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「そのうち」よりも「今」の判断が大切 ―本当になりたい福祉職になるために-

2021.10.21

コロナ禍の学生生活。何かをしたくても予定が立てられず、気づいたら時間だけが過ぎていく。 「自分もその一人になっていた、かもしれません」と語る高久さん。「かもしれない」と表現したのは、「そのうち」よりも「今」の判断を大切に、さまざまな活動に積極的に参加してきたから。なりたい自分を見つけるために常に挑戦を続ける高久さんの姿は、学生生活を充実させるヒントにあふれています。

高久 綾花 社会学部 社会福祉学科 2年社会福祉を学び、将来人の役に立つ仕事をしたいと思い社会福祉学科に入学。高校時代は積極的にボランティアなどを行っていたが、コロナ禍でさまざまな活動がストップすることに。大学生になり自由な時間が増えたことで、その時間を何に使ったらいいか悩んでいた。手話サークル「ぽっけ」所属。好きな言葉は「大切なのは、自分のしたいことがなにかを、わかってるってことだよ」

やってみて、合わなければそれでもいい

対面の入学式が中止。オリエンテーションもない。イレギュラーな状況下でスタートした学生生活でした。大学や国から給付された一時金で家のWi-Fi環境を急いで整え、PCを購入し、目の前の課題に向き合う日々。友達づくりも必死でした。授業のグループでつながったクラスメートたちと画面上でスマホを見せ合ってLINEを交換したり、5月にはオンラインの勧誘で知った大学のサークルに入ったり。気づいたら春学期が終わっていました。

後悔はありませんが、このまま4年間が過ぎていくのか? そんな漠然とした不安に襲われ、何かもっと、「頑張った!」「成功した!」と思えるような学生生活を過ごしたいと思うようになりました。夏休みに入った8月上旬からは、世界遺産検定の合格に向けた勉強や、さまざまなオンラインセミナーに手当たり次第参加しました。キャンパスコンシェルジュを始めたのもこの時です。そうすると今度は逆に「結局自分はどうなりたいのか?」と葛藤するようになりました。今自分がやっていることは本当に自分の将来につながるものなのか?と悩むようになったのです。 ただ、この経験が失敗だったかというとそうではありません。なんでも「いつかプラスになる」と考えて手当たり次第にやってみたからこそ、この悩みにたどり着けたと思っています。やってみてつまらなければ自分に合わないことがわかりますし、面白ければ自分に合うことがわかります。コロナ禍ではありますが、肩肘張らずになんでもこれくらいの気持ちで取り組んでみるのが良いのかもしれません。

さらなる自問自答、そして

結局自分はどうなりたいのか? 現在、KAIGO LEADERSに最も力を注ぐようになったのは、この悩みに真正面から向き合った結果かもしれません。福祉の最前線で働いている方々の声をもっと聞きたい。悩んだ末にこう考えるようになりました。福祉の最前線で働く方々のお話は普段の授業でも聞くことがありましたが、もっと多くの、よりリアルな声を聞きたいと思いました。 KAIGO LEADERSは、「2025年、介護のリーダーは日本のリーダーになる。」というビジョンを掲げている学外の団体です。複数のプロジェクトの中で、私はKAIGO MY PROJECTの運営として、会を運営するファシリテーションや参加者のフォローアップなどに携わっています。プロジェクトには現役の介護職として働かれている方や私と同じように福祉の勉強をしている学生などさまざまなバックボーンを持つ方が参加しています。

私が2021年4月からKAIGO LEADERSに運営として参加するようになったのは、同年3月にオンライングループワークに参加者として参加したことがきっかけでした。そこで介護の勉強をする他大学の4年生と話したのですが、その方はコロナ禍によって介護の実習ができなくなるかもしれないこと、つまり、現場の感覚もわからないまま就職してしまう可能性があることを真剣に悩んでいました。将来のことをここまで真剣に悩んだことがなかった自分にとっては大きな衝撃でした。では、自分の将来はどう考えるべきか? そこからさらに自問自答が始まり、選んだ行動が「運営として参加すること」でした。

「学生ならでは」と「学生だから」

KAIGO MY PROJECTは、介護や福祉の領域に関して心に抱いているモヤモヤを、対話を通して次へのアクションにつなげていく連続ワークショップです。参加者から提示された疑問や悩みを運営側の我々がヒントとなるような資料を提示したり、一緒に話す場を設けたり。「長年働いている職場の人間関係が変わってしまった」「実際に仕事を始めたらイメージと違った」など、本当にさまざまな意見や悩みを聞く機会があります。そのことで、介護や福祉の分野で働く方のケアをすることの大切さにも気づくことができました。「自分ならばその方のために何ができるのか、そして何をすべきなのか」。この点が最も難しくもあり、経験となるポイントだと思っています。

現在はミーティングのセッティングや参加予定者への連絡、プロジェクトのSNSの運営などの事務的サポートが中心です。場のファシリテートまで担う他の社会人メンバーと比べて関わる範囲が限定的ですが、SNSの投稿案を作成する際の一工夫など、学生ならではの視点をプロジェクトに生かすことを意識しています。逆に注意していることは、どんな場面でも「学生だから」を盾に言い訳をしないこと。社会人の方と対等にやり取りするために必要な知識と経験値を養うためには、「これならできる」ことではなく「やらなきゃいけない」と感じることに敢えて挑戦してみること。学業と事務的サポート、いずれの量も質も担保することが目下の課題です。

「広く深く」そんな人になりたい

これまでの学生生活はどちらかというと「広く浅く」なんでも挑戦してきましたが、今後は学年が上がるにつれ学びの専門性も深まります。「狭く深く」が大切な時期になってくると思いますが、そのことで視野を狭めてはいけない、とも考えています。福祉の専門性を高めつつ、福祉の可能性を飛躍させるための何かを見つけること。「福祉×○○○」の可能性を探すために、これからの学生生活も「今」の判断を大切に過ごします。

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