明治学院大学
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2026.02.26

音楽でつながる、特別な一日

いつボラ
その他

愛好会吹奏楽部は、2025年度の夏、横浜山手中華学校にて交流を目的としたボランティア活動を行いました。今回は、企画を担っていた重政さんと川崎さんに、活動のきっかけや当日の様子、そこから得た学びについてお話を伺いました。

重政 萌 / 川崎 菜々

重政 萌 / 川崎 菜々

文学部 英文学科 3年/社会学部 社会学科 3年

重政 萌(写真右) アルトサックスを担当。執行代のである今年は、主将を務める。60名近い部員が集う活動は、いつも賑やかで明るいのが自慢。部全体の雰囲気づくりにも力を入れている。
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川崎 菜々(写真左) バスクラリネットを担当。執行代である今年は、渉外として外部との連絡窓口や、合宿やホールの手配等を担う。裏方の仕事も多いが、活動が円滑に進むよう意識し動くのがモットー。

コンクールに出ない夏、選んだのは「子どもたちとの交流」

例年、愛好会吹奏楽部は、コンクールへの出場をひとつの目標としてきましたが、昨年度からコンクールに出場しない決断をしました。別のかたちで学外の方に自分たちの演奏を聴いていただく機会をつくれないか模索するなかで、先輩がボランティアセンターを訪れ演奏場所の相談をしたことから、横浜山手中華学校との交流が始まりました。
先輩方がボランティアセンターの制度「いつでもボランティアチャレンジ(奨励金制度)」を利用して子どもたち向けのボランティアプログラムを企画した様子を見て、私たちもボランティア活動に挑戦したいと考えるようになりました。執行代(=代表など運営の中心となる役職を担う学年)となった今年度は、演奏を“聴いてもらう”だけでなく、“一緒に音楽をつくる”時間にしたいと考え、自分たちの演奏パートに加えて、子どもたちがより楽しく参加できるような体験パートを組み込んだプログラムを実施することにし、準備にとりかかりました。

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子どもたちと音楽をつくる工夫

ボランティア先の横浜山手中華学校は、華人のほか、中華系をルーツにしない日本人の児童も通っている学校です。「中国と日本をつなぐ音の輪プロジェクト」と題し、横浜山手中華学校のアフタースクール(放課後の様々な体験活動)の児童と夏休みに交流しながら、異なる文化や背景を越えて音楽でつながり、心を通わせる機会をつくることができればと、プログラムの構成を考えました。まず、私たちの演奏パートでは、吹奏楽に初めてふれる子どもも楽しめるよう、親しみのある選曲を心掛けディズニーミュージックを取り上げることにしました。そして初めての試みである子どもたちとのアンサンブル練習では、部員と子どもたちが3つの小グループに分かれ、演奏や簡単な振り付けを取り入れながら音楽づくりを行い、練習後はそれぞれのグループが練習成果を発表することにしました。そして、サプライズとして、最後に横浜山手中華学校の校歌を吹奏楽編曲で演奏することに決めました。

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「誰に届ける音楽か」を考える経験

私たちが普段行う演奏会では、音楽を届ける相手は“お客様”で、当日までどのような方がいらっしゃるかわかりませんが、今回は相手が小学生だとはっきりしていました。だからこそ、どうすれば音楽の魅力が伝わるかを深く考えることができました。相手を意識して選曲やタイムスケジュールを考える経験はこれまであまりなく、自分たちにとってもたくさんの気づきや学びが得られました。
一方、様々な準備を重ねてきたものの、当日の進行は決して簡単ではありませんでした。想定よりたくさんの子どもたちが参加してくれたことや、幅広い学年が混ざったグループになったことで、練習の難易度調整が難しく、その場での臨機応変な対応が求められました。子どもたちをどうまとめるか、どうしたら楽しみながら練習してくれるかを考え行動するのは想像以上に難しいものでした。しかし、最後のアンサンブル発表では、演奏だけでなくダンスも交えるなど各グループの個性があふれる、自由な表現の場となりました。子どもたちが自分たちの発表が終わった後も、他のグループの発表を楽しそうに聞いている様子もとても印象的でした。また、校歌を吹奏楽編曲で演奏する際は、「校歌を演奏します」と言った瞬間、子どもたちがすごく驚いてくれてこちらまでうれしくなりました。身近な曲だからこそ、吹奏楽で聴く新鮮さを感じてもらえたと思います。
準備段階では、言語や文化の違いについて考えることもありましたが、最終的に感じたのは、音楽そのものが人をつなぐ力になる、ということでした。細かく考えすぎなくても、音楽を一緒に楽しむこと自体が、もう十分な交流なのだと感じました。

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一緒に過ごした時間が残したもの

子どもたちの笑顔や反応は、部員にとっても忘れられない経験となりました。また、私たち吹奏楽部にとっても「演奏の場」を超えた、新しい音楽の可能性を広げる一日となりました。アンサンブルの練習中に鬼ごっこが始まったり、“大変”というより“どうしよう”みたいなとまどいを感じる瞬間もありましたが、そんなときは、学童でアルバイトをしている部員や、子どもと関わる経験を持つ部員が、自然と前に出てまとめてくれました。後から思ったのは、事前に、子どもと関わる経験を持つ部員の知見を全体で共有しておけば、もっとスムーズに進められたかもしれないということ。そんな反省も、次への大切な財産になりました。

今は定期演奏会に向けて準備をしていますが、横浜山手中華学校でのボランティアの際に、どうしたら楽しく飽きないで聴いてくれるか、という選曲にこだわった経験が生き、自分たちが楽しめる選曲という思考から相手が楽しめる選曲・演出という視点が加わったと感じています。

執行代として部をけん引していく期間はあとわずかですが、小学生と一緒に演奏する機会は本当に貴重ですし、音楽を通して関わるあの時間はすごく楽しいです。子どもたちも楽しいと言ってくれていたので、来年もこの気持ちを部員に味わってほしいな、関係が続けばいいなと思っています。

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