【聖書のことば】『旧約聖書』エレミヤ書23章16節

万軍の主はこう言われる。
お前たちに預言する預言者たちの言葉を聞いてはならない。
彼らはお前たちに空しい望みを抱かせ、
主の口の言葉ではなく、自分の心の幻を語る。

旧約聖書に登場するエレミヤら預言者の務めは、自分の考えではなく、神の意思をイスラエルの人々に伝え、国のあり方を正し、悔い改めを迫ることでした。イスラエル国家存亡の危機の時代に彼らから発せられた預言の言葉は、神の怒りや裁きを告げるものでしたから、当然彼らは人々に嫌われ疎んじられました。一方で、「自分の心の幻」を無責任に語る自称預言者も少なくなく、人々は耳当たりの良い彼らの言葉に飛びつき「空しい望み」を抱いたのでした。

エレミヤが活躍していたユダ王国は、彼の預言どおりバビロンによって滅ぼされます。正しかったのは圧倒的少数者であり孤独の人、エレミヤだったのです。

《立ち帰れ、主のもとに》渡辺総一 作

白金通信2023年夏号（No.515）掲載