スマートフォン版を表示

自分のためが誰かのために

2024.01.16

「自分のためにやってきたことが、結果的にその先にいる誰かのためになればいいと考えています」。そう語ってくれたのは社会学部社会学科4年の瀬尾柚月さん。地元での活動と学内団体の2つでボランティアを行い活躍しています。大学入学からさまざまな活動を続ける瀬尾さんの原動力とは。

瀬尾 柚月 社会学部 社会学科 4年 地元で活動していたボランティアが2021年度生活クラブ神奈川のキララ賞(かながわ若者生き活き大賞)を受賞。 大学ではボランティア活動に力を入れている。趣味はクラシックバレエとキャンプ。小さい頃に始めたクラシックバレエは今も続けている。キャンプはキャンプ好きな家族とだけでなく、最近では友達とも行き始めた。

空振ってもいいからチャレンジする

中学校まで陸上に熱中していました。0.1秒でも速く走れるように日々練習していたのを覚えています。そんなスポーツ中心の生活を送っていたので、高校では今までとは違う学生生活を経験したいと思い、青春を味わえそうな軽音楽部に入部しました。そんな全力で楽しみ尽くした高校生活の中で、周りの友達には「何事も全力でやってるけどなんか少し空振ってる」と見られていたみたいです。体育祭のクラスTシャツには「全力空振り少女」という文字が書かれていました(笑)

今も、空振りたくないと思いつつも、やりたいと思うことがあれば全力でチャレンジしています。今行っているボランティア活動もその考えがあったから始められました。

明学で変わった考え方

高校の地歴の授業で、フィリピンのスモーキーマウンテンという貧困地域で暮らす少女のドキュメンタリーを見て、大学生になったらボランティアをやりたいと漠然と思っていました。社会問題や国際問題を授業で勉強するたびに、自分にできることがあるのではないかと考えるようになり、ボランティアに力を入れていて、そういった活動を実践する環境が整っている明学を選びました。

また社会問題などを分析する力をつけたいとも思っていたので、社会学部社会学科を選びました。社会学を学んでみて、物事に対する考え方がすごく変わったなと感じています。私は正義感が強いタイプだったので、今まで社会問題に対して、こうあるべき、これはこうなんだと決めつけて判断をしてしまうところがありました。ですが、「自分個人の視点ではなく、社会全体がどうであるかの視点を持つことが大事」だと社会学から学ぶことができました。

まずは社会の歴史や背景を理解し、さまざまな立場の人たちの考えや行動を分析する必要があるという学びは、自分の考え方やボランティアの活動にも大きく影響を与えてくれたと思っています。

地元のボランティア活動で得たもの

地元の茅ヶ崎市で食品ロス問題に焦点を当てた活動をしています。小学校の同級生が食品ロスに関する活動をしていて、一緒にやらないかと誘ってもらったのがきっかけでした。

初めはSDGsに関する記事をSNSで投稿したり、飲食店の食品ロスを削減するために、食べきれなかったらお持ち帰りが出来ます、というステッカーを飲食店に配るという活動から始めました。

そこから飲食店の食品ロスに限らず、根本的に食を大切にする気持ちをもっと広められたらいいよね、という話になり、自分たちの住んでいる地元の茅ヶ崎でまず実行していこうとなりました。

茅ヶ崎は、南は海に接していて北には畑が広がっています。その北側で、想いをもって有機野菜などを育てている方がたくさんいます。その農家さんたちのお話を聞く機会を作りたいと思い、自分たちで場所を借りて、農業についてのお話し会を開きました。お話し会の後に実際に有機野菜販売をしたり、畑ツアーを企画することで、農家さんたちの思いや食への大切さを知ってもらえたらうれしいな、と考えるようになりました。

最初は食品ロス問題を解決しようと始めた活動でしたが、素敵な農家さんたちと接していくうちに、いつの間にか問題を解決しようという考えよりも、この活動の楽しさを多くの人と共有したいという考えに変わっていきました。その考え方の変化があったから今も活動を続けられているのかなと思います。

学内でのボランティア活動で得たもの

学内ではJUNKO Associationというベトナム・ミャンマーで教育支援を行う学生団体に所属しています。現在は4年生としてサポートに回っているのですが、3年生の時に団体の中で2つのチームのリーダーを務めていました。組織の人材育成をするチームと広報会員部という、会員獲得や会員向けのための広報を行うチームを担当していました。

コロナ禍でオンラインでの活動が続いていたので、自分が誰のために、何のために活動しているのか実感を持てないことから、メンバーがモチベーションに悩むケースが多くありました。

私の同期も半分ぐらいが辞めてしまい、私自身も1年生の時にモチベーションに悩みました。自分が何のためにこの時間を使っているのかを考えてしまって。でもそれを切り替えられたきっかけがありました。

JUNKO Associationでは 1年に1回、リーダーの立候補者が1年間のビジョンを演説します。1年生の時に同期が海外支援プロジェクトのリーダーとして立候補したことがすごく衝撃的でした。私は、誰のための支援なんだろうと悩んだり、地元での活動を並行していたのもあって、どちらかの活動をセーブしようとしていたときでした。そんなときに同期がすごく楽しそうに、「私これを実現したいんだよね」と選挙のマニュフェストを説明してくれました。それがすごくキラキラして見えて、活動に全力になっている姿が羨ましかったのを覚えています。そんな気持ちでやれたら絶対楽しいだろうな、と。

私もそうなりたいし、中学生や高校生の時って何でも全力で挑戦していたな、とそのとき思い出したんです。もう1度全力で挑んでみたい!といつの間にか火がつき、片方の活動をセーブするのではなく、2つの活動を両立させてどちらも全力でやるためにはどうしたら良いのか、考えるようになりました。その結果、3年生の時に2つのチームのリーダーを担当していました。

2つの活動を通して得たマインド

2つの活動を通して、自分のモチベーションや、ボランティア活動を続けていくことに対しての気持ちが明確になりました。当たり前ですが、ボランティアはアルバイトと違って、お金はもらえません。活動を続けていくということは、なぜ自分がボランティアをしたいのかを常に問い続けることになります。その理由を探るなかで、私の場合、それが「誰かのため」になってしまうと活動が継続できないのではないかと考えるようになりました。どんな行動でも「自分がやりたくてやっている」というマインドでいる方が、前向きに活動できると気づけたことは自身の成長へ繋がったと感じています。

自分の行動が誰かのためになっているのかは相手にしかわからないことで、自分では判断できないと思います。「自分のためとやっていることが、結果、ほんの少し誰かの手助けになっていたらいいな」というくらいライトに考えられるようになれました。

これからも、マインドを大切にして

卒業後は人材紹介の会社に進みます。今までの活動を経験してこの業界の選択に至ったと思っています。 2つの活動で、自分がこうありたいという自己実現のために動いている人たちにたくさん出会いました。すごく真剣に、目をキラキラさせて何かを努力している人たちに出会って、自分もこうありたいなと思ったし、こういう人たちをもっと増やしたいという思いがすごくありました。それが人材業界に繋がった1番の理由だと思っています。

また、ボランティア活動時に自分のモチベーションに悩む中で、組織は人でできているということや、その人の気持ち1つで何事も大きく変わることを経験して、人に働きかければ社会が変わる実感をしたというのも理由の1つです。

社会人になっても自分の先入観でこうあるべきという決め方はせず、相手に寄り添って背景を知り、目標に向かって頑張る人を支えていきたいと思います。

これからも自分のためにまず行動をして、それが結果誰かのためになればいいな、というマインドで進んでいきたいです。

おすすめ