- 興津 翔平
全日本空輸(ANA) オペレーションサポートセンター
空港サポート室旅客サービス部 旅客サービスチーム
2018年 法学部 消費情報環境法学科卒 1995年福岡県生まれ。2014年明治学院大学に入学。ラグビー部に所属し、3年次以降は中心選手として活躍。ANA入社後もラグビーを続け、現在はラグビートップイーストリーグ「BIGBLUES八千代ベイ東京」の選手として活動している。趣味は「外に出る」こと。休日は全国各地でキャンプやスキーを楽しむ。
2018年に法学部消費情報環境法学科を卒業し、全日本空輸(ANA)に入社した興津翔平さん。入社後3年間は福岡空港に勤務し、グランドスタッフとしてお客様と向き合う日々。2021年からはオペレーションサポートセンターにて、空港スタッフに向けたルールづくりやデジタルサービスの開発を行っています。快適な空の旅を実現するために、常にチャレンジ精神で仕事に臨む興津さん。胸にはいつも “Do for Others(他者への貢献)”の思いを秘めています。
2018年に、総合職(現グローバルスタッフ職)として全日本空輸(以下、ANA)に入社しました。当時は、初期配属で空港の旅客サービス係員を経験することになっていて、私は福岡空港に出向という形で配属。3年間の現場勤務を経験しました。
就活を始めたばかりの頃、実は「絶対にこの業界に行きたい」という明確な希望はありませんでした。自分の力が生かせる場所で働きたい。なんとなくそう思っていました。それと、私自身が休日の過ごし方をとても重視する人間なので、人々の余暇の時間に感動を与えられる仕事ができたら、という思いも業界や企業を見る基準の一つでした。デベロッパー、百貨店、航空……たくさんの企業がある中で、どこでならば自分の力を発揮できるのだろうか。そもそも、自分の力って何だろう。そう思い、分析してみました。法学部で学んだ法律の知識、スケジュール管理能力、問題解決への意識、コミュニケーション力……明学で学んだことが自分の強みになっていると気付きました。そう考えて選んだのがANAでした。
2014年に明治学院大学へ進学しました。明学を志望した理由は文武のバランスの良さに惹かれたから。明学に進めば文武の両面を鍛えて、立派な社会人になれるはず。漠然とですが、高校時代は明学に対してそんなイメージを抱いていました。
まずは「武」についてです。高校時代はラグビー部に所属し、3年生の時にはキャプテンを任されていました。部活のレベルでいうと、県内でベスト8くらい。3年間ラグビー漬けの日々を送りました。でも、やり切ったという実感はまったくなかったんです。大学でもラグビーを続け、選手としてもっとレベルアップを図りたい。そんな気持ちで、大学を探していました。
大学探しの過程で明治学院大学に興味を持ちました。当時、明学のラグビー部は関東大学ラグビー対抗戦BグループからAグループに昇格したばかり。波に乗っているところだし、自分の技術を上げるにはこれ以上ふさわしい環境はないだろう。これが明学を選んだ「武」の面での理由です。
でも、部活に没頭するだけの大学生活を送りたくはなかった。せっかく大学へ進学するからには、「文」の面でもきちんと自分を鍛えたいと思っていました。チームスポーツであるラグビーには規律やルールが重要ということもあり、法学には関心がありました。そうしたルールづくりやその仕組みなどを突き詰める勉強がしたいなと。熟考した結果、明学の法学部を志望。無事合格してキャンパスライフがスタートしました。
入学と同時にラグビー部に入部しました。練習は週に6日で、1日はきちんと休みが取れます。練習内容は、フィジカル的にはついていくのに問題がなさそうだと感じていました。でも高校の時とは異なり、自分自身で弱点を見つけて個人練習で解消していく自主的な問題解決能力が求められている印象を受けました。
弱点は一気に解決できるものではありません。短期間で急激なトレーニングを積んでもダメなんです。一定のペースで鍛錬を積み、少しずつ改善していく。地道なトレーニングを継続できるよう自分をコントロールする意識が大切です。
ラグビー部ではメンタルの強化とともに、スケジュールを管理する力も養えました。私が進んだ法学部は、1~2年が横浜キャンパス、3~4年が白金キャンパスでの授業になります。練習場は戸塚にあるので3~4年次は白金と戸塚を行き来しなければなりません。授業には当然きちんと出たかったのでスケジュールを緻密に管理することで、しっかりと文武両立を果たせたと思います。
