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書評【 もしかして となりの親子は里親子!? 里親家庭10組の、おとなと子どもの物語】

知ることは世界が広がること

「どっちに似てる?」「どこで産まれた?」─。友達同士でも、子育ての場などでもよくあるこんな会話が出た時に、そっとその場をやり過ごしている親子がいるかもしれない。里親子は、多くの人からは実生活の中でまだ存在を認知されていないのが現状である。産んでいないかもしれない、血縁はないかもしれない、そんな家族が当たり前にいるのだということを、この本を読んで、あらためて思う。

里親子の事情はさまざまで、里親子ならではの悩みがある一方、いわゆる思春期などで子どもが抱えるモヤモヤや、親が直面する子育ての大変さはみんな同じである。このようないろいろなことが、柔らかなイラストのマンガを通して、スッと入ってくる。里親子が当たり前に社会へ入っていくために、この本は本当に良いツールになると思う。 里親子への理解を深めるためだけではなく、多様な家庭を知るということは、自分の世界が広がり、人生が豊かになる。一人でも多くの人がこの本を手に取ってくれたら、どんどんすてきな社会になるのではないかと思う。子どもにも薦めることのできる本だ。

山本雅世(カメラマン/世田谷区地域子育て支援コーディネーター/狛江市発達サポーター)

もしかして となりの親子は里親子!? 里親家庭10組の、おとなと子どもの物語

三輪清子(社会学部准教授) 著
理工図書 133頁/1,650円

白金通信2025春号(No.522)掲載

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