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2004年度横浜キリスト教週間

全体テーマ : 宗教と平和

期間:5月24日(月) - 5月29日(土)

「宗教と平和」について

20世紀後半、国家間の紛争は「自由主義と共産主義」というイデオロギーの対立によって起こされるのが常であった。だが、1989年以降連続して起こった共産主義諸国家の相次ぐ崩壊の結果、国際紛争は本質的にその姿を変えて来ている。イデオロギーの対立は姿を消し、代って、民族や宗教の対立がその前面に現れることになったのである。
現在、世界を脅かしている様々な紛争のうち、多くのものが「ユダヤ教」、「キリスト教」、「イスラム教」という三つの宗教の対立にその根を有している。少し以前のボスニア問題にもその側面があったし、エルサレムおよびその周辺地域の帰属問題をめぐるパレスティナ紛争もユダヤ教とイスラム教との対立をめぐっての対立である。そして、日本もそれに無関係ではないイラク問題においては、キリスト教国アメリカの十字軍意識とそれを拒否するイスラム教徒の反発がイラクの戦後復興を滞らせている。
ユダヤ教、キリスト教、イスラム教 ― これらの宗教はその根を一にする。これらはいずれも唯一絶対の超越神を有し、人間の有限性とその人間が抱える根源悪を中心的教えとして説く。だが皮肉なことに、この「人間の根源悪を説く宗教」こそが、現在の世界の中でもっとも大きな悪を行っているように見えるのである。
今回のキリスト教週間・戸塚まつりでは、このあたりの問題に切り込んでみたい。世界を揺るがしている紛争の根源を、単に政治の問題、国際問題としてではなく、宗教の問題として捉えるとき、現代世界の構造が新たな眼で見えてくるであろう。

水落 健治(宗教部長・文学部教授)


「ベルリンの壁とドイツ政治家の良心」

5月24日(月) 12:40 - 13:00

フランス文学科教授。古代末期 - 中世の時代の哲学を研究しています。興味は登山とスキー、音楽。スキーはインストラクター級の腕前。大学では、明治学院管弦楽団部長教授。
1989年、40年余りにわたって東西ドイツを隔ててきたベルリンの壁が崩壊し、ドイツはひとつになった。壁構築の一週間後にベルリン入りしたひとりの政治家の演説を通して、ドイツ再統一の底流にあったものを考えたい。

水落 健治先生(宗教部長・文学部教授)


「平和への先導者イエスに従う」

5月25日(火) 12:40 - 13:00

横浜に生まれ、現在、横浜二ツ橋教会牧師。日本聖書神学校卒。横浜上原教会、広島・竹原教会、徳山市(現在、周南市)周陽教会を経て、現在に至る。
イエスの歩みは平和を求めて、極めて意識的に選択されていった。伝統的な流れ、伝統的な期待に反して、イエスは平和の道を歩まれた。平和の先導者イエスの招きは私たちを平和の地平へと導いてくれる。

牧野 邦久先生(日本基督教団 横浜二ツ橋教会牧師)


「原子力空母の横須賀母港化に関して」

5月26日(水) 12:40 - 13:00

東京神学大学修士課程で学園紛争経験。同大学の教授に失望し修士課程を自主退学。米国で皿洗いなどしながら社会勉強。牧師職30年のうち10年は教会から離れ外国人労働者の救援と植木屋をして暮らす。
米国太平洋司令官は3月末、横須賀に原子力空母を配備する強い願いを持っていると米国下院で明言しました。空母配備=母港化とは1年の半分以上、その艦船が、整備・補給で横須賀港に接岸することを意味します。このことについて共に考えましょう。

宮崎 徹先生(日本基督教団 船越教会牧師)


「暴力の連鎖は克服できるか。」

5月27日(木) 12:40 - 13:00

1985年横浜キャンパス開校と共に明学に着任。専攻は国際政治学、平和研究。核廃絶をめざすパグウオッシュ会議日本グループや、軍縮NGO「ピースデポ」で活動。
冷戦が15年前に終結して、かわりに各地の地域紛争がクローズアップされるようになったが、それらの多くは冷戦期から続しているものだ。宗教や民族の違いを暴力の言い訳に使わせてはいけない。

高原 孝生先生(国際学部教授)


「正義なき平和」

5月28日(金) 12:40 - 13:00

96年、明治学院の学院牧師就任。
「沖縄から平和を考える旅」「沖縄平和セミナー」「平和学習会」などを通して平和を共に考え、作り出していきたいと思っています。
キリスト教をかかげる米国のブッシュ大統領は、今もなおイラクへの武力侵攻をやめようとしません。ではキリスト教でいう平和とは何なのでしょうか。それはブッシュの平和とどう違うのか、考えてみましょう。

金井 創先生(学院牧師)


「ビデオ上映会『プロミス』」

5月29日(土) 戸塚まつり 宗教部参加企画 523番教室にて 入場無料

『プロミス』は、3人の監督の1人であるB.Z.ゴールドバーグの、パレスチナ自治区や彼もこれまで訪れたことのなかったヨルダン川西岸のユダヤ人入植地、そして彼が育ったエルサレム近郊への旅を追ったドキュメンタリーである。
1997 - 2000年までの3年間、パレスチナ・イスラエル双方の子供達7人を取材した。彼らはそれぞれ全く違う家庭環境、社会環境の中で暮らしている。エルサレムで成長し、やがて大人になっていく7人がそれぞれに自分の物語を語る。
ユダヤ人の双子の兄弟、ヤルコとダニエルはパレスチナ人の少年、ファラジのポラロイド写真を見て、彼への興味がピークに達する。そして、ゴールドバーグに「会ってみたいな」と持ちかける。しかし、ファラジはイスラエル人の子供と会う気は全くなかった。
だが、「今までイスラエル人に私達パレスチナ人の境遇を説明した子供がいる?いないでしょ」と、同じパレスチナ人の少女、サナベルの呼びかけにより双子と会う決心をする。そしてファラジはこの会合のイニシアティブを自らとり始める。双子は難民キャンプを訪れる。彼らはキャンプが迎えた初めての「あちら側の人間」だった。子供達みんなで食卓を囲み、サッカーをして遊ぶうち、彼らの距離が縮まってゆく。しかし、物理的、文化的な遮断の前に歩み寄りたいという子供たちの願いは叶わず、友情の約束はつかの間の出来事として終わる。
この会合から2年ほど経った映像がエピローグに使われている。成長した彼らは、穏やかだが正直に「あちら側の人々」について自分なりの考えや、また双方が一同に介する可能性、将来の夢などを語る。

『プロミス』の詳細はこちら


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