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フランス文学科 Department of French Literature

越境のすすめ—あなたの〈今〉から遠く離れるために

私は何をしたいんだろう、何ができるんだろうと考え込むよりも、今の環境とはまったく異なる場所に、思い切って身を投じてみる。新たな出会いをいくつも経験しながら、自分はこれだというスタイルを手に入れる—
フランス文学科の授業には、中世の吟遊詩人から近代の画家や小説家、20世紀の思想家、映画監督に至るまで、さまざまな時代の、刺激的な人物たちが登場します。その思いがけない言葉や不思議な発想のかずかずに触れながら、自分自身をより深くとらえ、世界をより鋭く感じとるための、新たな、もう一つ別のアンテナをつくっていきます。

フランス文学科の特色

Point 01丁寧な語学学習カリキュラム

ほとんどの新入生は、フランス語を初めて習う人たちです。ついていけるだろうかと不安に思うかもしれませんが、初歩からゆっくりと、着実に指導します。1年次からフランス人教師の授業も必修で、実践的な力の養成にも力を入れています。


Point 02充実した留学制度

1年間の長期留学、夏休み期間の短期留学に加えて、半年間の中期留学制度もあります。この中期留学は毎年人気が高く、4年間での卒業も可能となっています。

Point 03フランス文化への多様な切り口

言語、文学、歴史、思想、美術、 映画など、本学科はフランス文化への多様なアプローチが特徴です。他大学のフランス文学・ 文化系の学科には、あまり例がないといっていいでしょう。


Point 04ゼミと卒論

3年次と4年次には、学生全員がゼミに所属し、特定のテーマのもとに研究を行います。また卒論も全員が必修です。問題提起の力や理解力、文章力など、社会に出てからも必要なさまざまな能力が間違いなく鍛えられます。完成したときの達成感は、大学生活におけるかけがえのない喜びとなります。

Program Structure(領域・流れ)

フランス文化のありようを理解するには、まずは言語の習得から始めましょう。3年次からは、多種多様な専門科目(「3つの科目群」)や少人数制のゼミ(演習)が始まります。卒業論文(必修)は4年間の集大成です。自説を説得的に展開するすべを身につけます。

主な演習(ゼミナール)のテーマ

  • 読む映画、書く映画
  • ポスト印象派の画家たち
  • ミシェル・フーコーの思想
  • 現代小説とフィクション論
  • 1832年のコレラとフランス社会
  • 現代フランス語の諸問題
  • 小説に描かれた幼少期
  • 小説からの哲学/哲学からの小説
  • 詩人ボードレールが語る文学と美術
  • 生きる速度について考える―文学・映画・音楽を通じて

※教職課程についてはこちらをご覧ください。
※ヘボン・キャリアデザイン・プログラムについてはこちらをご覧ください。

科目紹介

舞台表現論

フランスの現代劇を日本語に訳し、全員で演じます。自分とは異なる人間を演じることで、他者への理解を深めつつ、自己自身を再発見します。

哲学と人間

フランスを中心に現代哲学の「古典」 をじっくり講読します。近代以降の社会の劇的変化を踏まえつつ、現代の視点から「人間とは何か」を再考します。

学科主任が考える フランス文学科とSDGs

「なぜ?」と問い続ける力 = 変わらない「価値」を生む力

本学の図書館には詩集『悪の華』(初版)という宝物があります。これは今日の市場で約400万円しますが、出版された当初は3フラン(約3,000円)でした。何がこの本の価値を決めるのでしょうか?場所と時代によって価値も変わります。フランス文学科は、何が価値を形成するのか問い続けます。フローベールの『ボヴァリー夫人』を通してジェンダー差別を扱い、カメル・ダーウドの『もうひとつの『異邦人』ムルソー再捜査』で植民地の歴史と人種差別について考える。「なぜ?」と問い続けることで差別問題に取り組んでいます。差別を生む原因を理解してこそ、行動に真の価値が生じると考えるからです。

フランス文学科主任 畠山 達 教授

私の学び

白木 円香 Shiraki Madoka 文学部 フランス文学科4年
静岡県 韮山高等学校 出身

パリ留学で磨いた語学力と積極性

フランスへの親しみと言語に魅力を感じていたこと、留学制度 が充実していることなどからこの学科を志望しました。印象に残っているのは3年次に経験したパリへの中期留学です。4ヶ月ほどのホームステイでしたが、ホストファミリーや現地の方と コミュニケーションを積極的に重ね、さまざまなフランスの文化に触れることができました。語学力も留学前より格段に向上 した実感があります。現在は、卒業論文としてフランス社会における「女性らしさ」をテーマに執筆中。家庭や社会、そして文化的側面の各観点から「女性らしさ 」とはどういうことなのか研究しています。将来はフランスとの縁を大切にしながら、日本の魅力を世界に発信できるPR関係の仕事に就く予定です。

