硫黄島強制疎開80周年記念シンポジウム
硫黄島(東京都小笠原村)は、第2次世界大戦で最も凄惨な戦場のひとつとして知られています。 一方、硫黄島・北硫黄島を含む硫黄列島(火山列島)で、それ以前に半世紀にわたって島民が生 活でいたことや、島民の多くが1944年に戦時強制疎開させられたことは、まだ広く知られて いるとはいえません。また強制疎開時に、16~59歳の男性島民の多くは軍属として硫黄島に 残留させられ、その大多数が地上戦の犠牲になりました。
硫黄島は地上戦後、米軍の秘密基地として利用されました。1968年の日本への施政権返還後は 半世紀以上、自衛隊によって排他的に使用されています。硫黄列島は、第2次世界大戦期から 冷戦期を経て21世紀にいたるまで、約80年間も全島民が帰還できないという、世界的にも異様 といえる状態に置かれています。
2025年は「戦後80年」を記念するさまざまなイベントが行われ、硫黄島地上戦80年も想起され ることでしょう。しかし、硫黄列島の「国策に翻弄された130年」の重い歴史をふまえるとき、 2024年の「強制疎開80周年」には特別の意味があるのです。
第1部では、硫黄島民の戦前・戦争・前後の経験をテーマとする小説『水平線」(新潮社)で織田 作之助賞を受賞し、自らも島民3世である滝口悠生さんと、戦前の硫黄島での生活を鮮明に記憶 している、島民1世の奥山登喜子さんに、強制疎開80周年をテーマに講演いただきます。
第2部では、硫黄島民2世代表と3世代表に登壇いただき、滝口さん、奥山さんを交えて、硫黄島の 過去と未来を考えるパネルディスカッションを行います。
小笠原村長の渋谷正昭さん、島民各団体の代表者にもご発言いただきます。
80年も故郷に帰れないなかで、島民の歴史や記憶を未来にどのように受け継いでいくのか、市民 社会や国がこれから何ができる/何をすべきなのか、みなさまと一緒に考えていきたいと思います。
日時: 2024年2月17日(土) 14:00~17:00 場所: 明治学院大学白金キャンパス 3号館1階 3101教室 申込み: 不要 ◆対面参加(定員300名) ◆学内外どなたでもご参加いただけます。 参加費: 無料
主催:明治学院大学国際平和研究所(PRIME)/全国硫黄島島民3世の会 後援:東京都小笠原村/明治学院大学社会学部付属研究所/公益財団法人小笠原協会/一般社団法人 硫黄島帰島促進協議会/全国硫黄島島民の会/小笠原村在住硫黄島旧島民の会
<プログラム> 開会挨拶:渋谷正昭(小笠原村長) 第1部 基調講演 「硫黄島強制疎開80周年にあたって」 滝口悠生(作家/硫黄島民3世) 奥山登喜子(硫黄島民1世)
第2部 島民各団体の紹介 パネルディスカッション 伊藤謙一(硫黄島帰郷促進協議会副会長/硫黄島民2世)高橋淑子(全国硫黄島 島民の会会員/硫黄島民3世) 奥山登喜子 滝口悠生
司会・オーガナイザー:石原 俊(明治学院大学教授/全国硫黄島島民3世の会顧問)
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