そしてもう一つ、明学ではコミュニケーション力を鍛えられました。ラグビーはチームスポーツなので意思の疎通も不可欠です。言葉を交わすのはもちろん、目を合わせたり、表情を見たりすることで相手の気持ちをくみ取ります。逆に自分から、自身の意図や思いを発信していくことも大切です。
明学の学生はラグビー部の部員に限らず、明るく穏やかで社交的な人が多い。そうした開けた社交的な環境に身を置くことで、おのずと自分のコミュニケーション力を磨くことができたと思っています。
2018年にANAに入社し、まずは3年間、福岡空港で旅客サービス係員の仕事に奮闘しました。お客様と向き合い、会話を交わす。接客の仕事って楽しいと感じる一方、困難を感じる場面も多々ありました。業務に万全を期していても空港では悪天候による航空機の欠航や遅延といったイレギュラーが発生してしまいます。いつ飛ぶのか分からない、そんな状況に不安が募るお客様も少なくありません。そうした時こそグランドスタッフの力量が試されます。いつも以上に冷静でいるように努め、お客様が少しでも落ち着けるよう、明るく穏やかなコミュニケーションを心掛けました。
一方で、今も忘れられないうれしい出来事もありました。入社1年目、いつものようにカウンター業務を行っていると、これから就活で東京へ向かうというお客様に出会いました。そのお客様が「僕、ANAに入社したいんです」と。前年まで就活生だった自分の姿と重なり「応援してあげたい」という気持ちが湧いてきました。そこで、座席に「頑張ってください」というメッセージを用意しました。すると数日後、そのお客様が福岡空港に戻られた際に「あの時は感動しました。ありがとうございます」という感謝の手紙を頂いたんです。接客業の喜びを実感するとともに、仕事へのモチベーションが一気に高まりました。その手紙は宝物として、今も大切に保管しています。
その後、2021年から東京・羽田にあるオペレーションサポートセンターに勤務しています。グランドスタッフに向けた規定やルールづくり、デジタルサービスの開発・保守などが業務。ここでは明学で学んだ法律の考え方も役に立っています。お客様と直接向き合う機会は減りましたが、そのぶん空港勤務のスタッフとのやりとりが増えました。
今の仕事には、福岡空港に勤務していた時とは異なる難しさがあります。例えば本部が空港勤務のスタッフに向けて新しいルールを策定する場合、現場のスタッフが必ず賛同してくれるとは限りません。そんな時に本部と現場の間を取り持つのが、オペレーションサポートセンターに所属する私の仕事です。現場が納得し、新しいルールを受け入れてくれるよう根気よく話し合いを続けなければなりません。
問題解決のために私はできる限り現場に出向こうと決めています。メールでのやりとりでは真意が伝わらずに冷たい感じになってしまうこともありますが、現場に出向き顔を合わせると、お互いに「なんとか理解しよう」という気持ちが芽生えてくる。顔と目を合わせるコミュニケーションって大事だなと、つくづく感じますね。
私が大切にしている「コミュニケーション力」と「他者を理解する力」。あらためて考えてみると、これって明学の教育理念“Do for Others(他者への貢献)”から学んだものなんです。
“Do for Others”の5つの教育目標は、どれ一つとして欠けてはいけないもの。社会の一員として生きていくためには絶対に意識し続けなければならないものと思っています。社会での生活に自分一人の力で完結できるものなどありません。私はそのことを、明学とラグビーに教えられました。
また、私は、「食わず嫌いをやめてみる」こともモットーにしています。ちょっと嫌だなと感じるものにこそ、挑戦する価値がある。社会人になると会社や上司の目が気になり、無難な道を選んでしまいがち。でも、学生時代は経験の数を積むことが重要で、失敗も許されます。授業、部活、サークル活動、アルバイトなど、学生時代にはいろいろな入り口があります。最初はできなくて当然。在学生や受験生の皆さんには、「自分ならできるはず」と過信することなく、「失敗して元々」の気持ちでどんどんチャレンジを重ねてほしいと思います。