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明学で共に学んだ経験が、ニュース番組での「あうんの呼吸」につながっている

2023.12.12

新潟全域をカバーするテレビ兼ラジオ局「BSN新潟放送」の顔である、夕方のニュース番組で、キャスターとスポーツ担当アナウンサーとして共演中の関根さんと前野さん。「同じ明学のキャンパスで学んだ者同士、強い信頼関係で結ばれている」と口をそろえるお二人に、現在の仕事の内容ややりがい、明学での思い出について聞きました。

Sonoko Sekine 関根 苑子 2016年 法学部 法律学科卒

BSN新潟放送 報道制作局 報道部 キャスター
明治学院大学卒業後、一般企業、NHK新潟放送局キャスターを経て、2019年BSN新潟放送に入社。明学在学中は野球サークルのマネージャーを務め、西武ドーム(現ベルーナドーム)でビールの売り子のアルバイトも経験した野球好き。

Tomoro Maeno 前野 智郎 2019年 法学部 消費情報環境法学科卒

BSN新潟放送 報道制作局 アナウンス部 アナウンサー
明治学院大学卒業後、2019年BSN新潟放送入社。小中高と野球に明け暮れ、明学在学中は野球サークルに所属。同放送局の男性アナウンサー4人で結成したボーカルダンスユニット「イケメン四銃士」の一員としても活躍している。

BSN新潟放送「BSN NEWS ゆうなび」

現場の興奮や地域の願いを、声で伝え、届けたい

― お仕事について教えてください。

関根さん
2019年の入社以来、新潟放送の夕方のニュース番組「ゆうなび」で、MC兼キャスターを務めています。記者が書いたニュース原稿を伝える一方、自ら取材し、原稿を執筆したニュースも読みます。毎朝、県内各地の取材先に赴き、取材対象者に話を聞き、カメラマンに「この角度から撮影を!」とカメラ割りも指示。会社に戻る車内で原稿を書き、帰社後はVTR編集者に「この表情を盛り込んで!」などのディレクションも。こうした作業を夕方まで行ない、その他のニュース原稿に目を通し、18時15分からのオンエアに臨みます。

前野さん
バラエティ番組のリポーターや、ラジオ番組のアシスタントなど、さまざまな声の仕事を担って経験を積み、入社5年目の今年、スポーツ担当のアナウンサーになりました。主な仕事は、剣道実況やサッカー、ラグビーなどのリポート。各チームを研究・取材して知った最新情報を盛り込みながら試合展開を説明し、解説者のコメントも引き出します。また「ゆうなび」のスポーツコーナーで、各競技の注目選手を紹介することも。記者が書いた原稿を読むキー局のアナウンサーと違い、自分の担当コーナーに関しては、自分で取材して原稿を書き、撮影や編集作業にも立ち会うのが基本です。

― アナウンサーを目指したきっかけは?

前野さん
中学生の頃、プロ野球ドラフト会議のテレビ中継を見て、現場の興奮を声で伝えられるアナウンサーの仕事に惹かれました。

関根さん
私もきっかけは野球絡みです。全国高等学校野球選手権大会を高校生の時にテレビで見て、地元応援団の様子を伝えるアナウンサーのリポートに感動。「応援する人たちの熱い思いを、誰かに伝える仕事ができたらいいな」と感じました。

― 夢を叶えるために、どのように切り開いていったのですか?

前野さん
大学2年生の時に、アナウンススクールへ入学しました。翌年、BS朝日の学生キャスターに受かり、学生アナに抜擢されたことで、「本気でアナウンサーを目指そう」と決意。キー局から地方局まで、全国のテレビ局を受験し、新潟放送に局アナとして採用されました。

関根さん
私はアナウンサーに憧れつつも勇気を出せず、就活中は1社もテレビ局を受けずじまい。一般企業に入社しました。でも、どうしても夢を諦めきれず、1年で退社。年下の現役学生に交じってアナウンススクールで学び直し、NHK新潟放送局の契約キャスターを経て、新潟放送の局アナになりました。

― 仕事のやりがいは?

関根さん
地域の声をすくいあげ、届けられることです。以前、台風被害に見舞われながら支援対象外とされた地区を取材したことがあります。その際に、「被害規模は小さくても、悲しみは同じ」との被災者の声を聞き、市の記者会見で、「この気持ちに行政は応えないのですか?」と、思いをぶつけました。すると、私の質問がひとつの契機となり、その地区も支援対象になったんです。取材を受けてくれた方から「ありがとう」と言われ、泣きそうになりました。

前野さん
ひとつは、大好きなスポーツに携われること。もうひとつは、子どもたちと関われることです。新潟放送が主催する読み聞かせ講座で、小学校を訪問したことがあったのですが…。そこで知り合った子と、偶然、取材先で再会し、「教わったことを実践しています」と言われ、感激しました。

― お互いの存在についてどう感じていますか?

