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新種のバラ「ICAN」から核問題を伝えたい! 平和について対話しよう

2022.05.13
曾我 惇人
Atsuto Soga 曾我 惇人 国際学部 国際学科 4年

プロフィール:
高原孝生教授のゼミに所属。平和について学び、実践し、発信するサークルPeace☆Ringで代表を務めている。戸塚まつり準備会でも活動中。 趣味は写真撮影。星空をきれいに写すことに熱中している。

バラ「ICAN」から考える「核問題」

2022年1月20日、代表を務めるPeace☆Ringが主体となり、横浜キャンパスで「ICAN」(アイキャン)という品種のバラを5株植樹しました。「ICAN」は広島で被爆されたバラ育種家の田頭数蔵さんが作った新種のバラです。2017年に核兵器禁止条約が国連で採択され、貢献したNGOの「ICAN」(核兵器廃絶国際キャンペーン)がノーベル平和賞を受賞しました。そのことに心を動かされ、名付けられたそうです。

Peace☆Ringに核問題に関心を持つメンバーは多く、2021年1月22日に核兵器禁止条約が発効したこともあり、「核兵器禁止条約について考える機会を作ろう」と考えていました。そんな折に顧問の高原先生からバラの植樹を提案いただきました。

横浜キャンパスでさまざまな企画を展開している学生と教職員の活動「横浜キャンパスプロジェクト」とも協力し、「明治学院大学ボランティアファンド学生チャレンジ」から費用の援助を受けて今回の植樹が実現。当日は、横浜在住の本学卒業生でもある、日本原水爆被害者団体協議会事務局次長の和田征子さんが来学くださり、お話会も開催しました。現在、5鉢のバラがメンバーの世話を受けて育っています。ピンクの花が咲くのが楽しみです。

植樹について、朝日新聞、神奈川新聞、東京新聞の3社の取材を受けました。記事を読んだという近隣の方から反響があり、感動しています。広く伝わってほしいと思って活動をしていましたが、キャンパスの外からも反応をいただけたことはとても嬉しいです。

授業で学んだ核問題がきっかけで、明学に入学

核問題に初めて向き合ったのは、グループワークで「核問題」を取り上げた高校3年生のときでした。調べる中、日本の核問題への姿勢と核のない世界を目指す取り組みを知り、もっと平和について学びたいと考えるようになりました。

その頃、明治学院大学のオープンキャンパスに初めて参加しました。アメリカの学生と広島・長崎を旅し、日本の戦争における被害や加害を学ぶという国際学科の高原ゼミの校外実習報告に触れ、入学を志しました。

入学後に校外実習に参加する方法や内容について高原先生にお伺いした際、「先輩が明日のカフェに来る。話を聞いてみたらどうか」と紹介いただいたのがPeace☆Ringの活動でした。「カフェ」とは、時事問題や社会問題についてみんなで意見交換をするPeace☆Ringの活動のことです。

自分と違う意見こそ、考えを深めてくれる

カフェに参加してみて、印象的だったのは私の意見に耳を傾けてくれ、それを否定せず自分の意見も述べてくれる先輩たちの姿。忌憚なく意見を交わせる方々ともっと関わりたい、自分の考えをもっとうまく言葉にしたい。そう思ったのが入部の決め手になりました。

「人の考えを聞いたり、自分の意見を話したりしたいけど難しいテーマ」も時にはあります。Peace☆Ringでは、さまざまなバックグラウンドを持つメンバーが、多様な意見を持っているので、少し難しいテーマについても意見を交わすことができ、とても貴重です。

対話から学んだのは、他者の意見を尊重することの大切さ。さらにもう一歩踏み込んで、相手と意見が対立しても、それはお互いの考えをよりよく理解し、深めるきっかけになると考えられるようになりました。

対話の場を作る立場になって

Peace☆Ringの代表として努力しているのは、カフェの参加者が話しやすい環境作りです。カフェを充実させたくて、昨年度はさまざまなテーマの企画もしました。参加者が話しにくくなってしまっては、カフェの良さが損なわれるので、誰もが意見を述べやすいよう、ディスカッションでの問いや話の構成を考えています。

カフェ以外にも、ビキニ環礁での水爆実験で被ばくしたマグロ漁船「第五福竜丸」を保存・展示する「都立第五福竜丸展示館」でのボランティア活動、「国立療養所多磨全生園」や全生園の中にある「国立ハンセン病資料館」、海上自衛隊、在日米海軍基地のある神奈川県横須賀市でのフィールドワークなども行ってきました。

たくさんの意見に出会いたい。対話の輪を広げる

今後もバラ「ICAN」を学内の人たちに知ってもらい、核問題や平和についての関心を高めながら、引き続きカフェを運営したり、イベントを行ったりしたいと考えています。

対話において他者と自分の考えが違う時、まず考えるべきなのは「なぜ相手がそう考えるのか」ということだと思います。相手の考えに思いを寄せる中で、自分自身の考えも整理し明確にできるようになりました

より多くの人に参加いただければ、もっとさまざまな意見を聞くことができます。メンバー以外でもカフェへの参加は可能ですので、さらに充実した対話の機会が増やせるような企画をしていきたいと考えています。

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