手話のこれまでとこれから
9月1日に「東京都手話言語条例」が施行されました。明治学院大学ではさまざまなボランティア活動・社会貢献などが行われています。今回は聴覚に障がいを持つ方への取り組みを教員・学生・職員の立場からご紹介します。
社会福祉から見た手話のこれまでとこれから
2006年に国連で制定された障害者権利条約では、「手話は言語である」とされ、国際的に手話を言語として認めていく動きが加速されました。日本でも、障害者基本法で、「日本の言語には手話が含まれる」と改正され、聴覚障害児教育も手話中心となり、地方自治体は、手話通訳者の養成と派遣を義務として実施することとなっています。
明治学院大学では、1900年代後半から、聴覚障害のある学生の情報保障として、ノートテイクや、手話通訳を導入してきました。今では大学がノートテイカーの研修やコーディネートをしていますが、元々は当事者である聴覚障害の学生や支援する学生たちが大学に働きかけて、こういったシステムを作り上げてきたものです。
手話言語条例は、鳥取県が2013年に制定したのを皮切りに、多くの自治体が条例を制定してきて、今年6月に制定した東京都は全国で34番目の都道府県となります。しかしいまだ手話通訳者の数は不足していますし、その派遣実態も自治体によって格差があります。最近、手話を、外国語と同様に語学教育の一つとして位置付け、学ぶことのできる大学の数が少しずつ増えています。本学でも、より手話言語を学ぶプログラムの充実を期待したいと思います。
さまざまな言語に触れる楽しさ
第二外国語でスペイン語を受講しているので、これも明治学院共通科目から会話系のものを選択して学びを深めていますが、いろいろな言語を学ぶ中で言語とそれぞれの言語使用者の文化が結びついている部分を見つけるのがとても楽しいです。
ぽっけに入ってから積極的に手話言語者の方のことを調べていて、その世界ならではの情報に新鮮な驚きを感じることもあります。 この間は耳の聞こえない方が音を拾う特殊なイヤホンを使って初めて自分の好きなアイドルの歌を聴いた、という動画を見ました。 動画で配信者の方が歌詞はわかるし歌っている日本語も理解できるのに、自分は音として日本語を認識したことが無かったから何を言っているのかわからなかった。これが「あ」の音、これが「い」の音と音と文字を結び付けられなかったという内容で、生まれた時から音が身近にあった自分には衝撃でした。
今は秋学期からノートテイクに参加できるように勉強中です。 ノートテイクの講座では聴覚障害のある先輩がスライドを使って語り、手話をわかる先輩が通訳してくれたのですが、聴覚障害といっても程度や種類があって母音だけ聞き取れる人(さしすせそ が あいうえお に聞こえる)や、音の大きさがバラバラに聴こえる人などさまざまだということを知りました。今後もより多くの言語やその背景にある文化を楽しみながら学んでいきたいです。
ノートテイクをしてみませんか?
学生サポートセンターでの取り組みをご紹介します。
聴覚障がい学生との関わりの1つとしてノートテイクをしてみませんか? ノートテイクとは、聴覚障がい学生が授業などに参加する際に、話されていることを同時通訳のようにパソコンで打って伝えるサポートです。
中島さんのように大学から手話を始め、聴覚障がい学生と出会い、いろいろな経験をする中で世界が広がったという聞こえる学生がいる一方で、大学に入って初めてノートテイクを受けて、「先生ってこんなにたくさんのことを話していたんだ」「こんな面白いこと話していたんだ」と同じように世界が広がった聴覚障がい学生もいます。
高校生まで教科書、プリント、板書等の限られた情報だけで勉強していた学生にとっては、本当に衝撃を受けるような経験です。実は私自身も聞こえない人で、初めて大学でノートテイクを受けた時の何とも言えない瞬間は忘れることができません。
ぜひ学生の皆さんには、ノートテイクに協力いただければ嬉しいですし、その活動を通して聴覚障がい学生や手話とも触れ合っていただければと思います。
活動を始めるにあたっては、学生サポートセンターでノートテイクのスキルを身につけるための講座を実施しています。少しずつ練習をして、ある程度自信がついたら現場で活動していただきます。しっかり丁寧に教えていきますのでご安心くださいね。
興味のある方はぜひ学生サポートセンターまでご連絡ください!