目次案 最終版 <かわしま>
『雑誌『東京人』にみる「東京」イメージの変遷』
第1章 序論
1-1 テーマ決定の経緯
1-2 問題―私の東京街歩きから
1-3 先行研究
1-4 本論で扱う「東京」
1-5 なぜ『東京人』か
1-6 本論文の構成
第2章 東京論と『東京人』
2-1 東京論の展開
2-1-1 文学作品から読み解く「東京」
2-1-2 建築・地理から読み解く「東京」
2-1-3 街歩きにおける「東京」
2-1-4 まとめ―東京論の特徴
2-2 『東京人』について
2-2-1 『東京人』 概要
2-2-2 粕谷一希と『東京人』創刊
2-2-3 「東京人」とはだれか
2-3 東京論の中の『東京人』
第3章 『東京人』の歴史
3-1 「世界都市・東京」―1986-1990
3-2 語られない「東京」―1991-1994
3-3 拡散する「東京」―1995-2000
3-4 「東京」外とガイドブック化―2001-2007
3-4-1 「東京」外の流入
3-4-2 ガイドブック化する『東京人』
3-5 融解する「東京」―2008-2012
3-6 まとめ―失効した「東京」
第4章 「東京」イメージの変遷
4-1 この章で論じること
4-2 建築
4-2-1 「東京」の具現装置として―1986-1990
4-2-1-1 人間性復興の装置―ウォーターフロント
4-2-1-2 「東京」のモニュメント―江戸東京博物館
4-2-2 「見に行く」ものとしての建築―1991-1994
4-2-3 題材の増加(開発・保存・文化財)―1995-2000
4-2-4 建築ガイドブック化(1)―2001-2007
4-2-5 建築ガイドブック化(2)―2008-2012
4-2-6 まとめ
4-3 古本
4-3-1 知的な「東京人」を示す―1986-1990
4-3-2 注目されない古本―1991-1994
4-3-3 「東京人」だから楽しい古本―1995-2000
4-3-4 「目利きの主人」とひらける神田神保町―2001-2007
4-3-5 神田神保町タウンガイド化―2008-2012
4-3-6 まとめ
4-4 居酒屋
4-4-1 「居酒屋」の発見―1986-1990
4-4-2 BARを使いこなす「東京人」―1991-1994
4-4-3 「東京風」の成立―1995-2000
4-4-4 「東京風」の反復(1)―2001-2007
4-4-5 「東京風」の反復(2)―2008-2012
4-4-6 まとめ
4-5 鉄道
4-5-1 通勤手段として―1986-1990
4-5-2 「本当の都市生活者」を示す―1991-1994
4-5-3 「中央線」の成立―1995-2000
4-5-4 「中央線」と「なつかし」の鉄道―2001-2007
4-5-4-1 「中央線」の反復
4-5-4-2 「なつかしい」ものとしての鉄道(1)
4-5-5 「なつかしい」ものとしての鉄道(2)―2008-2012
4-5-6 まとめ
4-6 考察―『東京人』の存立様式
4-6-1 “ガイドブック化”するまなざし
4-6-2 『東京人』の諦念と抵抗
4-6-3 “新たなる物語”の獲得
第5章 ノスタルジーを語ること
5-1 ノスタルジーという問題
5-2 『ノスタルジアの東京』
5-3 『東京人』におけるノスタルジー
5-3-1 シミュラークルとしての「下町」
5-3-2 「夢の超特急」がもたらす「未来」
5-4 ノスタルジーを語ること
第6章 まとめ
6-1 明らかになったこと
6-2 テーマ「東京の街歩き」へ
6-3 今後の展望
参考文献
参考URL
付録『東京人』特集タイトルリスト
概要
東京の街歩きはなぜ楽しいのか。本論は、その問いを出発点として、人が「東京」にどのようなイメージを見ようとしているのかを探ることを目的とする。そのための題材として、雑誌『東京人』を取り上げる。「東京論」ブームの最中である1986年に創刊されたこの雑誌からは、人々が「東京」にどのような言葉を与えて、「東京」イメージを形成しているのかが、読み取れるはずだ。『東京人』は「東京」という都市から意味を読み解き、その「面白さ」を語ることを使命として登場した。しかし、90年代半ば以降の、都市に意味を求めないまなざしの前に、『東京人』は、「東京」に必然性を見出さなくなる。『東京人』は、都市から意味を読み解くという方法をアップデートすることなく、自ら読み解くべき“新たな物語”を仮構して存立していることが明らかになった。第5章では、その“物語”のひとつである「ノスタルジー」を取り上げて考察する。論文の最後では、「東京の街歩き」というテーマについて今後の展望を示す。
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