明治学院大学
JPEN
2026.02.10

すべては、困っている人を支えたいという想いから

在学生
心理学部

幼少期から子どもが大好きで積極的に周囲の子どものお世話をしていた橘さん。子どもに手を差し伸べられる人になりたいと教育発達学科で学ぶ一方で、生理の貧困という社会課題に「生理用品プロジェクト」を通じて向き合い、大学のトイレに生理用品を設置するという目標を実現させました。困っている人のために行動する橘さんは学科やプロジェクトを通じてどのようなことを学んだのでしょうか。

橘 莉乃

心理学部 教育発達学科 4年

神奈川県出身。ドラマを見るのが好き。ジャンル問わずさまざまなドラマを見ては演出やメッセージについて考えている。
好きな作品は『野ブタ。をプロデュース』。
またピュレグミのパッケージを大学1年生の時からコレクションしている。

目次

子どもの力になるための勉強がしたい

幼少期から小さい子どものお世話が大好きでした。2歳の時には、外で出会った1歳の子どものお世話をしていたと家族から聞いています。子どもたちと関わる中で、悩みを抱え、解決できずにつまずいている姿もたくさん見てきました。次第にどんなことを考えているのか、どんなことに困っているのか気が付けるようになっていき、「子どもを支え、力になりたい、子どもと関わることがしたい」という思いがだんだんと大きくなっていました。そして大学では教育や子どもと関わるための勉強がしたいと考えるようになりました。

教育発達学科では、教員になるための授業がたくさんあります。私は当初、子どもを学校以外の場所から支えたいと考えており、教員になるつもりはなかったため、当初はそういった授業にあまり身が入りませんでした。ですが、正課の中でさまざまな教科を学ぶ意味や目的、どのように子どもたちを育てていくかについて学ぶことで、多くの新しい視点を得ることができました。また、自身の学生生活と照らし合わせて「こういう意味があったのか」と振り返ることもできました。

「教える」「伝える」より「支えていく」

小学校の教員免許を取得しようと思ったのは、これから子どもたちと関わる中で必要な視点や、学校という一つの社会で子どもたちがどのように過ごし、教員がどのように学校運営をしているのかを知ることが重要だと感じたからです。

ちょうど11月に教育実習を終えたところですが、子ども同士が関わり合いながら成長していく姿を目の当たりにできたことはとてもよい経験でした。自分が思っているよりも子どもの力ってすごいんです。自分で伸びていくし、周りからも吸収していく。そしてお互いに認め合って成長していく。「教える」「伝える」より、子どもたちを伸ばしていくために「支えていく」ことが私たち大人の役割なのかなと気が付くことができました。


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生理用品プロジェクトへの取り組みと実現

中学生の時、私とは違い生理で体調が悪くなってしまう友人たちを見て、「痛みなどの辛さを理解できない私に何ができるのだろう」と悩んだことがありました。もやもやとする中で当事者ではない自分は「周りの環境を整える」ことができるのではないか、そんな考えがふとよぎったことがありました。さらに高校生になり、「生理の貧困」という言葉に新聞記事を通して出合いました。海外では生理がタブー視されていて、生理経験者が排除されたり、不衛生な環境を与えられ体調を崩してしまったりという問題がありますし、日本では生理に関する話を言い出しづらかったり、経済的な面で困っている人がいたりするという現実があります。


生理に関する活動を何かしたいと思っていたところ、大学1年生の6月頃に「Voice Up Japan MGU」(※現在はbe the light MGU)という団体を見つけました。その団体は明学生が社会課題などを取り上げて声を上げやすい環境をつくろうというコンセプトで活動していました。私が加入した時期はちょうど「ボランティアファンド学生チャレンジ」の採択を受け、横浜キャンパスの3箇所に生理用品を設置する「生理用品プロジェクト」活動が始まったばかりで、私も生理用品の設置や補充、使用数のカウントなどを行いました。授業の合間を縫って広いキャンパスに点在するトイレへ生理用品を配布すること自体大変でした。さらに生理用品の使用数のカウントをする仕組みづくりなど、運用方法自体も試行錯誤段階だったため苦労したのを覚えています。

大学への要望書提出に向けて

このプロジェクトの最終的な目標は「大学としてトイレに生理用品を設置してもらう」、「生理について気軽に話題にできる環境をつくる」というものでした。1年目の活動について、生理用品の設置自体はできたものの、使用数の具体的なデータや学生へのアンケートといった、大学へ要望書を提出するための根拠資料を集めることができませんでした。プロジェクト2年目はデータをしっかり集めることも目標の一つにしました。
2年目はプロジェクトの代表として活動をスタートしました。配布数や使用数の記録方法を見直して、データを取れるように改善したものの、他のメンバーにとっては負担が大きく、最終的には数名でなんとか活動を運営していました。



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                    be the light MGUのInstagramより 生理用品の利用数結果


3年生になり、大学へ要望書を作成する際はボランティアセンターの皆さんに助けていただきました。学生が大学へ要望書を出すこと自体、例があまりなかったため、どのような内容を盛り込むべきか、職員の方々と一緒に試行錯誤しながら形にしていきました。
プロジェクト2年目で集めたアンケートの中に「生理用品が置いてあって助かりました」「白金キャンパスにも置いて欲しいです」という声があったり、友人から生理用品プロジェクトについて「設置してあるのをみたよ」とか「こういうのあると助かるよね、と友達と話したよ」と言ってもらえたりしました。さまざまな声や、生理についての会話が生まれていることを知り、活動をしている意味があったんだな、と思うことができました。こうした利用者の声やボランティアセンターの方々の支えが励みとなり、無事に要望書を作成し、提出することができました。


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こうして2025年の3月に要望書を提出し、10月から横浜キャンパス・白金キャンパスのトイレに生理用品が設置されることになりました
念願だった生理用品の設置という目標を実現することができましたが、反省もあります。周りの人をもっと巻き込むべきだったということです。生理用品の設置以外にも、イベントの計画や宣伝活動などを自分がメインになって行っていたのですが、うまくいかない部分もありました。このプロジェクトを最後までやり切り、大学による生理用品の設置まで実現できたのは、ボランティアセンターや先輩方のアイディアがあってこそだったと感じています。何かやり遂げたいことがある時に、一人の力より同じ想いを持つ人や、頼りになる人の力を借りて一緒に取り組む方がより良いものになっていくのではないかと、この活動を通して気づくことができました。


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高校生・受験生へメッセージ

ぜひ自分の想いを人へ話すようにしてみてください。話すことで自分の考えに改めて気が付けることもありますし、相手の考えを知ることが出来てさらに視野が広がります。自分が実現したいことがあれば、一人で抱えこまないことが大事なことと考えています。悩みを話せる人をつくっておくのも大切です。相談できる相手が複数人いると、悩みに応じて話すことができ、多角的な視点を得て前に進めることができます。私は学生生活や生理用品プロジェクトを通して1人で抱え込まず人に頼ることの大切さを学びました。人に頼ったり支え合ったりすることで予想外の出来事も乗り越えることができるのだろうと考えています。

子どもの「居場所」をつくりたい

卒業後は教育業界で働く予定です。小学校での教育実習や、支援員ボランティアを通じて、授業に追いつけず置いてきぼりになる子どもがいるのを見てきました。そういった子どもたちとも丁寧に関わっていきたいです。いずれは悩みを抱えている子どもたちの話を聞ける人になりたいです。ふらっと子どもたちが来て、小さなことでもいいから話せるような空間、子どもたちにとっての「居場所」をつくることが夢であり、これからのテーマになると思います。


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