文化人類学【紺屋あかり専任講師(国際学部)】
学び
皆さんは「文化」と聞いて何を思い浮かべますか? 紺屋先生の「文化人類学」では、私たちが当たり前だと思っている価値観や習慣も、他の文化と比較することで初めてその特徴や魅力に気づくことができる、という視点を大切にしています。
例えば授業では、捕鯨をテーマに文化の多面性を考えます。捕鯨は一部の地域にとっては長い歴史を持ち、日本では江戸時代にルーツを持つ伝統文化ですが、同時に米国も絡む国策としての資源利用や外交問題にも関わっています。「伝統文化として尊重されるべきか、それとも国際的な規範の中で再考されるべきか」という問いは、単純な善悪では語れない複雑さを持っています。
授業ではこうしたトピックに関する文章を読み、学生同士で意見を交わしながら、さまざまな視点で考えを深めていきます。講義を一方的に聞くだけでなく、対話や読解を通じて理解を広げていくアクティブな学びの場となっています。
こうした事例を通して、学生は文化の背景にある人々の考え方や歴史を読み解く力を養い、他者の価値観に対する理解も深めていきます。異なる文化の「差異」は、対立を生むものではなく、むしろ私たち自身の文化を見つめ直すための鏡となることに気づかされる授業です。
学生広報委員
山口あおい(国際学科3年)
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文化人類学の研究手法のスライド
白金通信2025年冬号(No.525)掲載