- 麦野 基和 国際学部 国際学科 3年 神奈川県生まれ、鹿児島県・福岡県育ち。好きなアーティストはSUPER BEAVER。その熱いメッセージと全力のライブパフォーマンスに魅了され、各地のライブに足を運ぶ大ファン。アルバイトでは横浜アンパンマンこどもミュージアムで働き、子どもたちに笑顔と楽しい思い出を日々届けている。おしゃべり好きで、年齢や立場を問わず誰とでもすぐに打ち解けられるのが特技。
「メッセージを聞いてくれた人が、少しでも気持ちが軽くなってくれればいいなって思います。」と語る麦野さん。2年次から3年次にかけて横浜キャンパスの大学祭を企画・運営する戸塚まつり準備会で代表を務め、明治学院大学のキリスト教活動にも積極的に参加しています。大学礼拝(チャペルアワー)では奨励(メッセージ)を学期毎に1回、担当。明学で得た経験、知識、そして人との出会いを通じて、麦野さんが紡ぎ出すメッセージにはどのような想いが込められているのでしょうか。
父親が牧師をしており、何度か転勤があったので、自分も一緒に転勤生活をしていました。神奈川県で生まれ、4歳のときに鹿児島県へ引っ越し、高校進学のタイミングで福岡県へ。引っ越しを繰り返す中で、新しい土地で出会う人々が増え、小学生から高校生まで、多くの人と関わりながら過ごしました。自分のおしゃべり好きで誰とでも分け隔てなく接する性格の原点は、こうした経験にあると思います。
父も母も家族との時間をとても大切にしてくれる人でした。父は仕事が忙しい時でも自分が学校から帰るとキャッチボールによく付き合ってくれ、母が作ってくれたご飯を家族みんなで囲んで食べる時間が好きでした。両親は、家族と過ごす時間の中で「基和のことが大事だよ。」とよく言葉にして伝えてくれました。その言葉を今でも鮮明に覚えていて、こうした温かく安心できる環境を作ってくれた両親には心から感謝しています。そしていつしか、自分も周りの人が安心できるような環境を作りたいと、自然に考えるようになり、その思いがきっかけで、高校生の頃から学校教員になりたいという夢を抱くようになりました。
大学進学を考えた当初は、イメージが良さそうな他大学を第一志望にしていました。しかし、その大学のカリキュラムや学べる内容を詳しく調べるうちに、自分が大学で学びたいこととは少し違うと感じるようになりました。大学では「平和研究」や「多文化共生」といった学際的なテーマ、また多くの社会問題について深く学びたいと考えていて、兄に相談したところ、明学の国際学部国際学科を紹介してくれました。兄は当時、明学の社会学部に通っていて、学生生活やキャンパスの雰囲気など、楽しそうに話をしてくれました。そこから、国際学科について調べていく中で、カリキュラムの柔軟性や、分野を横断した学びがあることを知り、「ここでなら自分の学びたいことを実現できる」と感じるようになりました。そして最終的な決め手になったのは、横浜キャンパスをオープンキャンパスで訪れたことでした。緑豊かで開放感あふれるキャンパスに一目ぼれ。自分の地元も自然が豊かだったこともあって、初めて訪れた場所にもかかわらず、不思議と落ち着く感覚を覚えました。「横浜キャンパスで大学4年間を過ごしたい」と強く思い、迷いなく国際学科への進学を決めました。
大学に入学したからには何かサークルに入りたいと思っていましたが、なかなか決められずにいました。そんなとき、友人から誘われ戸塚まつり準備会に入部することに。最初は流れで始めた活動でしたが、優しい先輩や楽しい同期に恵まれたおかげで、すぐに居心地の良さを感じるようになり、さらには戸塚まつり準備会の代表を務める機会までいただきました。戸塚まつりは「地域との繋がり」を重視し、「福祉・国際・環境」を三本柱に据えた大学祭です。白金祭のような華やかな大学祭というよりは、アットホームな雰囲気で手作り感が魅力の大学祭です。それゆえに予算も限られた中でこの大学祭を成功させるには多くの人が手を動かし、知恵を絞り、自主的に行動をする必要があります。戸塚まつり準備会のメンバーをはじめ教職員の方々、地域の皆さま、さらには行政の方々も関わってくださり、本当に多くの方に支えていただきました。自分は代表という立場で、何か特定の業務を担当することは少なく、そんな自分にできることを考えたとき、辿りついたのは多くの関係者の話を聞き、その人が納得できるように誠実なコミュニケーションを取ることでした。一見簡単そうに思えることですが、現実には実現が難しい課題や耳が痛い意見も沢山あり、悩みながら一つ一つ自分と相手の中で消化しつつ、仲間と協力しながら最後まであきらめずに対応できたことがとても貴重な経験だったと思います。
小さい時から教会に通っていたので、大学に入学後も昼休みには定期的に大学礼拝(以下、チャペルアワー)に出席していました。チャペルアワーでは聖書朗読や賛美歌、祈り、奨励(以下、メッセージ)などが行われます。静かに自分と向き合い、心を落ち着かせる時間ですが、ここでも嬉しい出会いがありました。チャペルアワーに出席するうちに、自然と宗教部職員の方と話す機会が増え、このつながりをきっかけに、チャペルアワーの司会を2週間に1回担当させていただくようになりました。2年生からはメッセージでの登壇も経験し、戸塚まつり準備会の活動が忙しくなった後も、学期毎に1回はメッセージの機会をいただくことができました。メッセージは、聖書や信仰から教えられたことをもとに話すことが一般的ですが、私自身、聖書や関連する学問についてまだ勉強不足であることは否めません。それでも、今の自分にとって大切だと感じているのは、同世代の大学生として明学生にキリスト教活動をより身近に感じてもらうことです。そのため、メッセージでは自分の実体験や日常のエピソード、趣味や家族との出来事などで「あっ、これいいな」と感じたことを素直に伝えるようにし、それが聖書でどのように解釈されているかを話すように心がけています。自分を通して「こんな学生もいるんだ」と感じてもらえれば嬉しいですし、人間関係や環境の変化に一人で悩んでいる学生がいたら、自分の言葉で少しでも気持ちが軽くなってくれれば、という思いで登壇しています。これまで私自身、明学の中で多くの方に出会い、支えられてきました。その出会いに感謝し、自分もまだ未熟ではありますが、人に寄り添い、その人をそっと肯定できるような人間になりたいと強く思っています。
将来は福岡に戻り、母校の高校で聖書科の教員になるという目標があります。キリスト教が伝える「愛」と「希望」や豊かな思想を高校生たちに伝えながら、自分と他者を大切にする心を育めるような教員になりたいと思います。そのために、まずは明学で社会科の教員免許を取得し、卒業後は他大学に編入して聖書科の教員免許を取得することを目指しています。
進学先を決める際には、大学のイメージや名前、偏差値だけで決めるのではなく、「自分が本当に学びたいことが学べるか」「その大学で自分らしい学生生活を送ることができるのか」を、納得できるまで調べ、考えてほしいと思います。大学は人生の大切な時間を過ごす場所であり、進む道によってその後の選択肢や可能性が大きく変わるからです。もちろん、調べた結果、もしそれが明治学院大学でない場合であっても、それは仕方のないことですし、自分で選んだ進路こそがきっと正解だと思います。しかし、それでも私は受験生の皆さんにこう伝えたいです。「明学であなたを待っている人がいるよ」と。