいるんだよ、ということは覚えておいて欲しいです。

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