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孤独な闘いだった税理士の勉強。先生のサポートがあったから頑張れた

2023.01.25

大学3年生の時に「税理士になる」と将来の目標を定め、努力を重ねてきた岡﨑勇介さん。明学での講義がきっかけで、夢を見つけられたといいます。現在の仕事の内容や、明学時代の思い出について語っていただきました。

岡﨑 勇介 四大税理士法人 税理士

1993年千葉県生まれ。2016年明治学院大学経済学部経営学科卒業。2018年高千穂大学大学院経営学研究科会計学専攻修了。大学院在籍時に税理士試験に合格し、2018年にBig4と呼ばれる四大税理士法人の1つに入社。金融関係の部署で外資系企業などの税務を担当する。

税理士のやりがいは、クライアントの仕事を育てているという実感

2018年からBig4と呼ばれる四大税理士法人の1つである会社で税理士として働いています。金融関係の部署に所属しており、業務内容は税理士の中でも少し特殊な、外国銀行や不動産投資法人などの税務です。クライアントのほとんどが大企業なので、扱う金額も大きいですね。節税というよりは、税務申告上のリスクをなくしたい、適正に処理をしたいと望まれるお客様が多いです。

日々の業務は、法人税や消費税の申告書作成、クライアントからの問い合わせ対応やM&Aの際の税務デューデリジェンス(税務状況の事前調査)など、多岐にわたります。税務申告には期限がありますので、締め切り前は時間との戦いです。大変なこともありますが、1人ひとりの裁量が大きく、基本的に担当クライアントの業務は任せてもらえます。自分がクライアントの仕事を育てていると実感できる点がやりがいになっています。

オープンキャンパスでの第一印象が明学進学の決め手に

実は、中学生までは全く勉強ができませんでした。どうやって勉強すればいいかもわからなかったのです。高校生の時にオープンキャンパスで訪れた明学の第一印象がとても良かったので、受験を決めました。千葉県の田舎で育ったので、それまで東京にはほとんど出てきたことがありませんでした。白金キャンパスの建物やそこにいる大学生のおしゃれな雰囲気が当時の私にはすごく新鮮で、それまでに自分が見たことのない世界観に惹かれました。

当時は将来どんな仕事に就きたいか、まだ決まっていなかったので、漠然とした興味で経済学部を選びました。高校の公民の授業が面白かったため、その延長のような勉強ができるのかな、と想像していました。

1年生の時は、横浜キャンパスまで実家の船橋から片道2時間半かけて通学していましたが、授業には苦労して、1限目の必修科目は全部単位を落としてしまいました(苦笑)。さすがにまずいと思い、2年生になると本気で勉強して、なんとか単位を取得することができました。

西山先生の講義をきっかけに税の世界へ

大学生になって、東京に住んでいる友だちや地方から上京してきた友だちと出会い、世界が一気に広がりました。1年生の時の思い出は、「戸塚まつり」の実行委員に友だちと一緒に応募したこと。主に当日の会場設営を担当しました。実行委員のみんなと仲良くなり、合宿と称して旅行に行くなど、すごく楽しかった思い出があります。大学は高校のようにクラスがあるわけではないので、自分から動かなければ、人とのつながりはできません。サークルでも実行委員会でも、学内の活動を経験しておくと友だちもできますし、青春を味わえると思います。

税務に興味を持ったのは、大学2年生の時です。西山由美先生(経済学部教授)の講義で、外資系企業の法人税について学び、面白い世界だなと思いました。それまでは、知っている税金は消費税くらいでしたから。海外企業が税金についてかなり緻密に戦略を練っていて、それが経営方針の1つとなっていることを知り、税が果たす役割の大きさに関心を持つようになりました。その後、山田純平先生(経済学部教授)のゼミに入り、国際会計基準についての研究を通してさらに関心を深めました。

部活を辞めて、勉強に専念

2年生の11月に簿記2級に合格。その頃から、将来について考え始めました。会計士になるか、税理士になるか、一般企業に就職するか。この3択で悩み、結果的に3年生の6月頃に税理士になろうと決めました。一般企業の経理部では、そこまで専門性の高い仕事はできないだろうということ、会計監査よりも税務に興味があったことが決め手になりました。税理士は社会に出てから資格を取得する人も多いのですが、私は労働環境の整っている大手の税理士法人に就職したかった。そのためには新卒でのチャレンジが1番の近道です。ただ、大学院を卒業するまでの間に試験にある程度合格する必要がありました。

