- 倉島 那菜 法学部 法律学科 3年 中学の公民の授業で聞いた法律の話をきっかけに法曹の道へ興味を持ち始める。現在は、法律学科の法曹コース(※)に所属。本学提携先の法科大学院への進級を視野に3年次での卒業を目指して奮闘中。サークルは翔法会(法律系サークル)に所属。自習するときは大学の図書館がお気に入り。趣味は音楽を聴くこと、大好きなアーティストのYouTubeを見ること、友人とのカフェ巡り。
法律って生活に密着した欠かせないものだけれど、どこか遠くてわかりにくい。そんなことを感じている人は少なくないのではないでしょうか。そんな中、「女性の味方になりたい」という思いから法曹を目指す倉島さん。2020年にスタートした法曹コースに所属し、夢の実現のために日々を過ごす倉島さんの思いとは?
はじまりは中学の公民の授業で先生が話した雑談でした。
「例えば、あなたが交通事故にあってケガをして、指を失ったとしましょう。 法律の救済策に損害賠償というのがありますが、場合によっては賠償としてほんのわずかなお金しかもらえないこともあるんです。それが現実なんです。」
この話を聞いたときに、「何で?何で?」の連続だったことをよく覚えています。人の生活を正当に守るためにある法律なのに、どうしてそうなってしまうことがあるの? 人が指を失うことって本当に大変で大きなことなのに、その償いをきちんとしてもらえないなんて…あまりにもひどいなと思って。「何で?」という疑問から、だんだん「法律は不思議なもの」と感じはじめ、法律を学びたいという意欲につながっていったことをよく覚えています。
その後高校に進学。大学で学ぶことを決める際、多くの分野について調べ興味を持ちましたが、最終的に選んだのは「法律」でした。あの時感じた「何で?」が今の私の原点。明確に「これがしたい」というものがなかった私にとって、先生の雑談は大きなターニングポイントとなりました。
余談にはなりますが、今振り返ると、当時のあの話は「不法行為にあたるケースで、指を失った本人にも不注意―これを法律的には過失というのですが―があると、過失がお互いに相殺されて全額賠償を求められないことや、加害者に過失があることを証明できないと賠償を求められないといった仕組みになっていること」を知ることになり、指を失った被害者が一方的に賠償を求められるわけではないことにも納得しました。中学生の時、分からなかったことが大学で法律を勉強することで解決できました。学び続ける面白さや必要性を感じながら日々を送っています。
明治学院大学の法律学科を選んだのは、法曹コースがあったから。自分の夢に近づける道が用意されていて、連携している法科大学院の数も多く選択肢の幅が広いことが決め手でした。今は3年次修了とともに飛び級で法科大学院に進学することを目標にしているので、学習計画はかなり綿密に立てています。
はじめ法律の勉強は、普段の授業や定期試験時も暗記で何とか乗り切れると思っていました。しかし、そもそもそれが大きな間違いで。もちろん暗記する部分もありますが、暗記で蓄えた知識に加えて、法律問題を解決するために裁判所が示した判断(判例)について、学説・実務の反応やそれに対するいろいろな意見を見て、その上で、どの考え方や解決策がよいのか、自分の頭で考え、論理的にも、結果的にも世の中に受け入れられる考え方を述べられるまでにならないと話になりません。
特に法曹コース生が履修する「専門演習」は、将来法曹の道へ進むための学びが多く取り入れられている授業なのですが、司法試験で出題された過去問を使用して実践的な議論を授業で行うため、準備もかなり時間をかけて臨まなければなりません。週3コマの授業なので、常にフル回転。その場しのぎで乗り切れるほど甘くはないと痛感しています。ただ、大変な分、刺激や学びも多いですし、夢へ近づくため進んでいるなと感じることもできるんです。
日々、多くの判例や学説を分析したり、周りの意見を聞いたりしている中で、今までまわりに合わせて流されていた私も、自分の意見を持つことができるようになりました。 はじめは「自分の意見を言うこと自体もはずかしい。そしてそれが間違っていた時はもっとはずかしい…」そう思っていました。でも、最近は「間違えるよりも自分の意見を言わないことの方がよっぽど恥ずかしい」ということに気づいたんです。答えが一つとは限らない法律の世界では、自分の見解や思いを持つことはとても重要です。積極性が何よりも求められる環境で、自分自身も大きく変わることができました。
毎日忙しい日々を送っていますが、夢を叶えるために絶対に欠かせないものがあります。それは支えあう仲間の存在です。日々の勉強は本当に大変ですし、悩むことも多い。特にコロナ禍では、人と会う機会も減り、情報交換がなかなかスムーズにできず、ストレスを感じることもあります。そんな時、同じ希望を持った仲間と話し、励ましあい、そしていろいろな意見を持つ人を受け入れながら勉強できる環境があることは、私にとって本当に大きなことでした。
大学に行けば仲間に会えて、その姿に刺激を受けて自分もがんばれる。悩みを分かち合いながら、時に息抜きにと緑の多いキャンパスを一緒に散歩しながら気分転換につきあってくれる。そんなすてきな仲間がたくさんいるこの大学に本当に居心地のよさを感じます。コロナの状況をみながらですが、最近は授業もなるべく対面を選び、大学に来て、授業と自習に励んでいます。先生方も熱心で距離がすごく近い。悩みや質問にもすぐに相談にのってくださるとてもよい環境です。
将来、司法試験に合格して法曹になって活躍することが私の夢ですが、どんな職種になったとしても、女性だからこその視点を大事できる専門家を目指したいと思っています。男性が多い法曹界だからこそ、特に「女性の味方になれる女性でありたい!」というのが私の大きな思いです。
最近、夫婦別姓の問題や、周りの環境が大きく影響しているにも関わらず、虐待をしてしまった母親の行為だけに注目されるニュースなどをよく耳にします。そんな時、どうしても女性の立場が弱いということを感じざるを得ませんし、弱者へのケアもまだまだ足りないと思うんです。法の専門家として女性に寄り添い、問題を解決するための手助けができる…そんな法曹になりたいと思っています。