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“ありのまま”でいることの大切さ。跳び続けて見えたもの

「外に出られない期間(2020年4月~6月)は毎日踊って、毎日Instagramに投稿していました」 「授業中でも、思ったことはとにかく何でも言います」 できそうで、できないこと。思い浮かぶものは人それぞれですが、「できそうならやってみる」を地で行く学生生活を過ごす柳井さん。大切にしているという「ありのままでいること」に迫ります。

柳井 優那 社会学部 社会学科 4年 音楽と共に2本の縄を駆使して多彩なパフォーマンスを披露するダブルダッチの実力者。これまで世界大会に5回出場し、2012年には狛江市市民功労賞を受賞。ダブルダッチの経験が起点となり、現在は石原英樹ゼミにてジェンダーの勉強に打ち込む。好きな言葉は「すべてのことに意味がある」

人生をかけたダブルダッチ

明学には好印象を持っていました。3歳違いの兄が2人いるのですが、2人とも明学を受験したので、私にとって明学は大学という言葉から想起される身近なものでした。

小学校から高校まではとにかくダブルダッチ漬けの日々。大学受験でもダブルダッチの経験を生かせないかと考えていました。受験日当日は緊張しすぎて面接時に何を話したかほとんど覚えていませんが、うまくいかなかった実感だけが残りました。それだけに家族からLINEで合格を知らされた時は本当に嬉しかった。ずっと嬉し泣きしていましたね。安堵はもちろんですが、これまで自分の人生をかけて打ち込んだダブルダッチを認めてもらえたことが嬉しかったのかもしれません。

日中は授業、夕方から練習。帰ったらだいたい23時すぎ。1~2年生はずっとそんな生活を送っていました。特に1年生の頃は学生生活に慣れることに必死でした。友達があの授業を受けると言ったら一緒に受け、あのサークルを見学すると言えばついていく。よく言えば好き嫌いせずなんでもやってみる毎日を過ごしていました。授業の中で感じていたことは、社会学がカバーする事柄の多様さ。社会学=環境問題などの先入観をもっていましたので、心理学や経済学なども社会学と密接に関わっていることを学べたのは嬉しい発見でした。

特に面白かったのが「コース演習A」。書店やネットで販売されている一般的な雑誌に込められた企画の狙いや構成を分析、発表する内容でした。「モデルの服装が読者に与える印象は?」「このページの配色の狙いは?」など、これまで考えもしなかった視点で雑誌を紐解く過程がとても面白かったです。自分のプレゼンテーションも好評で、社会学に対する興味と関心がさらに深まったことを実感できた経験でした。

悩んでいる人たちのために、何かできないか

あの人は性的指向が女性ではないか?女性同士で交際しているのでは?高校から大学2年にかけて、身の回りでこのような話を耳にする機会がよくありました。同時に飛び込んできたのは、そのことで当事者の方々が悩み、苦しんでいる姿。この人たちのために何かできないか。自然とそう思えたことが、ジェンダーの問題に強い関心を抱いたきっかけです。大学3年には性的マイノリティーの研究を専門とする石原英樹教授のゼミに入り、文献やSNSを中心に情報収集する日々が始まりました。

柳井さんの言っていることって、つまりどういうこと?

ゼミは2020年4月からスタート。コロナ禍ですのでオンライン中心の授業でした。ゼミの特徴を挙げるとすれば、ゼミ生の発言量がとにかく多いこと。先生がゼミ生に発言をどんどん求めてくれますし、それに呼応するかのように議論が活発になります。皆さんは授業中に、先生が求めている、いわゆる「正解」に近い発言をしなければならないと思ったことはありませんか? そのために自分の考えに自信が持てず、結果、発言もしなくなる。ゼミ開始当初の私はまさにこれでした。自分というアイデンティティをさらけ出すことに不安を覚え、抽象的な、敢えて言うなら、薄っぺらい発言ばかり。

「柳井さんの言っていることって、つまりどういうこと?」
発言してもこう返されて答えに窮してしまった経験から、“それらしい”発言をすることが求められている学生像であると誤解していた自分に気づきました。それ以降、わからないことは「わからない」など、自分の気持ちを素直に声に出した途端にアイデアや意見がどんどん湧き上がるようになりました。これまでの自分は、自身にふたをしていたのかなと思います。

・先生、今の言葉わかりません。
・自分はこう捉えたんですけど、先生はどう思いますか?
・自分の理解で合っていますか?

こんな調子で発言するうちにゼミの議論もどんどん活発になりました。当然、発言するからには問題提起できるようにインプットすることも欠かせません。新聞や参考図書はもちろんですが、最近特に活用しているのがInstagramのインスタライブです。ジェンダー、差別問題に関連するインフルエンサー(著名人)のライブを中心に視聴し、気づきをまとめ、ゼミで共有することが日課になっています。メディアを介さずにインフルエンサーの考えに触れることは、現地調査がコロナ禍により十分にできない現在においては、リアルな情報に触れられるとても有効な方法と考えています。何事も理想論で語らず、現実を見て考えること。当たり前のような、こんな気づきを得ることができた経験です。

ダンスがうまくなりたい。だから踊る!

自分の気持ちに素直になったことは、ダブルダッチにも良い影響を与えました。高速でジャンプする“三倍”という技があるのですが、私はそれが大得意。ゆえにチームメンバーからは、「柳井さんといえば三倍だよね」のイメージが定着していました。定着したころは嬉しかったのですが、いつしかそのイメージがプレッシャーになり、自分を苦しめるようになりました。

自分は絶対にミスしてはいけない。自分にはこれしかない、と。自分を見つめ直し、やりたいことに気づけたのはゼミの経験があったからかもしれません。以前から大好きだったダンスをダブルダッチに組み入れたい。そう考え、ダンスを猛練習しました。2020年4月から6月まではほぼ毎日踊って、自分のInstagramに投稿。投稿した動画への周りからのリアクションや再生回数はある意味で自分の評価。そう考えて投稿し続けました。約100投稿近くした結果、周りの「私」へのイメージに変化したことが実感でき、今の自分に自信を持てるようになりました。

「継続は力なり」と言いますが、まさに実感を伴って理解できた3ヶ月間でした。

これからも「ありのまま」を大切に

これまでの学生生活を振り返ると、学科の学びとダブルダッチの経験がうまくリンクし、とても充実した毎日を過ごせていると思っています。直近では、コロナ禍を踏まえて考えなければいけませんが、留学も視野に入れつつファッション業界で働くことを目指しています。

着ることで自信を与えてくれる“洋服”というアイテムは、ジェンダーの問題にも光明を与える可能性を秘めていると考えているからです。具体的なキャリアビジョンはまだまだですが、残りの学生生活も「ありのまま」を大切に過ごし、悔いなく過ごしていきたいと考えています。