要旨・目的 Abstract / Purpose
明治学院大学は、その淵源である1863年のヘボン塾開設から、一貫して時代に必要な教育の実現を目指してきました。
この度、その教育の実現および大学の教育の範囲拡充を目指して、明治学院大学として初となる理系の新学部『情報数理学部』を設立することにいたしました。情報数理分野は急速に発展しており、社会的な要請が高まっている分野です。社会の動きに合わせて大学の教育を拡充し、卒業生の活躍の場を拡げることが大きな目標です。
大学は真理を探究する研究・教育機関であり、自然科学もそれに重要な視点を提供してきました。明治学院大学もここで理科系の学部を備えることになり、教育理念 ”Do for Others (他者への貢献)”のもとで、University(総合大学)としていっそうバランスのとれた人材を育成し、世に送り出そうと考えています。
明治学院大学は常に多様性を追求してきた大学です。今回、そこに新たに理系の背景をもった教員や学生が仲間として加わります。キャンパスで様々な文化背景を持った学生が出会い、交流し、共同で作業することで、他者を理解し、共生社会の担い手となってほしいと願っています。
情報数理学部について About
近年、AI (人工知能)を中心とする情報技術が急速に発展し、社会を変えつつあります。文部科学省による数理・データサイエンス教育の推進、内閣府によって提唱された Society 5.0 などにより、今後情報数理分野はさらに重要性を増し、情報数理を修めた人材が求められていくでしょう。本学の情報数理学部は、情報技術の動きを数理の立場から学んでいこうとする学部です。
情報数理分野では、ICT (Information and Communication Technology) を活用した授業や PBL (Project Based Learning) など、新しく柔軟な形態の教育が開発され、既に実施され始めています。明治学院大学もこうした教育をとりいれ、これまで培ってきた教育方法や内容と組み合わせながら、新時代に向けてさらに発展した授業を展開します。
社会からの期待が高い情報数理分野は、産学官連携の機会創出にもつながります。明治学院大学の立地の良さを生かして、様々な連携ができる可能性があります。
明治学院大学はこれまで文系の総合大学として、大きな成果を蓄積してきました。この財産を生かすため、情報数理学部と既存の学部・組織との有機的な連携を目指して『情報科学融合領域センター』を開設します。このセンターは、新学部と既存の学部との連携の舞台になると同時に、学外との産学官連携の窓口にもなります。

新学部の概要
学部名称
情報数理
学部
学科名称
情報数理
学科
学生定員
1学年
80名
学位名称
学士
(情報数理学)
キャンパス
横浜
※設置計画は予定であり、内容に変更が生じる可能性があります
養成する人材像
人材像1
情報科学の急速な技術革新に対応できる数理的理解に基づいた応用力・問題解決能力を身につけ、自らの専門性を拡げていくことができる人材
人材像2
人とAIが高いレベルで共存する近未来において重要となる高度情報通信技術(高度ICT)を利活用し、国際的なリーダーシップを身につけた人材
人材像3
多様な学問領域の存在を意識し、明治学院大学の教育理念である“Do for Others (他者への貢献)”を情報科学の力で実現することができる高い倫理性を持った人材
教育の特徴
カリキュラムの特色
3・4年次のコースを「数理・量子情報」「AI・データサイエンス」「情報システム・セキュリティ」に分類し、学生の志向や卒業後の進路に合わせて、どの分野を重点的に履修するかを選択可能とします。
企業と連携した課題解決型のProject Based Learning(PBL)科目を3年次~4年次に配置し、実際の企業で行われているようなプロセスを体感できる実践的教育を提供します。
1年次
- 数学基礎・演習 情報倫理 初級プログラミング 明治学院共通科目
-
Featured
数理と情報
専任教員と企業など学外からのゲスト講師によるオムニバス形式による授業で、情報科学における数理の果たす役割について俯瞰的に学び、将来のコース選択の参考とします。
数学基礎・演習
高校での数学の履修状況に合わせたクラス編成を行い、演習を中心としたリメディアル教育により数学の学力水準を高めます。
2年次
- 基礎科目群A(情報数理系) 基礎科目群B(情報システム系) 明治学院共通科目
-
Featured
基礎科目群A・B
必修科目を含む2年次科目を、数理科学的なものと情報科学的なものに大別し、学生の特性や志向に合わせたカリキュラムを提供します。3年次におけるコース選択の参考とします。
3・4年次
-
数理・量子情報コース
- 符号と暗号の数理
- 情報幾何学
- 数理モデリング
- 量子コンピューティング
- 量子ネットワーク
など
AI・データサイエンスコース
- AI・データサイエンスの数理
- パターン認識と機械学習
- 自然言語処理
- 認知科学
- 社会統計学
など
情報システム・セキュリティコース
- コンピュータ・システム実験
- 情報セキュリティ
- 組み込みシステムとIoT
- オペレーティングシステム
- コンピュータグラフィックス
など
-
Featured
社会と情報科目群 (3年次)
情報科学と人文科学や社会科学との接点や融合を意識した科目、キャリア形成科目等が配置されます。他学部からの提供科目を積極的に受け入れるとともに、他学部にも科目提供を行います。
卒業研究 (4年次)
専任教員の研究室に配属され、教員指導のもと研究成果をまとめます。
学長からのメッセージ

私たちがものを考え、判断を下すとき、頭の中では何が起きているのでしょうか? どんな情報がどんな方法でやりとりされているのでしょうか? 人間の頭脳は常に人々の驚異と興味の対象でした。近年の情報科学の発達は、コンピュータの能力を部分的に人の思考に近いレベルまで引き上げました。近い将来、私たちの社会には AI (人工知能) が仲間として加わってくると言われています。
明治学院大学は開学以来、設置する初めての理系学部として『情報数理学部』を選びました。ここでは数学や情報科学を使って、AIの能力や未来の可能性を探ります。また、人間にとって AIとうまく付き合うにはどうすればいいのかについて考えます。情報数理学部が扱う分野は非常に若く、しかも急速に発展しています。若い学生の皆さんがここで身につけた知識を使い、世界の情報分野で活躍してくれることを願っています。
対談シリーズ
情報数理学部に関わるキーパーソンたちが、対談でその魅力や想いを語ります。

対談シリーズ Vol.2 アインシュタインも想像できなかった未来がやってくる ― 量子力学によって変わる「情報」の世界。そこから未来視点で学ぶ情報数理学部
入試
2023年5月頃のご案内を予定しています。