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12大学の文芸部の合同誌をオンラインで発刊。今だからこそ、できることを

2020.12.21
金子 拓洋
Takumi Kaneko 金子 拓洋 文学部 フランス文学科 3年

普段は毎週水曜日に部会を開き、読書や創作活動を行っている文芸部。他大学との合同誌『BROOM』執筆企画は毎年秋から冬にかけて行っています。数年前に5つの大学で始めた活動でしたが、昨年に6つ、今年は12の大学が企画に加わることとなりました。

1年の時、合同誌『BROOM』に初参加し、「盛り上げたい!」と強く思いました。文芸部では2年で運営を任され、3年で引退するのですが、2年次に「来年の『BROOM』は頑張るぞ!」と意気込むや否やウイルス禍がやってきてしまったのです。ちょうど新歓の時期でしたが、そもそも1年生が入ってきませんし、他大学も大変でしたし、何より部誌や合同誌を売るコミックマーケットや文学フリーマーケットなどのイベントがなくなってしまい、八方ふさがりに…。

でも、考えてみれば、家にいながら活動できるのが文芸部。イベントが自粛する中、「おうち時間に○○しよう」という機運が高まり、ネット上に作品を発表しようという試みに挑戦することに。「12もの大学のサークルを集めておいていい加減なことはできないな」と身を引き締めると同時に、「こんな時勢だから、失敗してもそれでよし。やれるだけ丸儲けだ!」というスタンスでやってきました。『BROOM』という看板以外はすべてが初めてですから、実験を行っているような心持ちです。

文芸部の活動ではいろいろな作品との出会いがあります。先輩たちの影響から織田作之助や、ライトノベルなどにも出会え、人と会うだけ、指数関数的に作品にも会えるのだなと実感しました。そう考えると『BROOM』オンラインは驚異的です。12大学から52作品が寄稿され、それだけの作者や部員が背後に入るわけですから! こんな機会がないと一生のうちに出会えない作品がどれだけ多かったことか…。

だから、動くことの大切さ、会いに行けなくてもつながっていく大切さがよくわかりました。これはよかったことです。かけがえのない2020年のこの時間は戻ってこないし、今までの日常も戻ってこない。だったら、時代を先取りしたり、新たな生き方を模索したりすればいい。「46億年のうちにこんなこと一度もなかったのだから、徹底的に味わい尽くしちゃえ」って、そんな風に前を向き動くことができました。

12月6日に、一緒に部誌を作った一部の大学とオンラインで交流会を行いました。初めてもしくは久しぶりに交流ができたことには大きな喜びがあり、交わされる言葉は生きていました。この時代に産まれ、たくさんの物書きと知り合えたのはとても幸せなことです。『BROOM』オンラインの作品群も誰かの糧となれば幸いです。

過去に発行された文芸誌とともに。
言葉ほど魅力的なものってない…。仏和辞書はいつも一緒
合同誌『BROOM』オンライン。毎年、紙で発行されている合同誌を今年はオンラインで発刊。12大学からなんと52作品も寄稿。

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