明治学院大学
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書評【なくなればいいのに。:「罪って何?」を考える教養としての刑法学】

その他

ありふれた日常と刑法学をつなぐ

犯罪がなくなることを望まない者はいないだろう。しかし誰もが、それは叶わないことを知っている。私たちは犯罪が「なくなればいいのに」と思いながら、ときにその加害者となり、被害者となる。

本書において著者は、日常のささやかな出来事を素材として、いかなる行為が犯罪となり、なぜ罰せられるのかを掘り下げていく。例えば許可を得た上で家族名義のクレジットカードを使用する行為は、犯罪となるだろうか。ここでは詐欺罪の成否が問題となるわけだが、こうした身近な事例を通じて、ある行為がなぜ犯罪として規制されるのかという問いが、読者のもとに引き寄せられる。

私の師でもある著者は、消費生活アドバイザーの一面を有している。本書が取り上げる事例には、私たちが消費生活を送る上で知っておくべきものが多く存在することは言うまでもない。犯罪は別世界の出来事ではなく、日常の延長線上にある。本書は、そうした日常と刑法とのつながりを可視化することで、刑法学が専門的知識にとどまらず、私たちに必要な教養であることを示している。

吉田愛斗(上智大学 法学研究科 博士後期課程)

「罪って何?」を考える教養としての刑法学

なくなればいいのに。―「罪って何?」を考える教養としての刑法学
穴沢大輔(法学部教授)著
自由国民社 208頁/1,760円

白金通信2026夏号(No.527)掲載