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「インブリー館」国指定重要文化財に

1998年 (平成10年) 10月16日、文化財保護審議会 (会長 西川杏太郎) は、明治学院「インブリー館」を含む9件の建造物を重要文化財に新たに指定するよう文部大臣に答申、同年12月25日指定された。

文化財保護審議会の指定基準および指定分野 (審議会答申より)

近代/住居建築 指定基準 (歴史的価値の高いもの)
明治期に来日した外国人宣教師用の最初期の事例として、我が国にとって価値が高い。

インブリー館とは

明治学院大学白金キャンパス内に建つ、旧宣教師館。ウィリアム・インブリー博士がキャンパス内で住居としていたため、こう呼ばれている。建築年代は1889年 (明治22年) 頃。ニューイングランドの住宅の伝統を良く表わし、シングル様式 (下見板張り、コロニアル葺) に近い木造2階建てとなっている。宣教師館としては全国1・2位をあらそう時代的古さを持っている。
所在地:港区白金台1−2−37 学校法人 明治学院 白金校地内

解説

神社仏閣・博物館・図書館などの公共的な建築物は長く保存され、重要文化財として指定される例が多い。しかし、プライベートな住宅建築は時代の推移と共に取り壊されたり、改築されたりして、その形が全く変わってしまうことも多い。

鈴木博之教授 (東京大学大学院工学研究科) のコメント

「インブリー館は、都内においては現存する最古の宣教師館であり、明治維新以後の東京で、最初にキリスト教聖職者たちが多く居住した築地の居留地に建っていた建築がすべて失われている現在、きわめて貴重な建物となっている。洋風住宅のなかで西欧的な特質をもっともよく示す宣教師館は、わが国における洋風住宅の導入過程、洋風住宅の変化の過程を知るうえで、またとない指標となる存在であり、全国的に見ても建築史的価値の高いものである。すなわちそこには、日本人による折衷的な試みをほとんどもたない西欧風の住宅建築が見いだされるからであり、わが国の洋風住宅の変遷過程を知るうえでの基準作というべき位置を占めているからである」
明治学院旧宣教師館 (インブリー館) 建物調査報告書 (1995) より

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