ゼミピックアップ

〈越境〉から見えてくるもの−〈シュルレアリスム〉のダイナミズムに導かれて

齊藤 哲也 教授

シュルレアリスムは20世紀に展開した芸術運動。詩人や作家、さらには画家や写真家や映画監督など、異なる領域で活動するさまざまなアーティストが加わりました。既存のジャンルの境界を越えて、まだ名前のない〈何か〉に向かっていった運動です。 ゼミでは、この運動の〈ダイナミズム〉に導かれつつ、視点を文学から美術へ、美術から映画へ、そして20世紀から現在へと〈越境〉させることで、現代における〈見ること〉の意味を立体的に考えていきます。

≪Tout est beau dans ce que l’on aime Tout ce qu’on aime a de l’esprit≫

ボーヴィウ マリ=ノエル 准教授

世界的に有名な『赤ずきん』、『シンデレラ』、『青ひげ』などを原文で読みます。フランス語を音読したり、グループワークで原文分析をしたり、作品中の文章を真似して仏作文などをします。物語の基本構造を手がかりに、ペローが付けている独特の教訓とおとぎ話との関係を問います。童話は、現代社会にも通じる問題を発見させてくれる一方で、17世紀のサロン文化の生んだ文学でもあります。ペローの言葉の裏にあるものを読み解くことで現代と過去を行ったり来たりできるのです。

フランス文学科オリジナルサイト

入学試験制度一覧

入学案内 (入試情報)

人材養成上の目的・教育目標

文学部フランス文学科は、文学部の「人材養成上の目的・教育目標」に基づき、フランス文学科の「人材養成上の目的・教育目標」を次のとおり定める。

フランス文学科は、フランスさらにはヨーロッパ全域へと視野を広げることで、ともすれば画一化されがちな日本社会に向けてユニークな発想を提言できるような、斬新な視点をもった創造性あふれる人材を養成することを目的とする。このような目的のもと、本学科では、フランスおよびフランス語圏の言語および文学・芸術・歴史・思想の研究を通じて、感性と知性を養うとともに、自らの着想を他の人々に確かに伝える表現力を鍛え、真に豊かな文明のありようを追求することを教育目標として定める。

卒業の認定・学位授与に関する方針(ディプロマ・ポリシー)

文学部フランス文学科は、文学部の「卒業の認定・学位授与に関する方針」に基づき、フランス文学科の「人材養成上の目的・教育目標」に沿った人間を育成するため、所定の期間在学するとともに126単位を修得し、次の能力を身につけることを卒業認定と学位授与の要件とする。
具体的な到達目標は、次のとおりである。

  1. フランス語の文法や発音の基礎を習得し、読み、書き、聞き、話すための実践的な運用能力を身につけている。
  2. フランス語圏の言語・文化・文学・芸術・歴史・思想について、個別的で広汎な知識を身につけるとともに、自らの思考を相対化する術を習得している。
  3. 異なる背景をもつ人々の意見に耳を傾け、現代社会における多様な文化のあり方をともに追究する姿勢を身につけている。
  4. 自分自身で問題を提起し、資料を探索・収集して立論に必要かつ有効な情報を選び出して、論理的かつ説得的に自らの見解を述べる力を獲得している。

教育課程の編成および実施に関する方針(カリキュラム・ポリシー)

文学部フランス文学科は、文学部の「教育課程の編成および実施に関する方針」に基づき、フランス文学科の定める「人材養成上の目的・教育目標」および「卒業の認定・学位授与に関する方針」に沿って、次のとおり「教育課程の編成および実施に関する方針」を定める。 フランス文学科では、フランス語およびフランス文化の基礎を学ぶ科目から専門科目群へと、学生の関心を段階的、継続的に引き出し、その深化を促す、一貫した積み上げ方式のカリキュラムを編成する。