前野さん
私が関根さんに感じるのは絶対的な信頼感です。生放送のニュースでは、オンエア中に時間が足りなくなり、担当企画の一部がカットされることもあります。思い入れのある担当企画を一部でも削られるのはつらいと感じることもあるのですが、そんな時、関根さんのとっさの判断で救われることもあります。

ある日の「ゆうなび」で、私の企画をオンエア中、「VTR後の前野のコメントはカット」との指令が。でも関根さんが「私が帳尻を合わせるからコメントさせてあげて」と進行担当者に掛け合ってくれ、おかげで予定通りコメントできました。生放送の緊張感のなか、時間配分を瞬時に判断し、「行け!」と背中を押してくれる関根さんは、明学の教育理念“Do for Others(他者への貢献)”を体現した人だと感じます。

関根さん
卒業年度は違っても、前野さんは入社年度が一緒の同期。同じ東京出身で、新潟に知り合いがいない者同士、同窓生だと知った時は「まさか!」と、異国で同胞と出会えたような気持ちで、ものすごく嬉しかったんです。前野さんは、会えば「僕に何かできることはないですか?」と聞いてくれる人ですね。信頼関係が構築できているからこそ、生放送中にハプニングが起きてもあうんの呼吸で対応できます。同窓のよしみで生まれた絆が、番組の質の向上にも役立っているのかもしれません。

関根さんが、毎日の取材に欠かさず持参するノート。小さな情報も聞き漏らさず書き留めるため、1年間で20冊ほどに。

明学での学びが、今の仕事を支える基礎に

― 明治学院大学を選んだ理由を教えてください。

前野さん
年の離れた妹が、幼い頃からぜんそく持ちで……。国境を越えて飛来するPM2.5などの汚染物質がぜんそくの原因のひとつとされていますが、日本にはそうした物質を規制する法律がなく、歯がゆい思いをしていました。高校時代に進路について調べたところ、法学部の消費情報環境法学科なら、環境に関連した国際法を学べると知り、迷わず明学を選びました。

関根さん
アナウンサーなどメディア業界で働く卒業生が多かったこと、白金キャンパスの雰囲気に魅了されたこと、の2つが理由です。法律学科を選んだのは、社会的課題を分析するには法律の知識が不可欠だと考えたため。授業では法律の知識はもちろん、SNSによって露呈した誹謗中傷や著作権侵害などの社会問題もいち早く学びました。それらが今、ニュース原稿を書く際の基礎知識として、大いに役立っています。

― 在学中、特に印象に残っていることは?

関根さん
3年生の時に「ミス明学」に応募。ファイナリスト5人のうちのひとりに選ばれ、白金祭に向けて約半年、スピーチなどの練習を積みました。同時に、都内の大学の「ミス・オブ・ミス」を決めるイベントにも5人で参加。大学代表のような立場で活動するなか、愛校心が高まり、「受験先を決めかねている高校生たちに、明学をPRしよう!」と集合写真を撮り、SNSに投稿もしました。白金祭では「準ミス明学」に選ばれ、よい思い出になりました。

前野さん
メディア業界の現状を知ることができる「メディア論」の授業が印象に残っています。読売新聞の元記者の方が講師ということもあって、実際の記事を取り上げた実践的な授業でした。授業が興味深くて、毎回レポートに感想をびっしり書き込み、提出していたところ、読売新聞のインターンに推薦してもらえました。しかもインターン生の中から優秀者に選ばれ、ジャイアンツのロゴ入りネクタイまでゲット。生粋のベイスターズファンですが(笑)、今も大切に持っています。

いつか、競馬の実況アナになることが夢という前野さん。自作の出走表を作って競馬場に行き、実況を自主練中。

先生の言葉を胸に、夢への挑戦を決意

― お二人が思う「明学らしさ」とは?

前野さん
先生も学生も、他者への思いやりの心を持っていることです。特に、法律学科の伊室亜希子先生のゼミの穏やかな雰囲気が好きでした。就活で全国のテレビ局を回っていたので、授業や合宿に出席できないこともありましたが、みんな温かく迎えてくれました。今も私が全国放送の番組に出演すると、先生が「見ましたよ!」とわざわざメールをくださるんですよ。ゼミ仲間とも頻繁に連絡を取っています。先日、全く知識のないラグビーの実況を担当することになった時は、体育会ラグビー部出身のゼミ仲間が、ルールや観戦のポイントを教えてくれました。そのおかげで無事、乗り切ることができました。

関根さん
私も「学生と先生の距離の近さ」が明学の魅力だと思います。就活の際に強く感じたことですが、同級生同士で「就活はどう?」と声を掛け合ったり、気にかけてくれる先生の存在があったりして、自然体で、他者を思いやる雰囲気がありました。私は1年間の社会人経験を経て、アナウンサーになりましたが、一般企業から内定をもらった時、「アナウンサーへの思いが消えないなら、一度社会に出てからでも挑戦はできる。企業で働いた経験から紡げる言葉もあるはず」と、仲間や先生に励まされたのを思い出します。そして、「やっぱり挑戦しよう!」と思えたのは、仲間や先生の言葉があったからです。

― これから社会に羽ばたく後輩へ、メッセージをお願いします。

前野さん
3年生になると、就活が始まりますね。「面接で何を話したらいいのかわからない」という人もいると思います。そんな時は、興味があること・好きなことを徹底的に調べ、「持ちネタ」にしてみてはどうでしょうか? どんなに小さなテーマでも、現場に行き、出会った人に話を聞いて考察し、自分の言葉に落とし込めば、ネットにはない「私だけの経験」になります。私自身、青春18きっぷで全国の銭湯を巡った体験を面接で話し、「銭湯の子」と覚えてもらえました。

関根さん
企業が知りたいのは、「入社したら、この人はどんな力を発揮し、貢献してくれるのか」ということです。テレビ局を受験中、そのことに気づき、意識的に伝えるようにしたら、急に内定をもらえるようになりました。アナウンサーを目指している人のなかには、「自分の声で人々を笑顔にしたい」という志望理由を話す人が、たくさんいるでしょう。そのなかで、埋もれないようにするには、「自分は何が好きか」「そのためならどう頑張れるのか」を分析して自分なりの言葉にし、伝えてみるといいかもしれません。

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