明治学院大学
JPEN
2026.06.25

探究を諦めなければ、必ず“新しい自分”に出会える

学生
探究を諦めなければ、必ず“新しい自分”に出会える
心理学研究科 教育発達学専攻 修士課程
2026年3月修了
真田 純

心理・教育・障害科学が融合した唯一無二の学びに惹かれた

私の学びの原点は、中学生の頃に抱いた感情に対する素朴な、しかし切実な疑問にあります。当時は、「なぜ怒りたいわけではないのに怒ったり、イライラしたりするのか」というように、自分の正しさが相手に伝わらないもどかしさや、感情のコントロールの難しさに悩むことがありました。また、幼少期に知的障害のあるクラスメイトが周囲からの無理解にさらされる姿を目の当たりにし、人と人の間にある「当たり前」のギャップを埋めるために、私に何ができるのかを考え続けてきました。進路を決める際に多くの大学を調べましたが、心理学という枠組みだけではなく、教育学と障害科学という三つの視点を融合させて子どもを捉える「教育発達学科」があり、唯一無二の場所だと感じ、明治学院大学に進学しました。

大学入学後、心理学が科学的な分野であることを知り、「文系でありながら理系でもある」という学際的な奥深さに触れたことは、私の知的好奇心を強く刺激しました。自分の興味関心を学問の域まで昇華させてくれる学風こそが、明治学院大学の大きな魅力であり、大学の卒業論文では、自身の合唱部での経験から「合唱コンクールの意義」をテーマに掲げました。音楽を通じて集団がいかに形成され、個々人が他者を意識していくのかというプロセスを分析する中で、大学で学んだ発達支援の視点がいかに重要であるかを再認識しました。



教育実習での「楽しさ」の理由を突き止めるために大学院進学を決意

また、大学での学びは、私に「現場」の重要性を教えてくれました。特に小学校での体験活動の場は、私の人生において大きなターニングポイントとなりました。それまで子どもと直接触れ合う経験が乏しかった私にとって、教育現場を実体験することは非常に勇気のいることでしたが、大学のサポートがあったからこそ、一歩を踏み出すことができました。実際に子どもたちと接する中で、理論だけでは説明できない個々の発達のグラデーションを肌で感じ、「子どもに寄り添う」という言葉の重みを痛感しました。この経験がきっかけとなり、自ら外部のボランティアにも参加するようになり、教員という職業を現実的な目標として捉えられるようになりました。

一方、卒業後の進路を考える時期になって、大きな葛藤を抱えることになりました。小学校教諭と特別支援学校教諭、両方の免許を取得する過程で、どちらの教育実習も「楽しかった」という確かな手応えはありましたが、その「楽しさ」が一体どこから来るものなのか、自分の中で言語化できていませんでした。子どもたちの人生を預かる教員を仕事にするのに、「なんとなく楽しい」という曖昧な感情だけでなく、もっと自分の中に確固たる理論的裏付けと覚悟が必要なのではないか-。悩んでいた時、学科の先生が「大学院」という選択肢を提示してくださいました。私は、教育実習で感じた楽しさの本質を突き止めるために、また、自分自身の専門性をもう一段高めたいという思いもあり、大学院進学を決意しました。明治学院大学大学院には、教科教育だけでなく臨床心理や歴史まで多種多様な専門家が集まっており、大学で培った基礎をより専門的な研究へと繋げる土壌が整っています。この進学は私にとって、プロフェッショナルとしての土台を固めるための必要不可欠なステップでした。

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論文執筆と多様な現場体験を通して「強さ」を育むことができた

大学院修士課程での2年間は、想像以上にタフでしたが、と同時に豊かな時間でした。指導教員の辻宏子教授のもと、「教科横断的な学びの導入におけるカリキュラム・マネジメント-学校外連携の視点から-」という、現代教育の最前線にある課題に挑みました。文部科学省が掲げる「社会に開かれた教育課程」の実現に向けて、学校が地域や外部機関といかに連携すべきかを探究するため、実際に小学校へフィールドワークに赴き、管理職や教員へのインタビュー調査を行いました。多忙を極める教育現場で、先生方が抱える葛藤や、理想と現実のギャップを直接伺い、研究者として中立性の視点を保つことの難しさを何度も実感しました。時には現場の先生方の熱い想いに共感しすぎてしまうこともありましたが、その都度、辻教授に学問として分析に必要な客観性を示唆いただきました。

大学院での研究活動を通じて得られた結論は、学校を「個人の頑張り」の集合体にとどめず、組織として実践を共有・蓄積する「学習共同体(プロフェッショナル・ラーニング・コミュニティ)」へと進化させる必要性です。これは、私が昔から抱いていた「環境によるギャップを埋めたい」という願いに対する、一つの理論的な回答でもありました。また、研究と並行して取り組んだ実習センターでの直接子どもと接する活動も、私を大きく成長させてくれました。大学院生としてチームのリーダーを務め、大学生を指導しながら子どもの支援計画を立てる経験は、教員として必要なマネジメント能力を養う貴重な場となりました。また、学会発表では自分の力不足を突きつけられ、打ちのめされることも多々ありましたが、その「至らなさ」から逃げずに自分と向き合い続けた経験こそが、大学院で得た最大の財産です。明治学院大学大学院は、単に知識を授ける場所ではなく、研究という営みを通じて、自分の弱さを自覚し、それを乗り越えていく「強さ」を育んでくれる場所だと感じています。



子どもたちと向き合い続ける教員になることが目標

私は大学院生活を締めくくり、今春から小学校教諭として教壇に立っています。進学時に曖昧だった「楽しさ」の正体は、今なら明確に言葉にできます。それは、子どもが成長する瞬間の喜びだけでなく、「どうすればこの子に伝わるだろうか」と悩み、仮説を立て、アプローチを試行錯誤するプロセスそのものにあります。大学院での学習・研究を通じて、教育とは「正解のない問い」に向き合い続ける営みであることを学びました。そして、環境による教育の格差や、子どもたちが抱える生き辛さに対して、一人の教員がいなくなった後でも組織として支え続けられる「システム」を構築することの重要性を理解しました。これから私が目指すのは、子ども一人ひとりが「自分は自分でいいんだ」と心から思える教育の場を作ることです。それは容易なことではありませんが、本学で培った多角的な視点と、粘り強く子どもと向き合い続ける根気があれば、必ず道は拓けると信じています。

最後に、これから大学院を目指す皆さんへメッセージを送ります。大学院の2年間は、決して楽な道のりではありません。研究の壁にぶつかり、自分の無力さを自覚し、当初の覚悟が揺らぐ瞬間もきっとあるでしょう。しかし、その「揺らぎ」こそが、あなたが真剣に自分自身と向き合っている証拠です。明治学院大学大学院には、そんなあなたの揺らぎを否定せず、共に悩み、支えてくれる最高の先生方と仲間がいます。落ち込むことは決して悪いことではありません。大切なのは、そこから何を学び、どう進み続けるかです。ここで過ごす時間は、あなたの専門性を高めるだけでなく、一人の人間として成長させてくれるはずです。もし、今あなたが「もっと深く学びたい」「自分の可能性を試したい」と願っているなら、迷わずその扉を叩いてください。諦めなかった先にある、新しい自分との出会いを楽しみに、一歩を踏み出してほしいと願っています。

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