  1. 1年次・2年次には、日本人教員とネイティブの教員の担当するクラス制の授業(必修)で、重点的にフランス語の基礎(文法・講読・会話・作文)を学ぶ。フランス語力の指標となる外部検定試験・実用フランス語技能検定試験(仏検)対策の授業も、 1年次より設置している。
  2. 1年次・2年次には、専門教育への導入的な科目(必修・選択)を設ける。フランス語圏の文学、文化、歴史、社会についての概説的な授業を講義形式で行うとともに、個別特殊な問題を扱う演習形式の授業を設ける。
  3. 3年次・4年次には、そうした一連の授業で培われた個別的な関心を深められるよう、さまざまな時代や地域、分野を専門とする教員による、多彩な専門教育科目(選択必修)を配置する。「ことばと文学」、「思想と社会」、「芸術と文化」の3つの系列に分類されるこれらの専門科目を、学生は主体的に選択して履修し、体系的な知識を身につける。
  4. 3年次・4年次には、少人数制の「演習」(必修ゼミ)に所属する。「演習」ではフランス語圏の言語・文学・芸術・歴史・思想の諸問題をテーマに掲げ、グループ学習や議論を通じて、他人の意見を尊重しつつ、自らの見解を説得的に述べるためのコミュニケーション能力を身につけることを目指す。
  5. 4年次必修の「卒業論文」では、指導教員の指導のもとに関心分野をしぼりこみ、論文のテーマを決定する。学生は資料探索、プランの作成、執筆のすべての段階にわたり、指導教員の助言を得ながら、自ら見つけた課題について、資料を探索・収集し、自らの着想を論理的かつ説得的に組み立てる術を学ぶ。
  6. 1年次・2年次に引き続き3年次・4年次でも、読み、書き、聞き、話すための実践的なフランス語の訓練を行う。中級講読の授業(必修)やネイティブの教員による会話中心の授業(選択必修・選択)を通じ、中級、上級へのレベルアップをはかる。仏検対策の授業に加え、3年次以降は、フランス語圏の大学機関への留学に際して取得を要請されるDELF(フランス国民教育省が認定した公式フランス語資格)対策の授業も設置する。

学習成果の評価については授業の性格に応じ、レポート・筆記試験に加え、口頭発表(プレゼンテーション)を通じて、目標達成度や主体的な学びの姿勢を評価する。また、卒業論文に関しては、主査と副査の2名による厳正な審査を通して、主題に関する知識および理解度、問題解決力、創造的思考力を総合的に評価する。

その他、所定単位を修得することによって多文化共生ファシリテーター/サポーターの認証資格取得も可能である。

入学者の受入れに関する方針(アドミッション・ポリシー)

文学部フランス文学科は、文学部の「入学者の受入れに関する方針」に基づき、フランス文学科の定める「人材養成上の目的・教育目標」に照らして、フランス文学科の「卒業の認定・学位授与に関する方針」および「教育課程の編成および実施に関する方針」に沿って、次のとおり「入学者の受入れに関する方針」を定める。

  1. 求める人材像
    1. フランス文学科における学びに取り組む前提として、知識・技能、思考力・判断力および文章読解力・表現力等において、高等学校等で修得すべき基礎的な能力を身につけている。。
    2. フランスの言語、文学、歴史、芸術、思想を窓口として、広くヨーロッパおよびフランス語圏の文化を学ぼうという志をもち、また、自国の文化とも英語圏の文化とも異なる、多様で刺激に満ちた文化のありようを学び、常識にとらわれない発想や斬新な提言ができるようになりたいという意欲をもっている。
    3. 本学の教育理念である“Do for Others(他者への貢献)”を理解・共感し、現代社会に生起する様々な問題に関心をもち、フランス文学科における主体的な学びを通して共生社会の担い手となる意欲をもっている。
  2. 入学者選抜の基本方針
    上記「求める人材像」に掲げる基礎的な能力、志および意欲をもっているか否かを評価する。
  3. 入学者選抜の種類と評価方法
    入学者選抜にあたっては、「一般入学試験」または「特別入学試験」を行い、「入学者選抜の基本方針」に則って評価する。入学者選抜の種類として、一般入学試験による「全学部日程」、「A日程」のほか、大学入学共通テストを用いた「大学入学共通テスト利用入学試験」がある。そのほか「自己推薦AO入学試験」、「指定校推薦入学試験」、「系列校特別推薦入学試験」などの特別入学試験がある。評価方法も試験の種類によって、筆記試験のほか筆記による語学(英語やフランス語)の基礎学力を重視するものや面接により知的好奇心や学習意欲をみるものなどがあり、これらの試験を通じて本学科で学び、社会で活躍する人材を選抜する。

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