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「人のために」が私の原動力

2022.11.17

高校時代の政治経済の授業で自治体や政治について興味を持ち、もっと深く学びたいと思い政治学科に入学した石井さん。入学後も「選挙の投票率を上げるためにはどのような働きかけが必要か」などの研究をしています。「どうすれば人のためになるのか」を常に考えて動き続ける石井さんの原動力とは。

石井 柚衣 法学部 政治学科 4年政治学科に入学後、 かながわ選挙カレッジに参加し、高校生に対する選挙の参加促進活動などに力を注ぐ。 趣味はトロンボーン。小学校から現在まで続けていて音楽が大好き。 最近はジム通いをスタート。トレーニングのお供の鶏むね肉を冷凍してストックするほどはまっている。

人と人をつなぐ役目

私は昔から先頭で発言して人を引っ張っていくタイプではなく、基本的に聞き役になっていることが多いタイプでした。いろいろな人の話を聞くことはすごく刺激になり、好きなので何時間でも人の話に耳を傾けることができます。そしていつの頃からか友人と友人の間に立って2人の共通点を見つけて、その人同士をつなげることが得意になっていました。全然違う性格の友人同士を私がつないで仲良くなることがすごく嬉しくて、この立ち位置は自分にあっているなと思っていました。

このことを意識し始めたのは就職活動の時でした。自分がこの立ち位置が得意だと気づき、卒業後の進路も決めることができました。人と人をつなぐことが得意になれたのはこれまでの経験があったからこそだと思っています。

成長できた吹奏楽部時代

小学生からずっと吹奏楽でトロンボーンを続けてきました。初めは音楽がただただ好きで吹奏楽部に入っていたのですが、高校の部活では、練習内容や同級生の演奏レベルがとても高く、くじけそうになりました。ですが、そんなときにコーチから言われた言葉を今でも忘れず大切にしています。

「心を整えることをしなさい」。
練習が忙しいとき、自分が何をすればいいか見失ってしまっているときこそ焦るのではなく、一度立ち止まって落ち着いて考えることが大事。そのことを教えてくれた言葉です。この言葉をコーチからいただいてから、私は練習を今までの倍すること、あいさつをすること、そして、相手の意図を理解するために人の話をしっかりと聞くなど、基本を丁寧にやることを徹底しました。それによって先輩たちから少しずつ認めてもらうことができ、多くアドバイスをもらえるようになりました。この基本の徹底を継続できたことで同級生との差を埋めることができたと思っています。

その成果を演奏会で披露できた時は本当に頑張って良かったなという達成感と同時に、つらいときに助けてくれた人への感謝の気持ちでいっぱいになりました。吹奏楽で得た経験で、自分が今何をすべきなのかを考えて行動することができるようになれたと感じています。

政治経済の授業との出会い

明学には政治学科に興味を持ち入学しました。政治学科に興味を持ったきっかけは、高校生の時に受けた政治経済の授業で日本の政治課題に興味を持ったからです。授業の内容は東京都大田区に政策の提案をするというものでした。大田区は妊産婦避難所運営訓練などの妊産婦さんに対する政策を行っています。そこで妊産婦避難所をどこに設けるべきかという問題を解決するために、学校を妊産婦避難所にするという提案と、避難所がすぐに分かるアプリを作るという2つの提案を行いました。この授業の中で、今まで自分が全く知らない現代の事柄に触れ、もっと日本が抱えている課題などを深く知り、それを解決する術を考え、少しでも困っている人のためになることをしたいと考えました。

そんな中で出会ったのが明治学院大学の政治学科でした。覚えているのは、オープンキャンパスで出会った、キラキラしたかっこいい先輩たち。ただ、最終的な決め手は明学の教育理念です。“Do for Others(他者への貢献)”という言葉が、まさに困っている人のためになることをしたいという私の思いとリンクしました。自分の考え方とどこか通ずるものを感じ、この教育理念を掲げている大学の政治学科で学びたいと強く思いました。

