明治学院大学
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2026.07.09

大学院での学びと経験が、心理職としての土台を築いた

学生
大学院での学びと経験が、心理職としての土台を築いた
心理学研究科 心理学専攻 臨床心理学コース
博士前期課程 2022年3月修了
さいたま市北部児童相談所
公認心理師 臨床心理士 児童心理司
小島 史都

充実した教授陣を誇る明治学院で臨床心理士への第一歩を踏み出す

私が心理職を志す原点となったのは、中学生の頃の経験でした。身近な人が困難な状況にあった際、臨床心理士の方との対話を通じて前向きな変化が生まれる様子を目の当たりにしました。-「言葉」が人の心を癒やし、前を向く力を与える-。目に見えない心の領域に働きかけ、その人自身の力を引き出す心理職の存在を知り、私もいつか誰かの心の支えになれたらと思うようになりました。大学選びの際、明治学院大学に強く惹かれたのは、臨床心理学の分野において日本でも屈指の層の厚さを誇る教授陣が揃っていたからです。一口に臨床心理学と言っても、そのアプローチは精神分析、認知行動療法、家族療法、解決志向アプローチ、心理アセスメントなど多岐にわたります。明治学院大学にはそれぞれの第一線で活躍される先生方がバランスよく在籍しており、ここなら偏りのない視点と高度な専門性を養えると感じました。

入学してからの学びでは、想像以上に「学問」としての科学的な側面を目の当たりにしました。入学前は「悩みを聴く」という情緒的なイメージが強かったのですが、実際には高度な統計学を用いたデータ分析や、心理学の成り立ちを紐解く歴史的な学習など、論理思考も求められる世界でした。3年次からは金沢吉展教授のゼミに所属し、就職活動を控えた学生の不安など、身近な事象を科学的に捉える基礎を学ぶことができました。

4年次を迎え、以前より希望していた明治学院大学大学院への進学を決意しました。その理由の一つは、中学時代から目標としてきた臨床心理士・公認心理師の受験資格を得るためです。また、学部での学びをさらに発展させ、心理支援についてより専門的に学びたいと考えたことも進学を選んだ理由でした。心理学専攻臨床心理学コースには明治学院大学の学生に向けた特別入試制度があり、4年次の7月という早い段階で進学先が決定したため、大学院入試の対策に追われることなく、卒業論文の執筆に時間を割くことができました。このような一貫した教育体制は、心理職を目指す学生にとって大きな魅力の一つであると感じています。



現場で知った「支援」の難しさ、修士論文で感じた人を頼る大切さ

大学院での生活は、とてもアクティブで濃密なものとなりました。講義形式の授業だけでなく、実際に相談者と向き合う「実習」が学びの中心になります。カリキュラムは極めて実践的で、附属の心理臨床センターでの学内実習はもちろん、外部の精神科病院や児童養護施設、デイケア施設など、多種多様な実習のフィールドが用意されています。初めて臨床の現場に立った時は緊張感と戸惑いが大きく、児童養護施設で子どもたちと一緒に遊んだり、精神科のデイケアで利用者の方とお話ししたりする中で、「どのような関わりがその方の支援につながるのか」と自問自答することもありました。支援の難しさを実感する経験も多くありましたが、明治学院の魅力の一つは、実習後のサポート体制が充実していることです。現場の先生方が必ず振り返りのスーパービジョンの時間を設けてくださり、私の関わりについて一緒に考え、助言をしてくださいました。このプロセスこそが、教科書だけでは学ぶことのできない実践的な学びであり、現在の心理職としての実践にもつながる大切な経験になっています。

大学院生活の集大成である修士論文では、「能動的自己注目・受動的自己注目と抑うつ・自己受容の関係」という研究テーマに挑みました。「自分について考えること」が、なぜある人にとっては前向きな自己理解につながり、別の人にとっては鬱々とした自責の念につながってしまうのか。その境界線を、指導教員である伊藤拓教授の親身な指導のもとで検討しました。特に苦労したのは、膨大な先行研究の読み込みと、重回帰分析を用いたデータ分析です。何度も要点の整理や分析結果の解釈に悩みましたが、そんな時に支えとなったのは、大学院でともに学んだ同期生たちの存在でした。一人では抱えきれない課題も、同期生との相談や情報交換、進捗報告に対する伊藤教授の助言を受けながら、研究を進めることができました。

最終的には、脱中心化が抑うつや自己受容とどのように関連するのかについて、自分なりの考察をまとめることができ、大きな達成感を得ることができました。この論文の執筆プロセスを通じて得た「一人で抱え込まず、周囲の人を信頼して頼る」という姿勢は、現在の仕事においても私を支える重要な教訓となっています。

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資格と専門知識を生かし、子どもたちの支援に携わる

博士前期課程修了後、私は児童心理司として児童相談所に勤務しています。発達障害や知的障害、虐待など、さまざまな課題を抱える子どもたちやその家族への支援に携わっています。主な業務は、療育手帳の取得に必要な発達検査の実施や、虐待を受けた子どもの心のケア、そして保護者への支援などです。

現場は想像以上にシビアで、心が折れそうになる瞬間もあります。心に深い傷を負った子どもたちは、時に激しい拒絶の言葉を投げかけてきたり、頑なに口を閉ざしたりすることもあります。「うまく汲み取れなかった」「私の関わりは正しかったのか」と自問自答する日々ですが、そんな時に私を支えてくれるのは、大学院での学びと経験です。明治学院大学大学院の修了生は例年、臨床心理士および公認心理師資格試験で全国平均を大きく上回る9割以上という高い合格率を維持しています。私自身も、大学院での学びや実習での経験を積み重ねることで、安心感をもって試験に臨むことが出来ました。この「資格」という公的な裏付けと、大学院で培った知識や経験は心理職として仕事に向き合う上での支えとなっており、さまざまなケースに向き合う際の土台になっています。

児童相談所での仕事は、決して一人では完結しません。一人ひとり背景が異なるケースに対し、児童福祉司や医師、弁護士、警察、学校などと連携する「多職種連携」が不可欠です。ここで、大学院時代に培った「他者の力を頼る」という姿勢が実務の中で活きています。上司や先輩に相談しながら支援の方向性を検討することは、日々の業務において重要な学びの機会にもなっています。最近では、子どもたちと面接を重ねるうちに少しずつ柔らかな笑顔を見せてくれるようになったり、帰る際に「またね」と手を振ってくれたりすることに仕事のやりがいや喜びを感じています。

臨床心理士・公認心理師としての学びは、大学院を修了したからといって終わるものではありません。むしろ、そこからが新たなスタートだと感じています。今後は、さらに地域に根差した療育センターなどで、親子に寄り添った発達支援にも携わってみたいと考えています。明治学院大学大学院は、単なる知識の習得場所ではなく、社会に出る前に、温かく、かつ厳しく「専門職としての基本」を作り上げてくれる場所だと思います。心理職を目指す方には、ぜひ大学院での学びや多くの出会いを通して、自分自身の成長につながる時間を過ごしてほしいと思います。

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