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私が考える、ファッションについて

「ファッションには正直あまり興味がなかったです。ファッション誌も読まないし…。でもファッションの裏側に起きていることには、目を背けられませんでした」
そう話すのは国際学部国際学科4年の東中陽美さん。「MG Closet」を通じて、服についての考え方だけではなく、自分の表現の仕方やアプローチ方法を身につけた東中さんのキャンパスライフとは。

東中 陽美 国際学部 国際学科 4年 高校時代、授業で見た途上国の開発に貢献する日本人の映像が印象的で、途上国開発に関心を持つようになる。2019年に創設されたボランティア団体「MG Closet」の立ち上げメンバーの一人で2020年度代表をつとめる。趣味は、観光地巡り、SNS更新、韓国ドラマなど。高校時代にバンドを組んでいた経験があり、担当はベース。

途上国開発の支援がしたい、でも方法が分からない

―ファッションと途上国開発が結びついたのは、ある友人との出会い。

高校時代から途上国の開発に関心があり、自分が好きだった観光を通じて途上国の開発に貢献できるのでは?と思っていました。明治学院大学には国連ユースボランティアプログラム(UNYV)があることを知り、アジアの地域研究に強く、自分の興味がある分野を学べる国際学部国際学科に入学しました。ただ、途上国開発は「技術」を通じた開発が主流であることに気づき、技術も専門知識もない自分に無力さを感じ始めていました。

そんな時に、友人の藤井るなさん(国際学科4年)が、ある活動についてボランティアセンター主催の「ボランティアファンド学生チャレンジ」に応募していることを知りました。

それが「MG Closet」。ファストファッションは安くてたくさん購入できるし、流行も追える。でもその服は過酷な労働環境の中、安い賃金で作られたものであり、地球温暖化など環境問題を深刻化させる要因の一つにもなっている。そこで「ファストファッションの社会問題を知ってもらおう」「古着をキラキラさせよう」「服に愛着を持ってもらおう」と立ち上がった団体です。

もともとファッションが大好きな藤井さん。だからこそその裏側に潜んでいる課題に気付けたんだと思います。私自身は特別ファッションが好きというわけではなかったのですが、ファッションの裏側にある、過酷な労働環境や環境問題を知り、彼女とともに課題解決に取り組めないかと考えました。技術を伝えることだけが途上国開発だと思い込んでいましたが、正しい情報を発信することも課題に対するアプローチの一つだと知り、自分にも必ずできることがあると思い始めたんです。

「ファッションショー」を開催する意味

2019年度の白金祭で、古着をリメイクした衣装を作り、ファッションショーを開催することになりました。自分の役割は衣装リーダー。実際に裁縫をし、衣装を作る役割だったので、自分のチームには特にファッションが好きで団体に入ってくれた後輩メンバーが集まりました。

「民族テイストにしよう」「和服テイストが良いかな?」「いやモード系じゃない?」と議論が白熱したのをよく覚えています。作業量も本当に多く、夜遅くまで裁縫をすることも。本番ギリギリまで衣装作りをし、なんとか無事にショーを終えることができました。

でも、なんというか、心の中のもやもや感が消えなくて…。ショーを開催したのは良いのですが、参加者がどう感じたか、伝えたいことは伝わったのか、聞く機会を作りませんでした。ただ「なんだかかっこいいショー」で終わっていないか。この団体の目的は何だったのか。疑問が残りました。

何より、発展途上国の過酷な労働環境という課題に取り組んでいるはずなのに、ともに作業した衣装チームの後輩には重い負担を強いてしまった気がして。「被服が好きだから、ファッションショーを開催することそのものが楽しい」「ファッションショーを通じて情報発信をし、社会課題に取り組みたい」。その感覚や姿勢の違いで辞めてしまう後輩もいて、これじゃ本末転倒だなと思っていました。

もう一度、社会課題に正面から取り組みたい

年度が代わったタイミングで、私が「MG Closet」の代表をつとめることになりました。 まず考えたのは、メンバーにこの団体の目的や意義をもう一度認識してもらうこと。コロナ禍で白金祭がオンライン開催になり、ファッションショーの開催は叶いませんでしたが、例年より時間が増えた分メンバーとじっくり話をすることができ、団体の意義を見直す良い機会になったのではと感じています。自分自身、代表として、「やりがいを感じながら社会課題に取り組む」ということを目標にし、ファッション雑誌制作を提案しました。

タイトルは「-学生による学生のためのエシカルファッション雑誌-MG Closet magazine」。エシカルファッションとは、「環境を破壊しない」「労働者から搾取しない」といった基準に基づいて作られたファッションのことです。雑誌にはファストファッションの裏側や、MG Closetが立ち上がった経緯などを掲載。さらに、団体メンバーの一人がアルバイトをしている「GU」の洋服回収の取り組みや、他大学のエシカルファッションに取り組む団体などを取材しました。「リメイク古着で1週間エシカル&リメイクコーデ」といったコーナーも設けています。

決して団体メンバーにつらい作業をさせないように、かつ、楽しくやりがいを感じてもらえるように。あえて発行日を決めず、ゆっくり丁寧に制作を進めてきました。

服を纏うだけではない、自己表現

ファッション=おしゃれ。ファッション=自己アピール。ファッション=個性。 MG Closetに参加する前は、こんなイメージを持っていました。自分以外の誰かに、何かをアピールしたり、自己表現したりするための手段。MG Closetにも、おしゃれで個性的なメンバーが多いです。でも私は活動に参加する前と、参加した後の、ファッションそのものに対する関心はそれほど変わっていません。いまだにファッション誌すらあまり読みません。

ただ、何か自分が考える課題に対して、挑戦する姿勢は確実に変わったと思います。 例えば消費行動について。 服を買うときに、生産者の過酷な労働環境を知識として知っていて、想像もできる。それでも買おうと思えるか、大切にできるか、一度考えるようになりました。

MG Closetの雑誌制作についても、代表として自身が感じていた問題意識を恐れずメンバーに伝え、新しいやり方で社会課題に挑戦することができたのではないかと思います。

私はこれからも、社会課題に関心を持ち、それに対してのアプロ―チ方法を考え続けると思います。その挑戦する姿勢そのものが自己表現であり、きっと自分の「ファッション」なんだと思います。