かながわ選挙カレッジとの出会い

1年次の政治学基礎演習で選挙について学び、当票率の低さを知りました。私は選挙に行くことが当たり前になっていたので、それが当たり前ではないことを知って、なぜみんなが選挙に行かないという選択になってしまうのかもっと知りたいという気持ちになりました。
そのタイミングで、フィールドワークという授業があり、選挙について深く研究をしました。フィールドワークは、自分の決めた題材の研究を深めるために教授とマンツーマンで取り組む、政治学科の特徴的な授業です。この授業を通じ、高齢化が進んでいる中で、今の若者の投票率のままだとこれから日本を支えていく世代の意見が通らない国になってしまうと危機感を感じました。

どうしたらみんなが選挙に足を運んでくれるようになるのか何かいい方法は無いか考えたところ、ふと、なぜ自分がここまで何のためらいもなく選挙に行くのかを考えました。それは「選挙を自分事として捉えられているかどうか」がポイントでした。私の場合は、高校での記憶に残るような政治経済の授業があったからこそです。選挙を自分事として捉えられていると気付き、それなら、これから選挙権を持つ高校生が、自分事として捉えられるような機会があればと思いました。

そんな時にかながわ選挙カレッジの募集がゼミで回ってきました。かながわ選挙カレッジは若年層の低投票率を改善していくための対策として、学生自らが選挙事務などに携わる参加型の啓発活動をする団体です。この内容は私がやりたいと思っていた活動内容だったのですぐに応募をしました。

かながわ選挙カレッジでは高校に訪問して政治経済の授業の時間を1コマもらって模擬選挙を行いました。具体的には私が架空の候補者になって政策などを話します。それを聞いた高校生たちにどの候補者が良いかを判断してもらい投票を経験してもらうという活動です。その時に絵などを使った資料を使って分かりやすく説明することを心がけて、なるべく選挙が堅く、分かりにくいものだというイメージを払拭できるように工夫しました。

授業を終えて高校生たちにアンケートを取った際、「実際にやってみたら簡単だった、これならできる」などの声が寄せられました。選挙のハードルを少しでも下げることができたと、本当にやってよかったなと感じました。この授業がきっかけで投票に行く生徒が現れてくれると考えると、すごくやりがいがあって良い経験になりました。

自分がしてもらったことを誰かにも

かながわ選挙カレッジの経験で、これから社会で活躍していく若者の意見が反映される世の中になってほしいと思って活動をしてきて、私は人のために動くことにやりがいを感じる人間なんだと気づくことができました。入学前に漠然と共感していた“Do for Others(他者への貢献)”がこんなに自分の軸と合っていた言葉だと思いませんでした。私がこんなにも人のために動くことにやりがいを感じることができたのは、さまざまな人の支えがあったからだと思っています。選挙カレッジの職員の方々、コーチ、先生、親、友達が、私がやりたいことを見つけたときにいつも支えてくれました。人に恵まれて助けてもらったからこそ恩を返したいと思いましたし、色々な人のためになるようなことをしたいという気持ちが強くなったと思います。これからも「人のために」を常に自分の大切な軸として生活していきたいと思います。

自分の軸を大切にこれからも

卒業後は金融系の企業に勤める予定です。かながわ選挙カレッジで関わった自治体などに勤めることも考えましたが、より身近な人の課題を一緒に解決していきたいという気持ちが強くあったので、その人が今どのような状況に置かれているかを考えてその人に寄り添った提案ができる金融系の企業に就職することに決めました。勤めてからは私の軸である「人のために」を意識しその人に寄り添った提案をして、お客様は何を求めているかなどを常に考え続けたいと思います。社会人になってからきっとうまくいかないことやいっぱいいっぱいになることもあると思います。そんな時は今まで経験してきたことを思い出して乗り越えていきたいと思います。とくに先生から教わった「心を整える」を忘れないこと、そして大学で気づけた「人のためにという気持ちが原動力になる」ということを大切にして、目の前のことからしっかりと乗り越えていきたいと思います。

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