演劇、身体表現の歴史は古く、豊かな多様性を持ち、現在も活発に行われています。このコースでは、従来の実技修得中心の方向とは異なり、演劇、バレエ、ダンス、ミュージカル、伝統演劇など幅広く、古今東西の舞台芸術の知識、理論、歴史について専門的に深く学びます。そして比較演劇学の視点から、東西の演劇の差異性と類似性、その独自の本質、特質を探ります。またそれとともに、声や体のベーシックな身体技法の実習、実践型の講義も行います。
卒業後の進路としましては、舞台芸術と社会を媒介する、プロデューサーや劇場企画制作者、批評家、研究者、ドラマトゥルク、実践家などをはじめ、一般のさまざまな業界や分野でも活躍出来る人材の育成を目指しています。


1年次
1年次はコース選択は行わず、6つのコース全ての入門的な講義を受講します。
コースに分かれていないこの時期に、学生たちは「演劇概論」「身体表現論概説」などの授業を通じて演劇とは何か、身体とは何かを学びます。この時期に大切なのは様々な芸術のジャンル、作品に数多く接し、自分の芸術的な嗜好を知ることです。
2年次
「演劇身体表現論2年次演習」など、いよいよコースに分かれての授業になります。演劇という<今><ここで>行われる生の芸術は、体験しないと分かりません。より専門的に演劇を学ぶ1年間は、同時に様々な舞台作品に実際に、出来るだけ多く触れる時期でもあります。
3年次
戸塚校舎から白金校舎に移行すると、コースの座学も一段と多くなります。バレエ、伝統芸能、ミュージカル、パフォーマンスなど、細分化された演劇を専門的に学びながら、「演劇身体表現文献講読」「舞台芸術論」「西洋演劇研究」などでしっかりと演劇学、演劇理論も学んでいきます。
4年次
いよいよ演劇身体表現コースの集大成です。「卒業論文ゼミナール」を通して、自分の更に深めていきたい研究テーマを同じ志を持った仲間たちと一緒に形にしていきます。3年間演劇身体について学んだ成果を発揮してください。
学習についてのポイント
多様な舞台芸術についての文献講読の指導も丁寧に行いますので、鋭い感覚と批判的な思考力、分析力を養い、異なった価値観を持った他者との柔軟で自在な対話力、コミュニケーション力を身につけて下さい。
教員紹介
芸科生に聞く
演劇身体表現コースの魅力や授業について、学び以外の活動など在学生や卒業生にインタビューしました。
教員からのメッセージ
演劇、舞台芸術の魅力には、“生”の面白さがあります。そこでは生身の観客と演者が向い合って、一回性の充実した時間、空間を生き、創り上げます。身体や身体表現に注目し、そうした体験、自在なコミュニケーションの意味や可能性について、授業では映像を駆使して、多面的な角度から分析、研究を行いますが、同時に自分で積極的に劇場に足を運び、直接生で優れた舞台芸術に出会って下さい。
卒論リスト<2022年度>
卒論タイトル |
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東宝版のエリザベートが女性観客に与える影響 |
女性劇作家の躍進から考えるジェンダーと演劇 |
ブレヒト演劇における歴史と教育―日本への影響― |
限界状況下の安部公房 |
女性オタクコミュニティーと2.5次元舞台の関連性 |
愛と対話の可能性 ~現代社会で『フェア』な関係性を目指す~ |
日韓アイドル比較からみる「アイドル」の社会的身体性 |
『ノートル=ダム・ド・パリ』及びミュージカル「ノートルダムの鐘」における光と闇 |
日本におけるバレエの存在‐海外との相違を踏まえて‐ |
声優史からみる変わりゆく声優のあるべき姿 |
マヂカルラブリーのネタは漫才なのか |
人気ミュージカルの題材としての フランス革命が現代の日本人に 劇的共感をもたらす理由 ~「1789~バスティーユの恋人たち~」と「マリー・アントワネット」から考察~ |
批判的共感の獲得と価値 −ブレヒト演劇から見る観客論− |
京劇男旦と歌舞伎女形に着目した、京劇と歌舞伎の比較研究 |
殺人に関与する女性登場人物に見るギリシア悲劇の女性表象 |
宝塚歌劇団におけるレヴューの受容と様式化 |
呼吸法による身体と発声への影響 |
世阿弥から見る「美学」と「人生哲学」 ―興行師の顔を持つ天才能役者― |