目次案 最終版 <セシル>
『告白の誕生―『りぼん』に見るロマンティック・ラブ・イデオロギーの再生産』
第1章 序論
1-1 なぜロマンティック・ラブ・イデオロギーなのか
1-2 アプローチ
1-2-1 「告白」に注目する理由
1-2-2 なぜ『りぼん』なのか
1-2-3 どのように『りぼん』を扱う
1-3 本論文の構成
第2章 ロマンティック・ラブ・イデオロギーの誕生と普及
2-1 西欧での誕生
2-1-1 騎士道的恋愛
2-1-2 宮廷風恋愛
2-1-3 ブルジョワジーの台頭とルソーの登場
2-1-4 ロマンティック・ラブ・イデオロギーの誕生
2-2 日本への普及
2-2-1 「恋愛」という言葉の輸入
2-2-2 恋愛結婚の普及
2-2-3 一夫一婦制の浸透
2-3 ロマンティック・ラブ・イデオロギーの特徴
第3章 少女漫画史における『りぼん』
3-1 少女漫画雑誌『りぼん』とは
3-2 少女漫画の歴史
3-2-1 戦前の少女雑誌
3-2-2 戦後の少女雑誌
3-2-3 ストーリー漫画の登場
3-2-4 少女雑誌における漫画
3-2-5 少女漫画の方向性
3-2-6 月刊誌から週刊誌へ
3-2-7 ロマコメの登場
3-2-8 ラブロマンスへ
3-2-9 多様化される少女漫画
3-2-10 「おとめちっく」ロマン以降
第4章 『りぼん』に見る告白の変遷—初期の告白
4-1 どのように『りぼん』を時代区分するか
4-2 1956年〜1958年 告白の広がり
4-2-1 『りぼん』の傾向
4-2-1-1 家族の愛
4-2-2 告白の形態
4-2-2-1 気持ちを伝える
4-2-2-2 事実を打ち明ける
4-2-2-3 「秘密」の告白
4-3 読者投稿欄
4-3-1 読者アンケートによる特集ページ
4-3-1-1 「まんがはわたくしたちのおともだち」
4-3-1-2 その他の特集ページ
4-3-1-3 “おうちのひともいっしょに”
4-3-2 おかあさまのページ
4-3-3 りぼんのおへや
4-3-3-1 おたよりコーナー
4-3-3-2 りぼんをよくするページ
4-4 まとめ
第5章 愛の告白
5-1 1959年〜1963年 プロポーズ台頭
5-1-1 “皇太子ご成婚”による結婚の広がり
5-1-2 『りぼん』の傾向
5-2 愛の告白の誕生
5-3 その他の告白
5-3-1 母と娘の告白
5-3-2 懺悔
5-3-3 事実を打ち明ける
5-3-4 「お兄さんになってほしい」
5-4 読者投稿欄
5-4-1 りぼんのおへや
5-4-1-1 おともだちのおてがみ
5-4-1-2 作品のページと学校だより
5-4-1-3 わたしとおともだちに
5-4-2 あなたの相談室
5-4-3 ファンページの登場
5-4-4 おかあさまのページ
5-5 まとめ
第6章 愛の告白の繁栄
6-1 1964年〜1970年 特化していく愛の告白
6-2 プロポーズ
6-3 愛の告白
6-4 デート
6-5 ペンフレンド
6-6 ラブレター
6-7 お金よりも愛情
6-8 嫉妬
6-9 愛憎
6-10 不自由な恋愛
6−10−1 同性愛
6−10−2 教師と生徒
6-11 その他の告白
6-11-1 正体を明かす
6-11-2 事実を打ち明ける
6-11-3 懺悔
6-12 読者投稿欄
6-12-1 りぼんのおへや
6-12-1-1 おともだちのおてがみ
6-12-1-2 わたしのクラスの男の子
6-12-1-3 男の子をやっつけちゃうページ
6-12-2 ひみつ・ひみつ・ひみつ
6-12-3 ハーイ・おげんき!?
6-12-3-1 ボーイフレンドとのエピソード
6-12-4 りぼんなやみ相談室
6-12-5 ファンコーナーの繁栄
6-12-6 「おかあさまのページ」の衰退
6-13 まとめ
第7章 様々な告白の登場
7-1 1971年〜1985年 様々な告白の登場
7-2 プロポーズ
7-2-1 結婚しなくてもいい
7-3 多数の愛
7-4 教師と生徒
7-5 家庭内の告白
7-5-1 義母への愛
7-5-2 兄弟愛
7-6 同性愛
7-7 セックス
7-8 母、父の恋愛
7-9 妊娠
7-10 君自身が好き
7-11 交際の申し込み
7-12 愛の告白
7-13 プレゼント
7-13-1 指輪
7-13-2 手編みのセーター
7-14 イベントで告白
7-14-1 初詣
7-14-2 バレンタイン・デー
7-15 学校での告白
7-16 告白に対する反発
7-17 まだ好きではないけど付き合う
7-18 キス
7-19 別れるときの告白
7-20 事実を打ち明ける
7-21 読者投稿欄
7-21-1 「ハーイおげんき!?」
7-21-1-1 読者たちによる投稿欄の規定
7-21-1-1-1 コーナーの確立
7-21-1-1-2 企画の提案
7-21-1-2 「ラブレターコーナー」の登場
7-21-1-3 ファンレターへの流れ
7-21-2 悩み相談コーナー
7-21-3 男の子の登場
7-21-3-1 ペンフレンドとしての男の子
7-21-4 ワルいけどノロケさせてね
7-21-5 恋している女の子のコーナー
7-21-6 「恋愛」イメージを持つ少女たち
7-21-7 その他の投稿
7-21-7-1 キス
7-21-8 ペチャクチャらんど
7-21-8-1 マイラブストーリー
7-21-8-2 がんちゃんの悩みごときいちゃいます!のコーナー
7-21-9 みーやんのとんでもケチャップ
7-21-10 ファンページの復活
7-21-10-1 「砂の城」
7-21-10-2 登場人物への憧れ
7-21-11 A子タンの片想い伝言板
7-21-11-1 片想いエピソード
7-22 まとめ
第8章 考察
8-1 少女漫画と告白
8-2 再生産されるロマンティック・ラブ・イデオロギー
8-3 この論文を通して
参考文献・HP・資料
付録・りぼん年表
概要
恋人をつくることや、愛する人と結婚することは当然のこととして考えられている。恋愛と結婚を結びつける考えを支えるもの、それは西欧から日本に輸入されたロマンティック・ラブ・イデオロギーと呼ばれる概念である。我々の人との付き合い方や関係は、この概念から知らず知らずの内に影響を受けている。
本論文では、少女漫画雑誌『りぼん』に描かれる「告白」のシークエンスと読者投稿欄に注目し、ロマンティック・ラブ・イデオロギーがどのように再生産されてきたのかを明らかにする。
「告白」は、もともとは信仰告白であり、愛情を打ち明けるという意味はなかった。『りぼん』の中では、60年代に、プロポーズという形で愛の“告白”が誕生する。そして、少女漫画のテーマに恋愛が増えていくにつれ、告白は恋愛に特化されたものへと変わっていく。その具体的なシークエンスを見ることで、告白のあり方の変遷を明らかにする。
そして、投稿欄にも恋愛に関する反応は増加する。テクストと読者の関係とは、一方的に影響を与えるものではない。読者の反応とテクストは互いに規定し合う関係にある。そのため、読者の反応の変化も同時に見ていく必要がある。