税理士試験は11科目中5科目の合格が必要です。その後、2年間の実務を経て税理士登録します。科目が多いために、社会人から挑戦すると10年近くかかってしまうこともあります。大学院までの間で必要な試験をパスするために、所属していた合気道部も辞めて、大学3年の夏から専門学校に通い、勉強に専念しました。

経営学科は一般企業に就職する学生が圧倒的に多いので、私のような進路を選ぶ人はレアケースだと思います。相談できる仲間もいなくて、ひとりで音楽を聴きながらパレットゾーンでひたすら勉強していました。周囲からは近寄りがたい存在だったかもしれません(苦笑)。そんな孤独な戦いの中でも、先生方が相談に乗ってくださったのはありがたかったです。ゼミの山田先生はもちろん、西山先生の研究室にも伺って相談させてもらっていました。

税務財務を極め、企業の経営に携わりたい

大学の授業が終わった後、夕方から専門学校に通って税理士試験の勉強をする。かなりハードな毎日でしたが、自分の興味のある分野だったから頑張れたのかなと思います。また、「今の努力は、社会人になればきっと報われる」と考えて自分を鼓舞していました。学生時代後半は同級生たちのように友だちと遊んだりサークルを楽しんだりはできなかったけれど、人生は長いので、当時我慢していた分は社会人になってから取り返せるだろうと思っていました。

明学卒業後は高千穂大学の大学院に進学。その間に税理士試験に合格し、大学院を卒業した2018年に現在の税理士法人に入社しました。入社当時は本当に仕事ができなくて、大げさではなくコピーを取ることもできないような状態でした。2年くらい経った頃に、ようやくある程度仕事ができるようになったと思います。一から育てていただいた今の事務所には、感謝しています。また、専門知識の面では、大学時代に学んだ税法や会計の知識がそのまま今の仕事に生かされていると感じます。

税理士はある程度経験を積んだら独立する人が多いのですが、私は今のところ、独立は考えていません。将来的には税務だけではなく、企業のファイナンスの能力を身につけて、スタートアップ企業のCFO(最高財務責任者)といった立場で経営に携われたらと考えています。

悔いが残らないよう、充実した大学生活を

“Do for Others”という教育理念は、直訳すると他者への貢献、といった言葉になると思います。貢献というと少し大げさかもしれませんが、人と関わっていくこと自体が“Do for Others”だと私は解釈しています。学生時代に今まで関わったことのない人と接して、勉強して、プライベートを充実させることは、社会人になってから初めて会う人と一緒に仕事をして成果を上げていくことと共通しています。だから、社会人になっても自分の根底にはこの精神があるのだと感じています。

明学の5つの教育目標の中で最も重要だと感じるのは「他者を理解する力」。税務も含め、ビジネスには必ず相手が存在するので、相手のことを理解しなければ、自分のすべきことも見えてきません。私も日々、相手が何を望んでいるのかをきちんとくみ取るよう意識しています。普段はメールのやりとりで業務を進めることが多いのですが、大事な場面では電話をして直接話します。そうすると、相手がどんな人で、どんな考え方をしているかがわかります。文字だけのコミュニケーションにならないよう工夫することで、他者の理解につなげています。

私自身は大学時代に明確に進路を決めましたが、やりたいことが見つからない人もいると思います。実際にやってみないとわからないことが多いですし、今は新卒で入社した会社に終身雇用という時代でもありません。まずは自分の興味のある分野に進んでみてください。それが違っていたとしても、いくらでもやり直しがききます。

振り返ってみると、やはり大学4年間は短かったですね。人生の中で20歳前後の数年間は、その後の人生を左右する大事な時間です。だから、後から振り返って、あの大学生活で良かったなと思えるような時間になるといいなと思います。よく言われることではありますが、勉強でもプライベートでも、ぜひ悔いが残らないような大学生活を過ごしてください。

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