目次案 最終版 <まいまい>
『好感度の政治学 ―ファッション誌『steady.』に見る言説分析―』
第一章 序論
1-1 ファッションに注目するきっかけ
1-2 なぜ『steady.』なのか
1-2-1 『steady.』とは
1-2-2 就職活動と『steady.』
1-2-3 ファッションで好感度を上げる
1-3 好感度の政治学とは
1-3-1 ミシェル・フーコーの政治学
1-3-2 北山晴一の権力モデル
1-4 本論文の進め方
第二章 ファッション言説について
2-1 ファッション言説の前提
2-2 ウェブレン“滴り理論”
2-3 ジンメル“二重の欲望”
2-4 雑誌と広告の影響力
2-5 男性から欲望される対象としての女性
2-6 ファッションにおける力のまとめ
第三章 ファッション言説について
3-1 女性ファッション誌の歴史
3-2 『steady.』創刊までの宝島社の歴史
3-3 『steady.』のコンセプトと読者
第四章 『steady.』の構成を読む
4-1 調査の進め方
4-2 調査
4-2-1 『steady.』が扱う内容を読む
4-2-2 特集について
4-2-2-1 メインとなる特集
4-2-2-2 それ以外のファッション特集
4-2-2-3 ファッション以外の特集
4-2-2-4 まとめ
4-2-3 読者の扱われ方
4-2-3-1 アンケート
4-2-3-2 読者の代表・読者投稿
4-2-3-3 まとめ
4-2-4 コーディネートの「改善」
4-2-4-1 NGとされるもの
4-2-4-2 before/afterに見られる違い
4-2-5 広告
4-2-5-1 広告
4-2-5-2 タイアップ
4-3 「steady.」の構造
第五章 『steady.』に見られる言説を読む
5-1 調査の進め方
5-2 好感度言説の調査
5-2-1 求められるイメージ
5-2-1-1 上司・クライアント
5-2-1-2 彼・男性
5-2-1-3 先輩OL
5-2-1-4 友達・同僚の女の子
5-2-1-5 「全方位」みんなに好かれる
5-2-2 好感度企画
5-2-3 好感度モデル
5-2-4 まとめ
5-3 『steady.』の項目別調査
5-3-1 OLに求められるイメージ
5-3-1-1 お仕事コーデ
5-3-1-2 定番・無難
5-3-1-3 お仕事「必須」アイテム
5-3-1-4 まとめ
5-3-2 「トレンド」を示す言説
5-3-2-1 今年顔
5-3-2-2 差をつける
5-3-2-3 ブランド
5-3-2-4 流行・人気
5-3-2-5 モデル
5-3-2-6 まとめ
5-3-3 男性を意識させる言説
5-3-3-1 合コン・デート
5-3-3-2 男性の意見を反映した企画
5-3-3-3 恋愛・結婚企画
5-3-3-4 まとめ
5-3-4 読者が紙面を作る
5-3-4-1 アンケート
5-3-4-2 読者代表
5-3-4-3 読者代表の企画
5-3-4-4 steady.特派員・steady.調査隊
5-3-4-5 まとめ
5-3-5 読者の志向
5-3-5-1 「きちんと感」
5-3-5-2 「トレンド感」
5-3-5-3 「男の子ウケ」
5-3-5-4 好感を得るということ
5-3-5-5 まとめ
5-3-6 読者の要望を受けたコーナー・特集
5-3-6-1 プチプラ
5-3-6-2 Q&A・スタイリストの助言
5-3-6-3 マンネリ
5-3-6-4 着やせ・スタイルアップ
5-3-6-5 steady.ちゃん
5-3-6-6 読者の分類
5-3-6-7 まとめ
5-4 好感度言説をとらえ直す
第六章 考察
6-1 『steady.』にみられた権力モデル
6-1-1 良き企業人
6-1-2 おしゃれな人
6-1-3 理想的な女性
6-2 シチュエーションによって変わる理想像
6-3 『steady.』で推奨されるスタイルと批判されるスタイル
6-3-1 「本命系」のモデル像とは
6-3-2 NGとされるスタイルの位置づけ
6-4 「新人」に大きくかかる力
6-5 『steady.』の役割
6-6 読者代表の役割
6-7 「好感度の政治学」を通して
6-7-1 この研究で明らかになったこと
6-7-2 不足点と今後の展望
参考文献
付録
概要
本論文では、OL向けファッション誌『steady.』を、ミシェル・フーコーが提唱する政治的権力という観点から明らかにする。そのキーワードとなるのが「好感度」である。人に好かれるようなファッションや行動を示すことで、『steady.』に見られる言説空間に志向させる力がどのように読者にかかっているのかを見ていく。
まず『steady.』2012年11月号を構造的に分解し、『steady.』の仕組みについて考える。次に、『steady.』の創刊から2012年12月号までの73冊を読み、そこではどのようなことが語られているのかを調査した。
調査結果から、『steady.』にはどのような言説空間が見られるか考察した。ミシェル・フーコーの著書の訳者でもある北山晴一が考える権力モデル図を発展させ、言説空間の関わり合いと「好感度」の政治的権力がどのような位置関係にあるのかを図式化した。私は『steady.』には3つの言説空間があると考える。「良き企業人」「理想的な女性」「おしゃれな人」という3つを志向する言説空間である。これら3つの言説空間が相互に関わり合い、求められる理想像はシチュエーションごとに変化する。『steady.』の言説空間内部では、その流動する理想像に向かおうとすることが求められているのだ。