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「突き詰めた先」に見えたもの~けん玉と歩んだ学生生活~

2020.11.04

大学に入学したのは良いけれど、何か、毎日がモヤモヤする。自分の本当にやりたいことってなんだろう? 大学入学後、どこかのタイミングでそう考えてしまう人は少なくないのでは。4年間の学生生活。せっかくだから充実したものにしたい!そんな想いを誰よりも胸に強く秘め、けん玉と共に学生生活を歩んだ小山さん。彼が「突き詰めた先」に見えたものとは?

小山 大輔 経済学部 国際経営学科 4年 高校3年生の夏、アメリカのホームステイ先で演技を披露したことがきっかけで、けん玉を始める。2017年に入学後、同年7月に「KENDAMA部」を創部。2020年9月まで主将として団体を牽引し、選手としては、東京けん玉グランプリ、けん玉ワールドカップ、ギネス記録など数々の取り組みに挑戦。2018年9月~2019年3月にかけて留学したアイルランドでは、在アイルランド日本国大使館でけん玉を披露した。2019年好きな言葉は「迷ったらやってみる」。

爪痕を残したい

2017年4月に入学し、すぐに体育会バスケットボール部に入部しました。中学、高校とバスケットボールをやっていたので、入部には何の迷いもありませんでした。しかし、入部3ヶ月で退部。当時の住まいや勉強の都合もあったのですが、どうしても続けることができなくなりました。しばらくは大学と自宅を往復する日々。何かこう、心にモヤがかかっているような気分で過ごす日が続き、不安や焦燥を感じていました。明学で4年間も過ごすのだから、自分が明学にいたことを証明できるような、爪痕を残したい。留学、ボランティア、バスケサークルの立ち上げ・・・・いや、何かが違う。自分は他の人がやっていない、自分だからこそできる「何か」がしたい! そんな時に思いついたのが「けん玉」を究めること。高校3年生の夏休み。アメリカのアイオワ州のホームステイ先でけん玉を披露したのですが、現地の皆さんがとても喜んでくれたことを思い出したのです。元々、自宅でけん玉に熱中する弟の姿を見ていただけでしたが、いざやってみると、これが面白い。すぐにのめり込みました。

「けん玉のプロになる!」深い理由も考えず、周囲にこう宣言しました。「宣言することで自分にプレッシャーをかけたい」と言えば聞こえが良いのかもしれませんが、そんなことは全く考えず、ただ目立ちたいから言ったような気がします。 いつものカバンに、いつもの服。そして首にはけん玉を。わたしの明学生活がリスタートした瞬間でした。

寝ても覚めてもけん玉

約12,000人いる明治学院大学生の中でも、首からけん玉をぶら下げて授業を受けていたのは私くらいだと思います。練習時間は多い時に1日6時間程度。けん玉は手首の動きだけでも成り立つのですが、膝を効果的に使うと、一つ一つの技のつなぎに躍動感が生まれ、見応えが出ます。サッカーやバスケットボールほど全身を使わないにせよ、徹底的に練習するとさすがに疲れます。朝起きてけん玉。大学に着いてけん玉。授業の合間にけん玉。「けん玉のプロ」になると公言したのですから、必死でした。こんな調子ですから、他の学生からも「けん玉をやってみたい!」と声がかかります。それなら、皆でけん玉をとことん楽しもうと。基礎演習の授業で一緒だった数名を中心に、KENDAMA部を発足しました。昼ごはんを食べながらけん玉をする。兼部もOK。緩やかに5名でスタートしたKENDAMA部ですが、発足(2017年7月15日)の1ヶ月後には10名、3ヶ月後には25名、そして2018年4月には50名に。合宿やハロウィンパーティー、運動会などのイベントを織り交ぜ、横浜キャンパス5号館で日々の練習を地道に積み重ねました。

相手の喜びが自分の喜びに

2017年12月に開催された「東京けん玉グランプリ」では上級部門で3位に入賞しましたが、それ以上に嬉しかったのが、初級部門で部員が優勝したこと。けん玉をする自分を見て興味を持ってくれた部員が必死に練習して、結果を出して、喜んでいました。自分がけん玉に取り組んだからこそ、できた仲間。その仲間ががんばる姿を見て、心から大切に思えました。KENDAMA部がもたらしてくれた心の成長は、一人でけん玉をするだけでは得られなかったものでした。

2018年には「けん玉ワールドカップ」に個人として初参加。540人中142位でした。初めての大会で自分の力を試したかった気持ちもあり、予想以上の結果に大きな喜びを感じました。100位以内のランクインを目標に掲げて出場した2019年のけん玉ワールドカップは、600人中160位。個人としての上達は一進一退でした。大会では合計6分(3分1セットを2回)の中で、あらかじめ設定した技を連続して決めてスコアを競うのですが、大技を狙いすぎたのか、失敗。そしてこの大会では、他の部員が自分より上位にランクインしました。おそらく「東京けん玉グランプリ」初級部門で部員が優勝した経験がなければ、「悔しい」だけで終わっていたでしょう。「悔しいけど嬉しい」当時の心境はまさにこれです。振り返ってみて、個人の上達よりも部としての成長に喜びを感じることができるようになった自分の心境の変化に驚きました。

けん玉が上手い日本人

2018年9月~2019年の3月までアイルランド(ダブリンシティ大学)に留学しました。日常会話程度の英会話は問題ありませんでしたが、授業となると苦労の連続。それだけに学びや気づきにあふれた日々でした。留学のお供は、もちろんけん玉。現地の学生にはもちろん、教授にも興味を持ってもらえました。在アイルランド日本国大使館でけん玉も披露する機会にも恵まれ、アイルランド大使やラグビーアイルランド代表の皆さんにけん玉の楽しさを伝えることができました。

「けん玉が上手い日本人がいると聞いた。ぜひ披露してほしい」そもそものきっかけは、在アイルランド日本国大使館からダブリンシティ大学に連絡が入った1通のメール。「お前のことじゃないか?」とすぐに声がかかりました。

けん玉をすることは私にとって食事をすることと同じようなもの。自分では当たり前と思っていた日常生活のルーティンワークも、環境が異なれば大きな気づきに出会える。けん玉がもたらしてくれた大きな学びでした。

けん玉で、笑顔をつくる

卒業後は不動産業界に就職する予定です。「プロにならないのか?」そんな声が聞こえてきそうですが、4年間の学生生活でプロの定義が変化したことが要因です。将来はけん玉でご飯を食べていく。そう決めて学生生活をリスタートしたことは確かです。ただ、仲間たちがけん玉を笑顔で楽しんだり、けん玉を通じて人と人がつながったり。そんな光景を創り出し、立ち会えることに大きな喜びを感じるようになった自分に気づいた時、「けん玉で笑顔をつくる」ことこそが、自分が求め、考えついた「プロの定義」であると思い到りました。どんなことであっても、とにかく徹底的に取り組む。その先に見えたのは、仲間たちの笑顔でした。これからも、一人でも多くの人が笑顔になれるよう、けん玉ととことん向き合っていくつもりです。

KENDAMA部は未公認団体として活動しています。
大学公認団体の一覧は「クラブ・サークル紹介」をご覧ください。

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